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「星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ」(88) 6.18~6.29

国内外のパラリンピック競技の話題を独自にセレクトした「パラスポーツ・ピックアップ」シリーズ。今号は、リオデジャネイロ・パラリンピック予選を兼ねた、ブラインドサッカーアジア選手権の概要発表のニュースから、国内外の大会結果を盛りだくさんでリポートしています。

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■ブラインドサッカー

・29日: 日本ブラインドサッカー協会(JBFA)は都内で記者発表会を行い、9月に東京で開催される、リオデジャネイロ・パラリンピック予選を兼ねた「IBSブラインドサッカーアジア選手権2015」の概要を発表した。

 

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<参考写真> 昨年の日本選手権(6月/味の素スタジアム)でシュートを放つ、たまハッサーズの黒田智成選手(右)。日本のエースとして、アジア選手権での活躍も期待される=撮影:星野恭子

 

それによれば、大会は9月2日(水)~7日(月)まで東京・国立代々木競技場フットサルコートを舞台に、日本(世界ランキング9位)、中国(同5位)、イラン(同12位)、韓国(同14位)、インド(同28位)、マレーシア(同30位)の計6カ国が総当たり戦を行い、上位2カ国がリオデジャネイロ・パラリンピックの出場権を獲得する。

 

パラリンピック初出場を目指す日本代表の初戦は2日夜で、昨年の世界選手権4位の中国と対戦する。大会は6日までの総当たり戦の順位に応じて、7日に5位決定戦、3位決定戦、そして決勝戦が行われる。

 

記者発表会に参加した、日本のエース黒田智成選手は、「どの国も簡単に勝てる相手ではないが、この4年間で国際試合の経験をたくさん積んできたので、世界の強豪相手にも平常心で戦えるようになった。全員が自分たちの強みを共有し、自信を持って試合に臨めるよう、中国戦までにしっかりと準備をして、全試合勝つつもりで戦っていく。たくさんの方に会場で応援してもらいたい」と意気込んだ。

 

また、大会アンバサダーで日本サッカー協会理事の北澤豪氏も、「ブラインドサッカーに10年以上関わっているが、社会が障害者スポーツをサポートしていこうという雰囲気に変わってきていると感じている。たくさんの人が会場に集まることで、社会に変化をもたらすきっかけになればと思う」と大会観戦を呼び掛けた。

 

なお、観戦チケットは7月21日(火)から一般販売(チケットぴあ、JBFAサイト)されるが、その前に7月11日(土)、12日(日)に調布市のアミノバイタルフィールドで行われる「第14回アクサ ブレイブカップ ブラインドサッカー日本選手権」会場内で先行発売されることも発表された。

 

■サイクリング

・21日: 「2015日本パラサイクリング選手権・ロード大会」が栃木県大田原市の特設コース(1周12.4km)で開催され、全16選手(視覚障害選手のパイロット2名を含む)が個人タイムトライアルに出場した。男子自転車競技クラスCの部で大会3連覇を達成した藤田征樹(日立建機/チームチェブロ)をはじめ、全5クラスで日本王者が誕生。各優勝者には大会史上初めて、王者の証である日の丸付きのナショナルチャンピオンジャージが贈られた。

 

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【写真: 表彰式でチャンピオンジャージに袖を通した藤田征樹選手。14日にスイスで開催された、「2015UCIパラサイクリング・ロード・ワールドカップ」のタイムトライアルで銀メダル獲得後、18日に帰国したばかりだったが、連戦をものともしない快走だった=撮影:星野恭子】

 

<各クラス優勝者とコメント>
・女子自転車競技クラスC2の部 (12.4 km×1/2周)
藤井美穂(JPCF) 11分23秒46 (平均スピード16.32km/h)

「1位になったのは初めてなので、嬉しいです」1位になったのは初めてなので、嬉しいです。(競技者が少なく、いつもは完走しても、1位とはならず、男子と混ざって係数で戦っても1位にはなれなかった)

・男子ハンドバイク・クラスH3・H4の部 (12.4 km×1周)
花岡伸和(JPCF) 22分23秒78 (同33.21km/h)

「最後の登り坂はきつかったけど、皆さんに応援いただいたので登りきることができました。自転車の大会でチャンピオンジャージを着るのは初めて。感無量です」

・男子トライサイクル・クラスT2の部 (同)
小川睦彦(JPCF) 25分31秒08 (同29.15km/h)

「最後ののぼりがきつかったですが、ベストの走りができたと思います」

・男子自転車競技クラスC2・C3・C4・C5の部 (同)
藤田征樹 (日立建機/チームチェブロ) 17分23秒59 (同42.77km/h)


「最後の登りがポイントになると思い、それまでの平たんな部分でどれだけペースを上げられるかがポイントだと心掛けました。(優勝は)嬉しいですが、これからは、U23やジュニアのタイムが(目標の)基準になってくると思うし、エリートにも負けないよう、これからもしっかり頑張っていきたいです」

・男子視覚障害クラスBの部(同)
大城竜之(JPCF)/パイロット 井上善裕(JPCA日本競輪選手会 埼玉支部) 17分54秒77 (同41.53km/h)


「最後の登りがけっこうきつかったですが、無事、走りきることができてよかったと思います。平坦な箇所や下り坂は気持ちよくペダルを回すことができて、イメージ通り走れました」

 

■ウィルチェアー(車いす)ラグビー

・28日~29日: 12月に開催される「第17回日本選手権大会」の地域予選リーグAが開幕し、ラウンド1の試合が横浜市の障害者スポーツ文化センター横浜ラポールで行われた。北海道Big Dippers (北海道)、BLAST(千葉)、RIZE(千葉)、AXE(埼玉)、横濱義塾(神奈川)の5チームが参加し、全10試合が行われた。暫定順位は以下の通りで、ラウンド2は8月29日、30日に大阪府で行われる。

 

<予選リーグA ラウンド1終了後暫定順位>

1位: 北海道Big Dippers : 4勝0敗 (得失点差 +45)/2位: AXE : 3勝1敗 (得失点差 +42)/3位:横濱義塾: 2勝2敗 (得失点差 -8)/4位: BLAST : 1勝3敗 (得失点差 -31/5位:HEAT : 0勝4敗 (得失点差 -48)

 

また、BLITZ(埼玉)/Okinawa Hurricanes(沖縄)/Freedom(高知)/ RIZE(千葉)の4チームが参加する予選リーグBは7月11日~12日に千葉県でラウンド1が、9月12日~13日に高知県でラウンド2が開催される。

 

■車椅子バスケットボール

・25日~27日: 男子日本代表は、イギリスで開催された4カ国対抗戦、「Continental Clash」に出場、ドイツ、イギリス、オランダとの2試合ずつのリーグ戦を行い、3勝3敗で2位になった。

 

○日本53―38オランダ/○日本74-67ドイツ/イギリス58―52日本●/●日本50-59オランダ/イギリス51-64日本○/●日本50-ドイツ69

 

■脳性麻痺7人制サッカー(CPサッカー)

・18日: リオデジャネイロ・パラリンピックの最終予選を兼ねた、「2015脳性麻痺7人制サッカー世界選手権」(イギリス)に出場中の日本代表は予選リーグ第2戦に臨んだが、ウクライナに0-16で大敗し、決勝トーナメント進出を逃した。この結果、リオ・パラリンピックの出場権も逃した。大会は決勝戦でウクライナを1-0で下したロシアが優勝し、28日に閉幕した。

 

(文・写真: 星野恭子)