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「星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ」(514) パリパラリンピックが盛況のうちに閉幕。日本は金14個を含むメダル41個を獲得!

8月28日に開幕したパリパラリンピックは12日間の熱戦を経て9月8日(日本時間9日)、パリ郊外サンドニのフランス競技場で行われた閉会式をもって幕を下ろしました。先に行われたオリンピックと同じ「広く開かれた大会」をテーマに、史上最多となった168の国・地域と難民選手団が参加し、エントリーした約4400選手が躍動。2大会ぶりに有観客で開催され、どの会場も連日、大きな盛り上がりを見せたパラアスリートの祭典は、次回2028年大会が開催されるアメリカ・ロサンゼルス市へとパラリンピック旗が引き継がれました。

日本選手団は海外開催の大会では最多となる175選手が21競技に出場し、合計41個(金14、銀10、銅17)のメダルを獲得。金メダル数では前回東京大会の13個を上回り、国・地域別の獲得数で2004年アテネ大会以来となる10位と健闘しました。

前号(9月6日/https://op-ed.jp/sports/7825)では大会8日目(9月5日)まで計28個のメダルを獲得していた日本選手団の活躍をお伝えしました。今号では9月6日から最終日までの3日間でさらに13個のメダル(金6、銀2、銅5)を積み上げた日本選手たちの主な活躍をフラッシュで振り返ります。

9月6日はまたまたメダルラッシュとなりました。柔道の男子73キロ級J2(弱視)で瀬戸勇次郎選手が、女子57キロ級J2で廣瀬順子選手がともに初となる金メダルを、女子70キロ級J2で小川和紗選手が東京大会につづく銅メダルを獲得しました。

車いすテニスでは女子シングルスで上地選手が自身初となる金メダルを、男子ダブルスでは小田凱人・三木拓也組が銀を獲得しました。

車いすテニスで、単複2冠の快挙を達成した上地結衣選手(右)。写真は田中愛美選手(左)と組み、金メダルを獲得したダブルス戦より (撮影: 吉村もと)

また、自転車のロードレースで杉浦佳子選手が連覇を達成しました。前回の東京大会では50歳での金メダル獲得により「日本人金メダリスト最年長新記録」を樹立。当時、「最年長記録はまた作れますね」との言葉を残しましたが、今回は53歳での戴冠により、自ら最年長記録を更新する快挙でした。

9月7日は車いすテニス男子シングルスで、小田選手がフルセットの末、金メダルを獲得。初出場で、史上最年少となる18歳での戴冠。パリの名所、凱旋門に由来する「凱人」という名をもつ小田選手は、「やばい、かっこよすぎる、俺」と、快挙の喜びをストレートに表現しました。

車いすテニス男子シングルスを制した小田凱人選手。前回王者の国枝慎吾さん、「これから長く、小田選手の独壇場が続くと思う」 (撮影: 吉村もと)

水泳では男子S11(全盲)バタフライで、木村敬一選手が大会連覇、富田宇宙選手も3位に入り、2大会連続でメダルを手にしました。

大会最終日の8日にはマラソンの車いす男子で鈴木朋樹選手が1時間31分23秒をマークし、個人では自身初となる銅メダルを獲得。石畳の路面や細かな起伏の連続、狭いコースなど、「過去一」とも言われるほど難しいコースでのレースを、「『逃げない、あきらめない』と口にしながら走り続けた」と振り返りました。

大会屈指の難コースながらスタートから恐れずに飛ばし、3位に食い込んだ鈴木朋樹選手(右)。「両親が『あきらめないこと』を教えてくれた。両親からもらった名前を歴史に刻めたことが嬉しい」 (撮影: 吉村もと)

同じく視覚障害女子の部では道下美里選手が3時間4分23秒の4位でフィニッシュしましたが、3位に入った選手の失格による繰り上がりで銅メダルを獲得しました。金メダルに輝いた東京大会後はケガに苦しみ、「3年間うまくいかないことばかりだったが、周りの仲間が支えてくれて、ここまで来ることができた」と、笑顔を見せました。

手応えも課題も見えたパリパラリンピック。4年後のロス大会に向け、チャレンジの日々は続きます。これからも、パラアスリートたちの挑戦をどうぞ応援ください!

(文:星野恭子)