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「星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ」(297) 東京パラ開幕まで200日。チームジャパンは「超えろ、みんなで。」のスローガンで、「金20個」に挑む!

2月7日は東京パラリンピック開幕(8月25日)まで200日の節目でした。日本パラリンピック委員会(JPC)は東京都内で「TEAM PARALYMPIC JAPAN」の発表会見を開き、コンセプトやチームロゴなどがお披露目されました。

JPCの高橋秀文副委員長は、「TEAM PARALYMPIC JAPAN」とは、母国開催のパラリンピックで活躍を目指す日本人選手たちへの応援ムードを最大化する旗印だと説明。「TEAM」という言葉には選手・スタッフに加え、選手を支える人や応援する人など全ての人を含み、「ワンチーム」として応援しようという想いが込められているそうです。
東京パラリンピックで金メダル獲得を目指す車いすテニスの国枝慎吾選手(右)と河合純一・東京パラ選手団長(左)、高橋秀文・日本パラリンピック委員会副委員長 (撮影:星野恭子)

ロゴマークは赤い円ですが、実は無数の赤が集まったデザインで、個性としての自分の色を持つ選手たちが集まって、一つの円=チームを構成するシンボルを表現しているそうです。日の丸にも太陽にも見え、チームジャパンのイメージにはぴったりに感じます。

会見には、2月2日に閉幕した全豪オープンテニス・車いすの部男子シングルスで2年ぶり10勝目を挙げた国枝慎吾選手も登壇しました。すでに内定を決めている東京パラでは、通算4つめの金メダル獲得が期待されています。

「(優勝した)タイミングで(この会見に)参加できて嬉しい。きれいなグラフィックのシンボルを掲げて臨めるのは選手としてモチベーションが上がる」と歓迎。また、「(東京パラが)いよいよ迫ってきたという実感はあるが、車いすテニスは全豪の次に全仏、ウィンブルドンと続き、その先にパラリンピックがある。目の前の目標を一つひとつクリアすることが自分の向上につながる。そこはぶれずにやっていきたい」と強い覚悟を示しました。
車いすテニスの国枝慎吾選手は、「チームロゴ」を横に、「モチベーションが上がる!」 (撮影:星野恭子)

「超えろ、みんなで。」というチームスローガンも発表されました。選手やスタッフだけでなく、「TEAM」を構成する全ての人が思いを一つに大会を迎え、チーム一丸で超えたいものや超えるべきものを超えていこうというキャッチコピーになっています。

パラリンピアンとして初の夏季大会日本選手団団長にも就任した河合純一JPC委員長は、「応援は、自分の実力以上の力を発揮できる大きな後押しになる。選手はプレッシャーでなく、追い風にしてパフォーマンスに生かしてほしい」とエールを送るとともに、団長として「選手が最高のパフォーマンスを発揮できる環境を整えることが役割。最高の形で迎えて、『史上最大最高のパラだった』といってもらえるような大会にしたい」と意気込みを語りました。

▼(参考) パラ水泳のレジェンド、河合純一氏がJPC新委員長に就任。「東京パラを、史上最高の大会に」  
https://op-ed.jp/sports/4780

スローガンとともに、チームステートメントも発表されました。東京パラに向けて、さらにその先の未来をも意識した「宣言」となっています。以下、全文を紹介します。

【超えろ、みんなで。
あらゆる違いを。昨日までの常識を。のしかかる重圧を。胸に秘めた目標を。誰かが決めた限界を。競技の壁を。想像を。超えたいもの。超えるべきもの。私たちは、それぞれの勝利を目指す。だけど、私たちは一人ではない。夢をともにし、挑戦をともにする仲間が私たちにはいるのだから。違いを認め合い、ともに高め合う。パラリンピックの精神は、社会すらも変えていく。すべてを超えたその先へ。私たちは、未来を作る一つのチームだ。
TEAM PARALYMPIC JAPAN】
東京パラリンピック日本選手団の河合純一団長は、「ステートメント」を横に、「選手が最高のパフォーマンスを発揮できるよう、ぜひ応援を!」 (撮影:星野恭子)

会見では「金メダル獲得目標も発表され、「20個」と設定されました。高橋副委員長は「20個」について、2017年1月にJPC内に新設した東京2020大会特別強化委員会を中心にさまざまに協議し、金メダルランキングとして世界7位を目標に、総合的な判断で算出したと説明しました。

ただし、前回2016年リオ大会では日本は銀10個、銅14個を獲得しましたが、金メダルはゼロで、世界ランクも64位に終わっています。過去最高の実績を見ても2004年アテネ大会の金17個でランク10位でした。高橋副委員長は「ストライクの範囲内だが、高めいっぱいのストライク。チャレンジングな目標だと認識している」とコメント。

河合団長は、「高めな目標と認識しているが、不可能ではない。選手が最高のパフォーマンスを発揮した結果としてこの目標に到達すると信じ、団長として選手やコーチ、競技団体をサポートしたい」と話し、さらに、「ぜひ応援を」と呼びかけました。

金メダル有力候補の国枝選手は、「皆さんの想像を超えるプレーを見せたい。残り半年、ケガに気を付けて力を存分に発揮できれば」と、母国開催での悲願に向け、力を込めました。

ということで、今回発表された、「TEAM PARALYMPIC JAPAN」の応援プロジェクト。現時点での内定選手は約40名で、選手団が固まるのは6月下旬以降の見込みですが、佳境を迎えた熾烈な代表選手争いや強化大会も目白押しです。ぜひ「TEAM」の一員となり、「超えろ、みんなで。」を合言葉に、今から東京パラリンピックをお楽しみください!

(文・取材:星野恭子)