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シリア、バシル氏の暫定政権発足

"シリアではアサド政権崩壊を受け、反体制派「シャーム解放機構(HTS)」が指導する新たな政権移行が始まりました。12月10日、HTSはムハンマド・バシル氏を暫定首相に任命し、同氏が北西部の反体制派支配地域を率いることが発表されました。任期は2025年3月1日までとされています。

バシル氏は、過去に「救済政府」のトップを務めた経歴を持ち、政権移行の指揮を執る予定です。同日、旧アサド政権との協議が行われ、権力移譲に向けた話し合いが進められました。しかし、反体制派は複数の勢力に分かれており、政権移行が円滑に進むかどうかは不透明です。

一方、首都ダマスカスでは政権崩壊後、銀行や商店が再開されるなど日常生活が徐々に戻りつつありますが、地域の安全確保が大きな課題です。HTSは一部の武装勢力を都市部から撤退させ、代わりに警察や治安部隊を配備しています。同組織は旧アルカイダ系組織として知られていますが、近年は過激思想から距離を置いているとされています。

国際社会からも注目が集まっています。ブリンケン米国務長官は、包括的で無宗派的な統治への期待を表明し、化学兵器や生物兵器の廃棄にも言及しました。また、イスラエルのカッツ国防相はシリア南部に防衛地帯を設ける意向を示しており、シリアの安定化が地域全体の課題となっています。"