覇者の謀略―実録プロ野球四十年史
著者:藤本定義
出版社:ベース・ボールマガジン社
価格:¥1,620
戦前は巨人、戦後は阪神を率いて優勝した名監督が、戦前のプロ野球草創期、戦中の混乱期、戦後の繁栄期を語る。自宅までヤクザが押しかけてきて、脇腹にピストルを突きつけられ八百長を迫られるなど、仰天する記述も少なくない。投手のローテーション・システムを日本のプロ野球に初めて導入した人物というスポーツのエピソードももちろん数多くあるが、人生ドラマが波瀾万丈。「スポーツ」よりも「ドラマ」に注目している人は、この本を読んで、昨今のスポーツ選手を主人公にしてこれ以上のドラマが可能か、ということを考えるべきだろう。そして、スポーツそのものを描くなかにこそ、新しいスポーツ文学が可能であることに気づくべきである。