「パラスポーツ・ピックアップ」(112) リオ・パラリンピック開幕まで100日記念号:5月の大会結果&6月の大会情報(星野恭子)
国内外のパラリンピック関連ニュースを独自にまとめた「パラスポーツ・ピックアップ」。
リオ・パラリンピック開幕までちょうど100日となった今日、5月30日号は、5月後半に開催された主な大会の結果と6月に開催される主な大会情報をまとめました。南米で初開催となるリオ大会に向け、日本代表候補選手も続々と発表されるなか、合宿や強化試合なども多数実施されています。ぜひ、会場でエールを!<5月9日以降の主な大会結果>
【車いすテニス】日本男子は準優勝! 女子とクアードは3位に
・23日~28日: ITF(国際テニス連盟)が主催して年に一度行われる、車いすテニスの国別対抗戦、「ワールド・チーム・カップ2016東京大会」が有明テニスの森公園(東京都江東区)などで開催され、男子決勝で日本はフランスに0-2で敗れ、準優勝となり、9年ぶり3度目の優勝を逃した。フランスは2年ぶり7度目の金メダル獲得だった。
第1試合のシングルス戦では、眞田卓(世界ランキング9位)がニコラ・ペイファー(同3位)に1-6、1-6のストレートで敗れた。つづく第2試合は世界ランク1位のステファン・ウッデと日本のエース国枝慎吾(同5位)の対決。2012年ロンドン・パラリンピック決勝と同一カードとなり、注目されたが、4月に右ひじの手術を受け、今大会が復帰戦だった国枝はまだ本調子でなく、4-6、2-6で敗れ、2勝目を挙げたフランスの優勝が決定した。
女子は女王のオランダが中国に勝利し、17連覇を達成(通算28度目の優勝)。日本は3位決定戦でロシアを2-1で破り、3位に入った。クアード(*)はオーストラリアが初優勝、日本はイスラエルを2-1で破って3位だった。
(*)クアード: 四肢のうち三肢以上にまひなどの障がいがあるクラス。
今大会には全5クラス(上記3クラスに加え、男子2部、ジュニア)に世界29カ国から52チームが参加した。世界トップクラスのプレイを間近に見るチャンスとはいえ、さすがに平日の観客は少な目だったが、最終日の男子決勝戦には約3500人の観客が詰めかけ、「ニッポンコール」やウェーブなどもあり、盛り上がりを見せた。フランスのウッデは、「よいプレイには、相手選手にもちゃんと拍手をしてくれた。日本のテニス熱に感動した。2020年にまた、日本に戻ってきたい」と観客に感謝していたが、4年後に同じ会場でパラリンピック開催を控える東京にとっても、手応えを感じた大会だったのではないだろうか。 ▼詳しい結果など: http://wtc2016tokyo.com/
・25日: 日本車いすテニス協会が、リオ・パラリンピック日本代表推薦選手を発表した。正式な派遣選手は後日、日本パラリンピック委員会(JPC)が決定、発表される予定。 <男子>
国枝慎吾/眞田卓/三木拓也/齋田悟司
<女子>
上地結衣/堂森佳南子/二條実穂
<クアード>
諸石光照/川野将太 【パラトライアスロン】
リオ見据え、国内外のトップ選手が熱戦! ・14日~15日: 「2016世界トライアスロンシリーズ横浜大会」が横浜市の山下公園周辺の特設コースで開催された。トライアスロンは9月のリオ大会でパラリンピックデビューを果たす予定でもあり、14日のパラトライアスロン・エリートの部には、リオ大会出場ポイントを目指し、国内外からトップクラスの約60選手が出場した。 リオ大会では男子がPT1、PT2、PT4、女子がPT2、PT4、PT5の計6クラスに絞って実施される。該当するクラスの日本勢の結果は、女子PT2クラス(切断・機能障がいなど/立位)で秦由加子が2位、同PT5(視覚障がい)で山田敦子が3位、男子PT1(切断・機能障がいなど/座位)で木村潤平が4位、PT4(切断・機能障がいなど/立位)で佐藤圭一が7位だった。リオ大会をにらみ、海外選手もレベルを上げており、ハイレベルな戦いが繰り広げられた。 その他、男子PT5は日本勢が表彰台を独占、中澤隆が優勝、米岡聡が2位、長井敬二が3位だった。同PT3(切断・機能障がいなど/立位)では宇田秀生が2位、乾井紀英が3位に入った。 ▼詳しい結果など: http://www.jtu.or.jp/results/2016/2016yokohama_para_result-J.pdf 【ウィルチェアーラグビー】 最下位に沈んだ日本。リオへ奮起を! ・19日~22日: 世界ランク3位の日本をはじめ、アメリカ(同2位)、オーストラリア(同4位)、イギリス(同5位)の4カ国による対抗戦、「2016ジャパンパラ競技大会」が千葉ポートアリーナ(千葉市)で開催された。3日間にわたる予選リーグを経て、日本は最終日の3位決定戦でアメリカに51-56で敗れ、最下位の4位に終わった。決勝戦はオーストラリアがイギリスを57-49で下し、優勝した。 決勝戦より。攻め込むイギリスチーム(白)と進路をふさごうとするオーストラリアチームのゴール前の攻防 日本は出場権を得ているリオ・パラリンピックで初のパラリンピックメダルを目指しており、今大会は強豪相手に強化試合の一環だったが、厳しい結果となった。リオまであと3カ月あまり。今大会で見つかった課題を一つずつ、チーム一丸となって克服し、12年ロンドン大会で4位に終わった悔しさを、リオでぜひ晴らしてほしい。
<6月開催予定の主な大会>
【陸上競技】 「2016ジャパンパラ陸上競技大会」 リオ・パラリンピック代表に向け、最終予選会を兼ねた、重要な大会 6月4日(土)~5日(日)/デンカビッグスワンスタジアム(新潟市中央区) http://japanpara.com/ (大会プロモーション動画: https://youtu.be/-lxmbJ4bOK0) 【ゴルフ】 「第20回全国視覚障害者ゴルフ競技会」 パートナーの支えを受けてプレイする。全盲、弱視の部に分かれて実施。 6月6日(月)/五浦庭園CC(福島県) http://www.vig-jp.com/taikai-toko.htm 【車椅子バスケットボール】 「第29回日本車椅子ツインバスケットボール選手権大会」 高低2つのゴールがあるバスケットボール。手に障がいがある人も楽しめる。 6月11日~12日/パークアリーナ小牧(愛知県小牧市) http://www.jwtbf.com/ 【水泳】「第30回関東身体障がい者水泳選手権大会」
関東身体障がい者水泳連盟主催の大会
6月11日(土)/横浜国際プール(神奈川県横浜市)
http://www.kanto-sfd.com/taikai.html 「第19回
日本知的障害者選手権水泳競技大会」
知的障がいのある選手が対象
6月12日(日)/横浜国際プール(神奈川県横浜市)
http://jsfpid.com/ 【トライアスロン】
「第2回びわ湖トライアスロンンin近江八幡」
日本トライアスロン連合(JTU)公認大会
6月19日(日)/滋賀県・近江八幡市スポーツ施設運動公園体育館など
http://www.try-8.com/ 【卓球】
「2016FIDジャパン・チャンピオンシップ卓球大会」
知的障がいのある選手が対象
6月25日(土)~26日(日)/横浜市平沼記念体育館
http://jttf-fid.jimdo.com/ 【パワーリフティング】
「2016パラ・パワーリフティング ジャパンカップ選手権大会」
パラ・パワーリフティングは障がい別でなく、体重別で実施。
6月26日(日)/小倉北体育館(福岡県北九州市)
http://www.phouse.jp/
(文・写真: 星野恭子)