トム・ブラウンの学校生活
著者:トマス・ヒューズ
訳者:前川俊一
出版社:岩波書店
価格:¥799
十九世紀前半のイギリスの典型的なカントリー・ジェントルマンの長男として生まれ、パブリック・スクールに進んだトム・ブラウンは、その後、ラグビー・フットボール発祥の地として有名なラグビー校へ進学する。そこでの生活を詳細に描いたこの小説には、何十人もの人数で組む「スクラム」や、「トライ」と「ゴールキック」のあいだに存在した「キックアウト」というルールなど、今日のラグビーとは異なる初期のラグビーの姿が描かれている。それは、何人もの骨折者が出る模擬戦争だったボクシングが盛んに行われたことも含めて、大英帝国のエリートたちが、知性だけでなく、肉体的力強さを要求されたこと(植民地支配のため?)が理解できる。