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「星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ」(98) 10.3~10.12

国内外のパラリンピック競技の話題を独自にセレクトした「パラスポーツ・ピックアップ」シリーズ。

今号では、来年のリオデジャネイロ・パラリンピック地区予選を兼ねた、車いすバスケットボールアジアオセアニア選手権の試合結果などを中心にリポートしています。熱戦は17日までつづきますが、入場無料で、特別編集の「ファン・ブック」の無料配布や写真展など来場者サービスもいろいろあります。ぜひ会場で声援して、「ホームの利」で日本代表を後押ししてください!

■車いすバスケットボール

・10日: 車いすバスケットボールのアジアオセアニアチャンピオンシップ(AOC)が千葉ポートアリーナで開幕した。来年のリオデジャネイロ・パラリンピックの地区予選も兼ねており、男子は参加12カ国・地域を2組に分けた1次リーグを経て決勝トーナメントを行い、上位3チームがパラリンピック出場権を得る。女子は3カ国が参加。2回戦総当たりの1次リーグを行い、2位と3位による準決勝の勝者が決勝で1位と対戦し、優勝チームのみがリオに出場できる。開会式には遠藤利明五輪担当相も駆けつけ、選手を激励した。大会は17日まで。

98_01『車椅子バスケットボールかんたんガイド』と大会限定の特別編集冊子『リアル・ファン・ブック』(数量限定)を大会観戦者に無料配布中の。ファン・ブックには、日本代表の選手紹介や、『スラムダンク』『リアル』の作者、井上雄彦さんの特別ページも!

初日の日本は、11大会連続出場を目指す男子はタイに80-59と快勝。2大会ぶりの出場を目指す女子は2012年ロンドン・パラリンピック銀メダルのオーストラリアに42-53で敗れた。

・11日: AOC選手権2日目。男子は韓国と対戦した。昨年の世界選手権、アジアパラリンピックで連敗し、予選リーグ最大の山場ともいえる相手。立ち上がりは韓国にリードを許したが、後半に入ると、エース藤本怜央主将の連続得点などで逆転。55-48で勝ち、貴重な勝ち星をあげた。及川晋平ヘッドコーチは、「やるべきことをやり続けた結果。選手に感謝したい」と話し、藤本主将は「山場と位置付けた試合に勝てたのは、チーム全員でいいムードをシェアできた結果。リオ出場権に向けて、(今後の試合にも)“及川ジャパン”のバスケを続けたい」と力を込めた。

女子は、中国に37-48と敗れた。これで予選リーグ1巡目は2連敗となったが、橘香織ヘッドコーチは、「シュートを決めきれない課題はあったが、攻撃力のある中国を48点に抑えられ、プレスディフェンスに手応えを感じた」と話し、予選2巡目での巻き返しを誓った。

・12日: AOC選手権3日目。男子はアフガニスタンに91-12で大勝。これで予選3連勝となり、15日から始まる決勝トーナメント(上位8カ国)への進出を早々に決めた。

<12日までの日本戦試合結果>

・男子
10日:vs タイ ○80-59
11日:vs 韓国 ○55-48
12日:vs アフガニスタン ○91-12

・女子
10日:vs オーストラリア ●42-53
11日:vs 中国 ●37-48

<13日以降の日本戦予定>

・13日
女子:12時~ vs オーストラリア
男子:14時~ vs 中国

・14日
女子:12時~ vs 中国
男子:14時~ vs アラブ首長国連邦

(以降、14日までの結果で以降、決定)

<今後の日程概要>

・15日:女子準決勝/男子準々決勝、順位決定戦

・16日:女子決勝/男子準決勝、順位決定戦

・17日:男子決勝、3位決定戦

■ブラインドサッカー

・3日: 東日本リーグ第2節が慶応大学日吉キャンパス(神奈川県日吉市)で開催され、全盲クラス2試合、弱視クラス1試合が行われた。試合結果は下記の通り。

【全盲クラス】
1)buen cambio yokohama ● 0対2 Avanzareつくば ○
2)たまハッサーズ △ 1対1 埼玉T.Wings △

【弱視クラス】東京N-flugels  ● 0対1 F.C.SFIDAつくば ○

なお、第3節は、10月25日にMIFA Football Park (東京都江東区豊洲 6-1-23)で行われる。全盲クラス3試合、弱視クラス1試合が予定されている。

・4日: 日本ブラインドサッカー協会(JBFA)は、女性を対象とした、ブラインドサッカー(全盲クラス)、およびロービジョンフットサル(弱視クラス)の「女子練習会」を新宿NPO協働推進センターで開催した。第6回目となる今回は、ブラインドサッカーには9名、ロービジョンフットサルに6名が参加。パスやドリブルの基礎練習から、ミニゲームなどに熱心に取り組んだ。

現在、女子単独のチームは存在しないが、男子との混成チームで活躍する女性選手も増えている。JBFAによれば、今年7月の日本選手権では女子選手が1試合で2得点するなど、レベルも年々、向上している。女子練習会は今後も継続の予定で、JBFAは開催ごとに参加者を募集している。

■陸上競技

・11日: 第28回岡山吉備高原車いすふれあいロードレース大会が岡山県加賀郡の吉備高原都市で開催され、車いすロードレースのハーフマラソン男子T54クラスで、渡辺勝が優勝した。渡辺は22日から開催される国際パラリンピック委員会(IPC)陸上世界選手権(カタール・ドーハ)の代表に決定している。

(文・写真: 星野恭子)