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「星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ」(426) パラスポーツを楽しもう! 主な大会・イベント結果~11月前半開催分

11月は多くのパラスポーツ大会が国内外で開催され、日本選手も好結果を残しています。今号では、13日までの前半に開催された大会の結果をピックアップしてお届けします。

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【ブラインドサッカー】 IBSA ブラインドサッカーアジア・オセアニア選手権2022
日本男子、2連勝。アジア制覇に向けて好発進!

11月11日にインド・コチで開幕したブラインドサッカーのアジア・オセアニア選手権で、グループリーグBに入った世界ランキング4位の日本男子は12日にウズベキスタンを11-0で、13日にオーストラリアを8-0で下し、2連勝。大会3日目を終え、勝ち点6で、グループリーグ首位に立っている。

優勝国には2024年のパリパラリンピック出場権が、上位4カ国には来夏の世界選手権(8月/イギリス)への出場権が与えられる重要な大会。

初戦でダブルハットトリック、2試合目で2ゴールの計8得点と絶好調のベテラン、黒田智成選手(右)。初戦の対ウズベキスタン戦より (提供: 日本ブラインドサッカー協会)

2戦目の対オーストラリア戦前に整列する選手たち。奥左から3人目(#6)の平林太一選手は初戦のウズベキスタン戦でゴールを決め、日本男子代表の最年少(16歳1カ月)得点記録を樹立。オーストラリア戦では3得点と好調を維持! (提供: 日本ブラインドサッカー協会)

今後の日本の試合日程は以下の通り。(キックオフ時間は日本時間)

11/14(月)19:30K.O. 日本vs韓国
11/15(火)19:30K.O. イランvs日本

A、Bグループリーグの上位2位のチームが決勝トーナメントに進出する。大会は18日まで。

11/17(木)準決勝
11/18(金)決勝&3位決定戦

なお、全試合、Youtubeライブ配信され、とくに日本戦はすべて、日本語実況付きで観戦できるチャンネルも用意されている。

▼日本語実況つき配信チャンネル
・11/14(月)19:30KO 日本vs韓国
https://youtu.be/xSc3WwuL5as

・11/15(火)19:30KO イランvs日本
https://youtu.be/briZHLbEdjY

▼アーカイブ配信(全試合、英語実況)
https://www.youtube.com/channel/UCBkrq1w8QCSmc7Qkm3bmvvw

▼(参考)
ブラサカAO選手権まもなく開幕。日本男子は優勝でパリへの切符を目指す(11月7日)
https://op-ed.jp/sports/6585

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【ブラインドサッカー】 IBSA ブラインドサッカーアジア・オセアニア選手権2022
女子の部
日本女子が初代女王に。来夏の世界選手権出場へ!

ブラインドサッカーのアジア・オセアニア選手権の女子の部では日本とインドが出場して2試合を行い、日本が11日に2-0、12日に1-0で連勝し、大会を制した。この結果、日本は初代アジア女王に輝くとともに、来年8月にイギリスで初開催される女子の世界選手権へのアジア代表としての出場権も手にした。

ブラインドサッカーのアジア・オセアニア選手権を制し、喜ぶ女子日本代表チーム(提供: 日本ブラインドサッカー協会)

日本の3得点すべてを挙げたエース、菊島宙選手が「Player of the Tournament」に選ばれ、得点王に輝いた。また、ベストゴールキーパー賞を寺林眞智子選手と和地梨衣菜選手が獲得した。

日本ブランドサッカー協会を通じて、竹内真子主将は「初めてのアジア選手権で優勝することができ、チーム全体で嬉しく思う。皆でゴールに向かえていたところがとても良かった。来月からの合宿では、しっかりピッチ内で声を出し、世界選手権でも勝利できるようにトレーニングに臨んでいきたい」とさらなる進化を誓った。

山本夏幹監督は、「菊島選手だけではなく、前線に入っていく選手が複数人関わり合って、ボールも人も動いて相手を凌駕し、主導権を握っていくかたちを目指していた。そういったサッカーを展開できたところが収穫。攻撃の特徴は持てた。これまで積み上げてきたベースを基準としたうえで、切り替えの守備に関して、まだまだレベルアップの余地がある」と今後の課題を口にし、来夏の世界選手権を見据えた。
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【バドミントン】 ヒューリック・ダイハツ BWFパラバドミントン世界選手権2022
日本代表は金3、銀2、銅5の活躍!

2年に1度、男女クラス別に世界一を競う最高峰の大会で、コロナ禍の影響で1年延期され、11月1日から6日に開催された。日本では初開催となり、昨年の東京パラリンピックと同じ、国立代々木競技場第一体育館(東京・渋谷区)を舞台に、49の国と地域から257選手が出場した。

日本から15選手が13種目に出場し、金3、銀2、銅5の計10個のメダルを獲得した。女子車いす(WH1)の里見紗李奈がシングルスと、山崎悠麻と組んだダブルスで、自身初の2冠に輝き、男子車いす(WH2)の梶原大暉もシングルスで初の金メダルを獲得と東京パラの金メダリストたちが活躍した。

銀メダルは女子立位肢障害(SL4)の藤野遼と同上肢障害(SU5)豊田まみ子がそれぞれシングルスで獲得。銅メダルは男子車いす(WH1)の西村啓太、同下肢障害(SL3)の藤原大輔、同上肢障害(SU5)の今井大湧、女子車いす(WH2)の山崎と、同上肢障害(SU5)亀山楓の5人が獲得した。

この結果を受け、日本代表のKIM Jeungjaヘッドコーチは、「(東京)パラリンピック後、次の目標に向かい、それぞれの選手が日頃の課題に向き合い、コーチング・トレーナーと二人三脚で努力した賜物。世界的にパラバドミントンのレベルが高くなっているため、今後はより練習に励み更なるレベルアップが必要になる。パリパラリンピックで良い成績が出せるよう、選手、スタッフ一同頑張っていきたい」と総括した。

準決勝で豊田まみ子選手との日本人対決に敗れ、銅メダルの亀山楓選手(SU5)。「自分の気持ちが少し引いてしまった。今後はもっと気持ちの面で安定していけたら」(撮影: 吉村もと)

西村啓太選手(WH1)は世界選手権初出場で表彰台に上ったが、準決勝での敗戦を反省。「悔しい結果で、苦い思い出。(持ち味の)粘り強さだけでなく、前に落とされたシャトルを拾う技術などプラスアルファの強みを身に着けたい」【撮影: 吉村もと)


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【自転車】 J:COM presents 2022 ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム
ベテラン、藤田征樹が最速タイム!

世界トップクラスのサイクリストがさいたま新都心駅周辺を疾走する「2022ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム」が11月6日、3年ぶりに開催された。パラサイクリングの部には日本から7組8名が個人タイムトライアルレースに出場。パラリンピック4大会連続出場のベテラン、藤田征樹(MC3/藤建設)が最速タイム(4分26秒31)をマークした。

多くの自転車競技ファンが駆け付ける人気イベント。藤田は、「これだけのお客さんに見ていただき、名前を呼んで応援いただいた。また、インターネットやテレビでも観戦いただき、幸せだなと思って走った」と笑顔を見せた。8月のレース中に落車して左鎖骨骨折などのケガを負い、リハビリを経ての復帰戦だったが、「体を作り直している途中で、いい走りだったと思う」と振り返った。

また、東京パラでロード二冠の杉浦佳子(WC3/総合メディカル/TEAM EMMACycling)は4分52秒87でフィニッシュした。前週のコロナワクチン接種の影響で体調万全ではないなか、「いいタイムで、自分としては満足。やってきた積み重ねが生きた」と手ごたえを口にした。

<リザルト>
藤田征樹(MC3)4分26秒31/木村和平/三浦 生誠ペア(MB)4分28秒66/川本翔大(MC2)4分29秒65/杉浦佳子(WC3)4分52秒87/松本亘(MH3)5分37秒25/藤井美穂(WC2)5分45秒37/福井万葉(MT2)6分22秒31
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【柔道】 IBSA(国際視覚障害スポーツ連盟)柔道世界選手権バクー大会
廣瀬順子、女子J2-57㎏級で銅メダル!

男女クラス別(*)の世界一決定戦で、11月8日から10日の日程で、アゼルバイジャンのバクー市で開かれた。

日本から6選手が出場し、J2クラスの女子57㎏級で廣瀬順子(SMBC日興証券)が銅メダルを獲得した。

(*)視覚障害の程度によりJ1(より重度)とJ2に分かれ、体重クラス(男女各4)別に競う。

【男子】J1クラス・73㎏級:加藤裕司 2回戦敗退、敗者復活戦敗退/同90㎏級:松本義和 初戦敗退
J2クラス・73㎏級:瀬戸勇次郎 初戦敗退
【女子】J2クラス・57㎏級:廣瀬順子 銅メダル/同:工藤博子初戦敗退、敗者復活戦敗退
/同70㎏級:小川和紗 2回戦敗退 5位

(文:星野恭子)