【パラスポ・ピックアップ・トピック(8)】 悲願のパラリンピック初出場へ! ブラインドサッカー代表の挑戦 (星野恭子)
リオデジャネイロ・パラリンピックがあと約1年後に迫ってきました。日本代表選手としては、車いすテニスの国枝慎吾選手が昨年のアジア大会金メダルで早々に内定を決めたほか、射撃や水泳など、まだ数名。これから本格化していきます。
団体競技もほとんどがこれからで、アジア大会等の地区予選や世界最終予選など各競技別にスケジュールが組まれています。実は、日本で予選大会が開かれる競技もいくつかあります。「地の利」を生かして出場権獲得を期待したいところですが、その先陣を切るのがブラインドサッカー。視覚障がい者らがプレイするサッカーです。
あと2週間後の9月2日に東京・渋谷で開幕する、アジア選手権大会がその舞台。日本を含む6カ国が総当たり戦を行い、上位2カ国に入れば、リオ出場が決まります。悲願のパラリンピック初出場を狙う日本は、北京パラリンピック銀メダルの中国、2014アジアパラ優勝のイランほか、韓国、インド、マレーシアと対戦します。
日本は4年前、パラリンピック出場まであと一歩に迫りました。4年前の2011年冬、翌年のロンドン・パラリンピックを目指していた日本は、仙台市で行われたアジア選手権で、「引き分けで初出場」という条件のなか、イランを相手に粘ったものの終盤に2失点し、出場権を逃しました。
その悔しさをバネに約4年、チームは徹底的に強化を図ってきました。昨年秋に韓国で行われたアジアパラ競技大会では銀メダルを獲得し、つづいて東京で開催された世界選手権では12チーム中6位とチーム史上最高位になるなど国際大会でも実績を積み、自信を深めています。
大一番を前に、強化合宿で取り組むブラインドサッカー日本代表チーム=2015年8月16日/クーバーフットボールパーク八王子富士森公園東京・八王子市
チームは先週末、8月15日から今日17日まで強化合宿を行い、8月26日から29日までの直前合宿を経て、9月2日からの大一番、「アジア選手権」へと向かいます。16日の合宿を取材しましたが、蒸し暑いなか、集中力を高く保った選手たちが、1対1、セットプレイ、フリーキック対策などといった練習に懸命に取り組んでいました。時に厳しい声がとび、時に笑顔がこぼれ、チーム一丸となって決戦へと一歩一歩確実に進んでいる様子が感じられました。
魚住稿監督は、「自国での開催。選手は必ず出場権を勝ち取ってくれる」と話し、チームの成長に対する大きな手ごたえと自信がうかがえました。この4年、「守備重視」から、「得点力」にもこだわった強化を図ってきたと言います。この辺りはまた後日、選手の声などとともにリポートしたいと思います。
さて、魚住監督のモットーは「総力戦」です。今回の合宿でも、選手やスタッフのほか、ボランティアやサポーターなど多くの人が汗を流していました。あなたも「総力戦」のひとりとして、2週間後の大一番を、会場で観戦しませんか?
鈴入りのボールの音や周囲のコーチらの声を頼りにプレイするブラインドサッカーでは、試合中はおとなしく見守らなければなりませんが、試合の前後やゴールが決まった後などは思いきり盛り上げるのがマナー。この声が選手の力になるのです。リオの出場権を獲得すれば、他の競技へのよい励みにもなるでしょう。
<IBSAブラインドサッカー アジア選手権2015>
・9月2日(水)~7日(月)
・国立代々木競技場フットサルコート (東京都渋谷区)
・日本戦予定
2日19:30~ vs中国
3日19:30~ vsイラン
4日19:30~ vs韓国
5日17:30~ vsインド
6日19:30~ vsマレーシア
7日: 順位決定戦 (時間は総当たり戦の結果しだい)
・有料入場制: チケット販売: http://www.b-soccer.jp/8368/news/asiaticket.html