「星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ」(95) 9.6~9.13
国内外のパラリンピック競技の話題を独自にセレクトした「パラスポーツ・ピックアップ」シリーズ。今号はパラリンピック初出場を目指し、東京開催のアジア選手権に臨んだブラインドサッカー日本代表の最終試合後のコメントほか、車いすテニス国枝慎吾選手の全米連覇などをリポートしています。
ブラインドサッカー
・7日: リオデジャネイロ・パラリンピックの予選を兼ね、2日から開催されていた、「ブラインドサッカーアジア選手権2015」が閉幕した。日本は予選リーグ3位(3勝1分1敗)で、韓国との3位決定戦に進んだが、スコアレスドローでPK戦に臨んだが、1-2で敗れ、大会4位に終わった。イラン対中国となった決勝は前後半無得点、さらに5分ハーフの延長戦も無得点のままPK戦となり、1-0でイランが制し、初優勝した。アジア選手権最終日の韓国戦を終え、サポーターに最後の挨拶をするブラインドサッカー日本代表選手とスタッフ陣なお、来年9月7日に開幕するリオ大会出場権はイランと中国が獲得した。日本は20年東京大会に自国開催枠での出場が決定している。
<3位決定戦後のコメント>
▼魚住稿監督
選手たちはこの4年間、本当にひたむきにやってきました。多くの人たちの助けを受け、日本チームはここまで強くなれました。リオへの道は昨日で途絶えてしまいましたが、今日はお世話になった皆さんへの恩返しの気持ちをこめて、自分たちがつくりあげてきたサッカーをこのピッチで最大限に見せようと選手を送り出しました。2016年リオを目指しながら、20年も見据えてきました。この(悔しい)思いをいい形にかえて、ブラインドサッカー界全体で20年にメダルを狙えるチームにつくり上げていきたいと思います。
▼大会で2得点のエース、黒田智成選手
僕がブラインドサッカーを始めたとき(2002年)、日本でこんな大会が開かれるなんて夢にも思っていませんでした。多くの方の努力に感謝の気持ちでいっぱいです。今の段階で日本は、世界と戦えるチームになってきているが、世界で勝ち切るチームにはまだなれていない。まずは国内から底上げをしてレベルアップしていく必要があると思います。
▼大会7得点をあげた、チーム最年少、川村怜選手
今大会で得点できたことは自信になりましたが、やはり中国やイラン相手に点を取れる選手にならないと、もっと日本の勝利に貢献できる選手にならないといけないなという思いです。
▼落合啓士主将
4年間積み上げてきたディフェンスや点を取りに行くときのラインアップなど自分たちのパフォーマンスは試合で出せたと感じています。ただ、勝ち切れないところに課題があった。5年後に向けて、もっとブラインドサッカーを広げることが必要。僕が全国に飛びますので、全国各地でやってほしいです。
■車いすテニス
・●10日~13日: 全米オープンテニスの車いすテニスの部が行われ、男子シングルスは国枝慎吾(ユニクロ)がステファン・ウデ(仏)を6-7(4-7)、6-3、6-2の逆転で制し、2年連続6度目の優勝を果たした。国枝はこれで、グランドスラム大会のシングルス20勝。
女子シングルス決勝は、ジョーダン・ホワイリー(英)が2連覇を目指した上地結衣(エイベックス)を6-4、0-6、6-1で下し、初優勝を果たした。イギリス人女子選手が車いすテニスのグランドスラム大会でシングルスを制したのは史上初。
なお、ダブルスは国枝、上地とも11日の準決勝で敗退した。
■パラサイクリング
・6日: 全日本実業団自転車競技連盟が主催する「第5回JBCFタイムトライアルチャンピオンシップ」が栃木市の渡良瀬遊水地で行われ、健常者に混じって藤田征樹(チーム・チェブロ)がE3クラスタ(*)で3位入賞した。
(*)E3クラス: Jエリートツアーの1クラスタで、E1~E3がある。
・13日: 東日本大震災の復興支援および震災の記憶を未来に残していくことを目的に、宮城県沿岸部で開催された自転車イベント「ツール・ド・東北」で、サントリー・ホールディングスの協力のもと、「パラサイクリングプロジェクト」も実施され、パラサイクリスト10名が出走した。
▼出走選手
・気仙沼ワンウェイフォンド(95km)
石井雅史/藤田征樹
・女川・雄勝フォンド(60km)
奥村直彦/小川睦彦/藤井美穂/花岡伸和/島田一彦/中山賢史朗/山本篤/春田純
■東京発
・11日: 10月に発足するスポーツ庁の初代長官に鈴木大地氏が任命されたという発表について、日本障がい者スポーツ協会日本パラリンピック委員会の鳥原光憲会長がコメントを発表した。
▼鳥原会長コメント全文
「本日、初代スポーツ庁長官に鈴木大地氏が任命されたことを心より歓迎いたします。鈴木大地氏は、オリンピックの金メダリストとして、また順天堂大学教授をはじめ、日本オリンピック委員会理事や日本水泳連盟会長として、幅広い視点からスポーツの振興に尽力されてきました。その優れた実績と国内外における豊富な経験を活かし、スポーツ基本法の理念の具現化に手腕を発揮していただけるものと期待しています。」
(文・写真: 星野恭子)