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「星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ」(525) 日本代表が海外で躍動! 車いすテニスなど4競技の国際大会をダイジェストで

11月中に開催されたパラスポーツの国際大会で、日本人選手たちが活躍しました。今号では主な戦績をピックアップして、開催日程順にご紹介します。

■車いすカーリング 世界車いすBカーリング選手権大会2024

11カ国が参加して11月2日から8日にかけてフィンランドで開催された、「世界車いすBカーリング選手権大会2024」で、日本代表が銀メダルを獲得しました。世界カーリング連盟主催大会で、車いすカーリングの日本代表がメダルを獲得したのは初めてです。

日本は11カ国の総当たり戦による予選ラウンドで2位となり、上位4カ国によるプレイオフに進出。準決勝ではチェコを6-5で振り切りましたが、決勝で惜しくもアメリカに9-4で敗れ、2位でした。3位決定戦はイギリスがチェコを7-6で下しました。

なお、この大会は来年3月にスコットランドで開催される「世界車いすカーリング選手権大会2025」の予選会を兼ねており、上位3チームまでに入った日本は出場権を獲得。同選手権大会は2026年のミラノ・コルティナ2026冬季パラリンピック出場につながる重要な大会です。

車いすカーリングは、一般のカーリングと同じシート(氷上のプレイエリア)でほぼ同じルールで行いますが、大きな違いは選手が車いすに座った状態で、手、またはデリバリースティック(棒状の競技用具)を使ってストーンをスローすること。そして、氷上をブラシなどでこすってストーンが滑る方向やスピードを調節する「スウィープ」がない点です。選手にはより精度の高いスロー技術が求められます。

2026年のミラノ・コルティナパラリンピックでは男女混合4人制の「チーム」と、2026年大会からの新種目である男女ペアの「ミックスダブルス」が行われます。出場チーム数は「チーム」が10、「ミックスダブルス」は8で、開催国枠で両種目の出場権を得ているイタリア分以外の枠は各種目の世界ランキング上位国に与えられる予定です。

日本代表は2010年のバンクーバー大会以来のパラリンピック出場を目指し、強化を進めています。ぜひ、応援ください。

■車いすテニス 2024 NEC車いすテニスシングルスマスターズ

国際テニス連盟(ITF)が主催する車いすテニスツアーの今季最終戦、「NEC車いすテニスシングルスマスターズ」が11月11日から17日にかけてオランダで開催され、男子で小田凱人選手が、同女子で上地結衣選手が優勝。ともにパリパラリンピックでも初の金メダルを獲得しており、多忙なシーズンの有終の美を飾りました。

同大会はITF主催大会としては最上位の大会で、男子、女子、クアードの3カテゴリーそれぞれのシングルスランキング上位8選手のみが出場できます。1994年に創設され、今年は第30回の記念大会として開催されました。

世界ランキング1位で臨んだ小田選手は、グループリーグを3戦全勝で勝ち抜け、進んだ準決勝ではパリパラリンピック決勝でも対戦したアルフィー・ヒューイット選手(イギリス)を2-1(6-4、4-6、6-3)で下します。迎えた決勝ではゴードン・リード選手(同)に2-6の劣勢から、6-0、6-2と逆転し、2-1で勝利しました。

また、世界ランキング2位の上地結衣選手もグループリーグは3戦全勝で勝ち上がり、準決勝で、イースケ・グリフィオン選手(オランダ)を6-1、6-1で圧倒。決勝はアニク・ファン・クート(オランダ)に0-6から6-4、6-4と逆転し、勝利しました。

小田選手も上地選手も、来年は1月12日に開幕する全豪オープンからシーズンインの見込みです。ぜひ、こちらもご注目ください。

■車いすバスケットボール IWBF2024 男子U23アジアオセアニアチャンピオンシップ

23歳以下(*)の男子選手を対象にしたた「2024 男子U23アジアオセアニアチャンピオンシップ」が11月18日から23日までタイ・バンコクで開催され、日本代表は銀メダルを獲得しました。(*:2003年1月1日以降生まれ)

日本の他、オーストラリア、インド、イラン、サウジアラビア、フィリピン、タイの7チームが出場し、総当たり戦による予選を行い、順位に応じて順位決定戦に進む試合形式で行われました。日本は総当たり戦を5勝1敗の予選2位で通過して、決勝戦へ。同1位のオーストラリアと対戦し、41-67で敗れましたが、アジアオセアニア地域の2位となり、上位3チームまでに与えらえる来年6月にブラジルで行われる男子U23世界選手権への出場権をつかみました。

また、全選手から選出されるオールスターチーム(ベスト5)に岩田晋作選手(4.0~4.5クラス)が選ばれました。

日本男子代表は東京パラリンピックで史上初の銀メダルに輝くも、パリ大会の出場権は逃し、次のロサンゼルス大会での復活出場と再度のメダル獲得を目指しています。U23代表選手たちの活躍は頼もしく、今後の切磋琢磨による日本代表全体のさらなる進化が期待されます。

■視覚障害者柔道 IBSA柔道グランプリ アスタナ大会

11月23日から24日にかけてカザフスタンで「IBSA柔道グランプリ アスタナ大会」が開催されました。パリパラリンピック後の初の国際大会として、日本からは次世代を担う選手たちを中心に、男子4名、女子4名が出場しました。女子70キロ級J2(弱視)で西村淳未選手が優勝、同J1(全盲)で土屋美奈子選手と同60キロ級J2の工藤博子選手、男子95キロ級J1の松本友和選手が準優勝。さらに、男子70キロ級J2の櫻井徹也選手が3位に入りました。

日本はパリパラリンピックで瀬戸勇次郎選手(男子73キロ級J2)と廣瀬順子選手(女子57キロ級J2)がそれぞれ自身初の金メダルを、半谷静香選手(同48キロ級J1)も自身初のメダルとなる銀を、小川和紗選手(同70キロ級J2)が東京大会につづく2つ目の銅を獲得するなど好結果を残しました。

しかし、パリ大会後のルール変更により、体重階級の区分が変更され、4年後のロサンゼルス大会に向けて新たな対応と強化が求められています。その第一歩となった今大会で得た手応えも課題も糧に、さらなる進化が期待されます。

(文:星野恭子)