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「星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ」(93) 8.8~8.23

国内外のパラリンピック競技の話題を独自にセレクトした「パラスポーツ・ピックアップ」シリーズ。今号は2020年東京パラリンピックも見据え、このところ増えている、パラスポーツの普及や強化を目的としたイベントや取り組みについて集めてみました。また、来週25日は2020東京パラリンピックの開会式まで、ちょうど5年となる記念日。その関連イベントについてもご紹介しています。お近くの方、ご興味のある方、ぜひご参加ください!

■車いすバスケットボール

・8日~10日: 車椅子バスケットボールの普及、競技力向上のために、NPO法人Jキャンプが主催する基礎講習会、「Jキャンプ・ファンダメンタル」が2泊3日の日程で千葉市の千葉ポートアリーナで開催された。全国から集まった参加者男女約40名が参加し、現日本代表男子の藤本怜央主将らパラリンピアンのほか、海外から招いた外国人講師などの指導を受けた。

93_01車いすバスケットボールを楽しみ学ぶ、Jキャンプの様子

同キャンプは障害の有無にかかわらず車いすバスケットボールのスポーツとしての楽しさを知り、障害者の可能性を追求し、障害者への理解を深めてもらい、より多くの人とスポーツの楽しさを分かち合うことを目的に2001年に始められ、今年は12回目を数えた。これまでのキャンプに参加した選手のなかから、パラリンピアンも多数、生れている。

また、同時に指導者を対象とし、今年で2回目となる「Jキャンプ・for コーチ」も開催された。約10名の参加者のなかには、パラリンピックを目指す他競技のコーチなども含まれていた。


■東京発
・9日: 日本パラリンピック委員会(JPC)が主催する、選手発掘事業「めざせパラリンピック! 可能性にチャレンジ2015」が東京都障害者総合スポーツセンターと東京都立北特別支援学校で開催された。事前に申し込んだ、中学生から50代までの約50名の参加者が陸上競技や水泳、車いすテニスなど19のパラリンピック競技を体験したり、パラリンピアンによるデモンストレーションを見学した。

同イベントは、2020年東京パラリンピックの開催決定を受け、昨年度からスタート。競技団体や地域の障がい者スポーツ協会などと連携し、パラリンピック競技を知り、体験する機会を提供するとともに、将来のパラリンピック日本代表選手の発掘を目的としている。

JPCの大槻洋也強化委員長は、昨年はパラリンピック競技を知ってもらうことが主だったが、今年は2020年東京大会に直結する選手の発掘と、各競技団体の情報発信の場となることを期待している、などと話した。

なお、26日にも、大阪市の長居障がい者スポーツセンターとヤンマーフィールド長居で同様のイベントが開催される。

■陸上競技

・21日~23日: 病気やケガなどで足を大腿から切断した人を対象に、ドイツの義肢装具メーカー「オットーボック」が主催して、パラリンピック金メダリストが走り方などを教える、ランニングクリニックが東京都内で3日間の日程で開催された。参加したのはランニング初心者からパラリンピックを目指す選手まで10代から50代の男女13人で、ロンドン・パラリンピック男子100mT42クラス(片大腿切断など)の金メダリストで、ドイツ人のハインリッヒ・ポポフ選手の指導を受けた。93_02
ランニングクリニック参加者と、ハインリッヒ・ポポフ選手(後列左端)と山本篤選手(後列右端)

このイベントは、大腿切断者が家族や友人とスポーツを再び楽しみ、活動的な日常生活を送れるよう、大腿用スポーツ義足での歩行やランニングスキルの指導を目的に、2012年のロンドン・パラリンピック以降に始められたプロジェクト。これまでに欧州各地のほか、アメリカやブラジル、中国やキューバなどでも開催されているが、今回が日本での初開催となった。ゲスト講師として、日本の第一人者でパラリンピックメダリストの山本篤選手も参加した。

ポポフ選手は20年以上、スポーツ義足を使用してきた経験と競技者としての視点から、日常生活の中でも股関節をまっすぐに保つなど姿勢の大切さや、地道な基礎トレーニングの重要性を強調。参加者からは、「走れる喜びを感じた」「走り方の説明が分かりやすく、見て感じるだけでなく、頭でも理解できた」「(指導を受けて)意識が変わった。リオ大会出場目指します」など、好評だった。

▼ポポフ選手のコメント

参加者の皆さんが楽しそうに、熱心に取り組んでいて感銘を受けた。また日本でこうしたクリニックを開催したい。2020年東京大会の成功を確信している。

▼山本選手のコメント

参加者のやる気にも僕も熱くなった。走る人や選手が増えることは、(全体の)競技力アップにもつなががる。継続して開催できたらと思うし、僕も積極的に関わっていきたい。

<開催予定のイベント>
東京2020パラリンピックカウントダウンイベント
「みんなのTOKYO2020 5 Years to Go!!」

2020年東京パラリンピックの開催5年前を祝し、車いすバスケットボールのトップ選手たちによるデモンストレーションや競技体験会、大林素子さんらオリンピアンとのスペシャル対決などのほか、パラリンピック関連情報を学ぶ展示ゾーンなども設置される。

日時: 8月25日(火) 13時~14時(予定)

場所: ダイバーシティ東京 プラザ フェスティバル広場 (東京都江東区)

(文・写真: 星野恭子)