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【ビーチバレーボール横浜グランドスラム・プレビュー】横浜をビーチのマイルストーンの地とすることできるか(小崎仁久)

 7月21日から26日まで横浜市西区にある臨港パークにて「FIVBビーチバレーボール・ワールドツアー・横浜グランドスラム」が行われる。本大会は世界14カ国を転戦するワールドツアーのひとつ。日本国内で行われるのは、男子は1995年の江の島大会以来20年ぶり、女子は2009年の大阪大会以来6年ぶりとなる。ツアーの中でもグレードの高いグランドスラムは国内初開催で賞金総額80万ドルを争う大会である。

 

 今シーズンはリオデジャネイロ五輪の前年。リオへの出場権は男女各24チームに与えられるが、世界選手権王者、大陸予選枠、ホスト国枠をのぞく15チームはワールドツアーのポイントランキングで決定する。そのため今シーズンは各国、各チームとも積極的にツアー転戦しポイントを集めており、横浜にも男女の今年の世界チャンピオン、アリソン/ブルーノ・シュミット組(ブラジル)、アガタ/バーバラ組(ブラジル)をはじめアメリカ、オランダ、ラトビアなど強豪が顔を揃える。

 

 ホスト国である日本チームは男子4チーム、女子6チームが出場予定。中でも西堀健実/溝江明香組は日本人最上位のツアーランキング33位(7/13現在)につけ、最も期待が集まる。

 

 西堀と溝江は3年前、別々のペアでロンドン五輪予選に挑んだが涙を飲んだ。その後、国内最強ペアとしてタッグを組みサポートが少ない中、五輪出場を目指しワールドツアー参戦を続けてきた。その地道な挑戦は徐々にではあったが確実に実力とランキングを上げていき、昨シーズンのワールドツアー最終戦、マンガウングオープン(南アフリカ)では準優勝。日本ビーチ界としては14年ぶりの表彰台を得た。今シーズンに入ってもその余勢を駆りアジアンツアーで優勝。強豪チームからも警戒される存在となった。

 

 世界での戦いでは必須であるテンポの速い攻撃と、相手の攻めに体勢を崩されてもポイントを取る力。この3シーズンで身に付けたスキルと向上したフィジカルを持って、どこまで可能性を見せるのか。「グランドスラムでの表彰台」を公言してきた西堀と溝江は、横浜を大きな節目の地にしたいだろう。

 

 男子の話題は2年ぶりに現役復帰した白鳥勝浩。北京、ロンドンと出場二度のオリンピアンは指導者に転じていたが、ワールドツアーのエントリーポイントさえ稼げない日本男子の現状に、コート内に舞い戻った。ブロッカーの長谷川徳海とのペアでどんな戦いを見せるのか、同じく今年、日本代表入りを果たした西村晃一とともにベテランの経験で日本男子チームの復興なるか。

 

 注視したいことがもうひとつ。日本バレーボール協会(JVA)は今年5月、会長が交替した。前会長は低迷が続くビーチバレーボールの強化に注力するビジョンを掲げたが、効果的な具体策を出せないまま、協会の財政問題を理由に解任。木村新会長にとっては就任後初めてのFIVB(国際バレーボール連盟)の大会となる。

 

 20年ぶりに日本でワールドツアーが開かれる理由は、やはり5年後に迫った東京オリンピックである。世界各国を見るとインドアのバレーボールよりビーチの人気が高い国も多く、ロンドン五輪ではビーチバレーボールは最も観客を集めた競技となった。しかし日本では人気、実力ともにインドアに大きく水をあけられており、抜本的な対策もサポートもされてこなかった。

 

 日本バスケットボール協会の外圧での改革を見る様に、東京五輪に向かい競技に対してどの様な強化普及活動をしていくのかは世界的にも注目されていると言っていい。選手のパフォーマンスとともに大会のプロモートでそれをどう示していくのか。JVAとしても大きな節目である。

 

(しかし大会開幕6日前の15日、JVAはすでにチケットの販売を行っていたのにもかかわらず突然、観戦無料を発表した。混乱が大会にダメージを与えないといいのだが)

 

〈文・写真:小崎仁久〉