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「星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ」(101) 11.9~11.15

国内外のパラリンピック競技の話題を独自にセレクトした「パラスポーツ・ピックアップ」シリーズ。

おかげさまで、前号で100号目を配信させていただきました。ご愛読、感謝いたします。また新たな気持ちで、パラスポーツのさまざまな情報をお送りしていきます。101号としてはまず、ゴールボール日本女子のリオデジャネイロ・パラリンピック出場権獲得の嬉しいニュース、そして、過去に例のない活動として大きな注目を集める「日本財団パラリンピックサポートセンター」の最新情報など、盛りだくさんでお届けします。

■ゴールボール

・12日: 中国・杭州で8日から開催されていた、ゴールボールのリオデジャネイロ・パラリンピック予選を兼ねたアジア・パシフィック選手権の決勝が行われ、日本の女子は中国を1-0で下して優勝し、4大会連続のパラリンピック出場を決めた。

101_01優勝が決定し、喜ぶゴールボール日本女子チーム。左から、安達阿記子選手、若杉遥選手、浦田理恵選手。リオデジャネイロ・パラリンピック出場権も手にした=写真提供:一般社団法人 日本ゴールボール協会

予選リーグでは敗れていた中国に対し、日本は若杉遥、浦田理恵、安達阿記子のスタメンで臨み、安達のゴールで試合開始早々に1点を先制。その後は、中国の猛攻を定評ある守備力で守り切った。

日本は2012年ロンドン・パラリンピックで、日本のパラリンピック史上初となる団体競技での金メダルを獲得しており、これで連覇への挑戦権も得たことになる。

一方、準決勝で敗れてリオ出場権を逃した男子は、3位決定戦で韓国に3-8で敗れ、4位に終わった。

ゴールボールは視覚障がい者のために考案されたスポーツで、バレーボールとほぼ同じコートを使い、1チーム3人で対戦し、鈴の入ったボールを相手ゴールに向かって転がし、得点を競う。視覚障がいの程度を公平にするため、選手は全員アイシェード(目隠し)をつける。

【東京発】

・10日: 日本財団(東京・港区)は、2020年東京パラリンピックに向け、同財団ビル内の1300平方メートルのフロアに、「パラリンピック競技団体共同オフィス」をオープンさせた。現時点で25のパラリンピック競技団体の入居が決まっている。

101_02「パラリンピック競技団体共同オフィス」オープン発表会より。前列左から、一ノ瀬メイ選手(競泳)、国枝慎吾選手(車いすテニス)、池崎大輔選手(ウィルチェアーラグビー)、高桑早生選手(陸上)、後列左から、日本財団パラリンピックサポートセンター山脇康会長、特別顧問の笹川陽平日本財団会長)、同舛添要一東京都知事、最高顧問の森喜朗東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長、遠藤利明東京オリンピック・パラリンピック担当大臣、鈴木大地スポーツ庁長官、評議員の鳥原光憲日本パラリンピック委員会会長=撮影:星野恭子

同財団は今年6月、100億円の予算規模で選手の競技環境の整備やパラリンピックの普及・啓発などの事業を20年東京パラリンピック開催後の21年末まで行う「日本財団パラリンピックサポートセンター」の設立を発表していた。オフィスの無償提供はその中心的事業となる。これまで、パラリンピックの競技団体の多くは専用の事務所がなく、ボランティアスタッフが運営に当たるなど、選手が競技に集中できるような組織基盤の強化が課題だった。

オープン発表会に出席した、日本パラ・パワーリフティング連盟の吉田進会長は「これまでは自宅が事務所だったが、今後は会議もできるし、他の競技団体との情報交換もできる。ありがたい」と感謝した。また、陸上競技の高桑早生選手は「ワクワクするオフィス」と話し、車いすテニスの国枝慎吾は、「すばらしい環境を整備していただき、あとはアスリートがやるだけ」と力強く語った。

同センターの事業には助成金制度もある。山脇康センター会長によれば、各団体一律支給でなく、「それぞれのニーズを聞きたい」とする。実際、活動歴や競技規模により団体ごとの組織力や体制は一律でなく、必要とする支援内容にも幅があるのが現状だ。それぞれのニーズを聞き、的確な支援を行えるかが事業の成否に大きく関わることになると思われる。

また、同センターのサポーターをタレントのSMAPが務めることも発表され、11月29日に開催予定の「パラ駅伝」も応援出場することも発表された。

【車いすバスケットボール】

・13日~15日: 4カ国が参加して、第12回となる「2015北九州チャンピオンズカップ国際車椅子バスケットボール大会が北九州市立総合体育館で開催され、決勝でイギリスが日本を66-49で下し、優勝した。また、3位決定戦では韓国がアメリカに67-56で勝利した。

同大会は、2002年に同市内で4年に一度の世界選手権大会として行われた「北九州ゴールドカップ」を記念し、翌03年から継続して開催されている、車いすバスケットボールの国際大会。現在は2020年東京パラリンピックに向けた若手選手の育成や大会前のキャンプ候補地として働きかけ、2020年大会成功への貢献も目的としている。

また、「第17回全日本ブロック選抜車椅子バスケットボール大会」も8チームが参加して併催され、関東選抜が優勝した。

<最終順位>
優勝:関東/2位:東海北陸/3位:九州/4位:東北/5位:近畿/6位:東京/7位:中国8位:四国

<オールスター5>
矢守睦 (関東 No.13)/竹中久雄 (東海北陸 N.11)/新城茂人 (九州 No.10)/土子大輔 (関東 No.5)/宮島徹也 (東海北陸 No.4)

【大会情報】
第26回全日本女子車椅子バスケットボール選手権大会
・11月21日(土)~22日(日)
・グリーンアリーナ神戸(神戸市須磨区・神戸総合運動公園)
・7チームによるクラブチーム日本一決定戦
・大会情報: http://www.jwbf.gr.jp/championship_woman/info/game/26.php

【ブラインドサッカー】

・9日: 日本ブラインドサッカー協会(JBFA)は、2020年東京パラリンピックでのメダル獲得に向け、代表チーム部長として前GKコーチの高田敏志氏(48)を選任し、さらにスムーズな体制構築のため、今年11月1日~来年10月末日までの1年間、ブラインドサッカー日本代表監督も兼務することを発表した。

9月に開催されたアジア選手権の成績(4位)、および北京、ロンドン、リオデジャネイロと3大会連続でパラリンピック出場を逃したことをふまえ、1年かけて新たな代表チーム体制を築くことを理事会で決定した上での選任だという。高田新監督は22日から東京都内で行われる日本代表強化合宿から指揮を執る。

<高田敏志新監督のコメント>

ブラインドサッカー日本代表は2020年東京パラリンピックでのメダル獲得に向けて新たなスタートを切ります。これまでの経験を糧に、日本代表チームは既存の守備力に加えて世界の強豪相手にゴールを奪える攻撃を構築するために技術、戦術、メンタル、フィジカルなどブラインドサッカーの枠に捉われないマネジメントスタイルで強化を図り、新たなプレーモデルの構築と選手たちの更なる競技力向上を目指します。皆さまにはこれまで同様、温かいご声援、ご協力を受け賜りますよう、どうか宜しくお願い申し上げます。

・15日: 「北日本リーグ2015」第2節が真駒内セキスイハイムアイスアリーナ(北海道真駒内市)で開催され、地元のナマーラ北海道がコルジャ仙台FCを2-0で破り、今季リーグ初戦を初勝利で飾った。北海道での初の公式戦となったこの試合には、約350名が来場した。

JBFAは今年度から国内を北日本、東日本、西日本の3つのリーグに再構成し、北日本リーグは1道8県(北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、新潟県、長野県)を拠点とするチームを対象とする。今年度は4チームが加盟し、全3節で北日本チャンピオンが決定する。

【大会情報】
北日本リーグ第3節
・11月28日(土)
・FUT MESSE仙台長町(仙台市・SRGスポーツパーク内)
・3試合が予定され、北日本チャンピオンが決定する予定
・詳細: http://www.b-soccer.jp/8756/event/burasaka1128.htmlhttp://www.b-soccer.jp/8756/event/burasaka1128.html

(取材・文・写真: 星野恭子)