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栄光の足跡―報知新聞にみる長嶋茂雄

『栄光の足跡―報知新聞にみる長嶋茂雄』

編者:報知新聞社

出版社:報知新聞社

価格:¥1,620

 

 

 昭和28年の立教大学入学決定以来、昭和49年のジャイアンツ現役選手引退まで、「長嶋茂雄」が登場した報知新聞のすべての紙面を、縮刷版にして全五巻にまとめたもの。「長嶋の時代」の貴重な資料であると同時に、スポーツ新聞の「技術論、戦術論中心の紙面」から「ドラマ重視の紙面」への変質も読みとれる。かつての「技術論」も専門的に過ぎ、行き過ぎではあったが、今日の「ドラマ」もスポーツの現場から離れすぎている。しかも、両者ともに、勝利至上主義が根底にあり(スポーツをやる側はそれでいいのだが、見る側はそうではないはずだ)、野球という素晴らしい文化を育てようという意識は希薄。スポーツ新聞は、さらに変質する余地がありそうだが、それは長嶋クラスのヒーローが再び登場してから、ということではあるまい。(全5巻)