ノーボーダー・スポーツ/記事サムネイル

「星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ」(511) まもなく開幕! パリパラリンピックは、ここに注目。観戦チャンスもいろいろ!

パリパラリンピックがまもなく開幕します。184の国・地域と難民選手団から約4,400選手が集う予定で、8月28日から9月8日までの12日間にわたり、22競技549種目で熱戦を繰り広げます。日本からは175選手(*)が参加し、過去最多52個を超えるメダル獲得を目指します(*:2024年8月23日時点)。日本選手団のスローガンは、「挑め、自分史上最強。」。

今号では、12日間の見どころや注目競技などをご紹介します。なお、パリの時差は日本のマイナス7時間ですが、日付は記載がない限り、現地時間を基準としています。

観戦チャンスもいくつか用意されていますので、ぜひご覧ください。(なお、放送予定は変更される可能性もあります。ご了承ください。

▼パリ2024パラリンピック 放送予定一覧

NHKでは日本時間8月29日から9月9日までの12日間、中継・録画を含めてテレビ79時間・ラジオ10時間の放送が予定されています。日本チームの注目競技を中心にライブ中継、または録画番組が放送されます。

また、J:COMオリジナルチャンネル「J:テレ」でも同じく12日間連続で、毎日20時から2時間、特別番組が放送されます。J:COMは本来、有料サービスですが、このパラリンピック特別番組は加入・未加入を問わず、J:COMのネットワークが接続されている建物在住なら無料で視聴できるそうです(サービスエリア内でも一部視聴不可の地域あり)。放送内容やサービスの範囲など詳細は下記をご確認ください。

▼J:COMオリジナルチャンネル「J:テレ」

また、国際パラリンピック委員会のYouTubeチャンネルでもパリ大会を楽しめます。「ライブ中継」は開会式と閉会式を含め、パラリンピック全22競技で約1,400時間の配信が予定されています。また、最大4競技まで同時視聴できる「マルチビュー」も初めて導入されるそうです。ハイライト動画なども提供され、さまざまな楽しみ方ができそうです。

▼Paralympics YouTube Channel

<見どころ紹介>
■8月28日(水): 開会式
開会式が午後8時(日本時間29日午前3時)から約3時間の予定で開催される。パリでパラリンピックが開かれるのは史上初。オリンピック同様、“Games Wide Open(広く開かれた大会)をテーマに、開会式も競技場でなく、初めて屋外で実施される。各国の選手団はパリ中心部のシャンゼリゼ通りからパレードし、フランス革命の舞台でも知られるコンコルド広場で式典が行われる予定だ。日本代表選手団を先導する旗手は、陸上競技の石山大輝選手と水泳の西田杏選手の2人が担う。

大会組織委員会のエスタンゲ会長は開会式について、「世界中から集まる一流のアスリートと観客のために提供される特別な舞台であるとともに、パリの中心で行われる式典は、わが国にとって史上初となるパラリンピック開催を機に、障害者のインクルージョンの課題を社会の中心に位置づけようという私たちの野心を示す強力な象徴となります」とPRしている。

■8月29日(木): 競技1日目
全22競技中、11競技がスタート。アーチェリー、バドミントン、ボッチャ、ゴールボール、シッティングバレーボール、車いすバスケットボール、車いすラグビーでは予選ラウンドが始まる。自転車トラック、水泳、卓球、テコンドーでは最初のメダリストが決まる。自転車では東京大会のロード二冠で、トラックでの初メダル獲得に挑む杉浦佳子選手や水泳6大会連続出場の鈴木孝幸選手など、日本人金メダリスト第1号誕生にも期待がかかる。

団体競技では、悲願の金メダルを狙う車いすラグビー日本代表が予選ラウンド・グループA初戦でドイツと対戦。ゴールボールも男子は予選プールBで宿敵、中国と、女子は予選プールCで韓国と顔を合わせる。いずれも初戦勝利で勢いに乗りたい。

■8月30日(金): 競技2日目
新たに陸上競技、ローイング、射撃、車いすテニスも始まる。陸上では東京大会のメダリスト、唐澤剣也選手(視覚障害/5000m)、和田伸也選手(同)や佐藤友祈選手(車いす/400m)が連続表彰台に挑む。車いすテニスでは若きエース、小田凱人選手など男女各4選手がシングルス予選に臨む。

車いすバスケットボール日本女子もグループBで世界女王オランダとの初戦を迎える。

■8月31日(土): 競技3日目
陸上競技では5大会連続出場の中西麻耶選手が走り幅跳びで集大成のメダル獲得に挑む。水泳は日本勢が次々と出場予定。東京大会で100mバタフライ金の木村敬一選手が50m自由形に、開会式で旗手を務めた西田杏選手が200m個人メドレーにエントリーしている。

車いすラグビー日本代表は予選最終戦でカナダと戦い、翌日の準決勝進出を目指す。

■9月1日:競技4日目
ボッチャでは、個人戦連覇を狙う杉村英孝選手のハイレベルなパフォーマンスに期待。トライアスロンも2日までの日程でスタート。初日は東京大会で銀メダルの宇田秀生選手と6位入賞の秦由加子選手が登場。さらなる躍進を目指す。

陸上競技では男子100m(視覚障害T13)で、初出場の川上秀太選手が登場。予選突破からファイナリスト、さらには表彰台もにらむ。

ブラインドサッカー(男子)が初日を迎える。世界ランキング3位の日本が同12位のコロンビアと予選グループBで対戦する。

■9月2日:競技5日目
連覇が期待される選手が続々登場する。水泳では男子平泳ぎSB14(知的障害)で、世界記録保持者の山口尚秀選手がパラ連覇に挑む。バドミントンでは男女シングルス決勝が行われる。前回金の里見紗季奈選手(車いす)、梶原大暉選手(同)の活躍やいかに。

陸上競技では初出場組に注目。男子走り幅跳びT12(視覚障害)に石山大輝選手が、女子円盤投げF53(車いす)に鬼谷慶子選手が出場。ともに今年5月の世界選手権(神戸)で銀メダルを獲得している。

■9月3日: 競技6日目
陸上競技では、男子やり投げF46(上肢障害)に、2大会連続出場の山崎選手晃裕選手と、初出場の高橋峻也選手が登場。世界の猛者たちにどこまで食い込めるか。ボッチャは団体戦がスタート。BC1/2チーム、BC3ペアに出場する。東京大会ではそれぞれ、銅、銀を獲得している。

ヴェルサイユ宮殿が舞台となる馬術がスタートする。日本からはともに東京大会代表の稲葉将選手と吉越奏詞選手が出場する。また、車いすフェンシングも7日まで5日間の日程で始まり、日本からは男子3名、女子1名が出場する。会場はオリンピックと同じ、グラン・パレ。オリンピック日本代表の活躍につづきたい。

ブランドフットボールは予選最終日で、日本は世界ランキング1位のアルゼンチンと対戦。ベスト4進出なるか?

■9月4日: 競技7日目
陸上競技では、男子走り幅跳びT64(片膝下義足)に絶対王者のマルクス・レーム選手(ドイツ)が登場。自身の持つ世界記録8m72超え、さらには人類最長の9mジャンプにも期待! 日本勢では初出場の齋藤由希子選手が女子砲丸投げF46(上肢障害)決勝に出場する。

自転車はロード種目がスタート。東京パラ二冠の杉浦佳子選手の連覇に期待がかかる。

ゴールボールは男女とも準決勝が、車いすバスケットボールは女子の準々決勝が行われる。日本勢の快進撃に期待!

■9月5日: 競技8日目
柔道が7日まで3日間の予定でスタートする。初日は女子48kg級- J1(全盲)に半谷静香選手が登場し、自身初の表彰台を目指す。陸上競技の注目は男子400mT13(視覚障害)決勝に注目だ。世界選手権メダリストの福永凌太選手が初出場の大舞台で快走なるか?

ボッチャは各クラス団体戦のメダルマッチが行われる。日本勢の表彰台なるか? 車いすフェンシングではフルーレ団体が行われる。日本は男子3名が7日のエペ団体とともに出場する。

■9月6日: 競技9日目
柔道では日本から5名が出場。男子73kg級-J2(弱視)で瀬戸勇次郎選手が、女子70kg級-J2で小川和紗選手がともに銅メダルだった前回越えに挑む。水泳では男子バタフライS11(視覚障害)で木村敬一選手が連覇に挑戦する。

車いすテニスでは、女子シングルスと男子ダブルスでメダルマッチが行われる。日本勢の活躍が期待される。

カヌーが8日までの日程でスタートする。日本からは3大会連続出場の瀬立モニカ選手など4選手が出場する。

■9月7日:競技10日目
車いすテニスは男子シングルス決勝、3位決定戦が行われる。18歳、小田凱人選手の初出場、初優勝に期待がかかる。ブラインドフットボールもメダルマッチが行われる。日本の快進撃に期待だ。

陸上競技もトラック・フィールド種目の最終日。福永選手(T13)が出場予定の男子走り幅跳びなど、多くの決勝種目が実施される。卓球も個人戦最終日となる。日本勢の活躍は? 

■9月8日:競技11日目(最終日)
陸上競技はマラソンが行われる。T54(車いす)に男女各2名、T12(視覚障害)に男子3名、女子1名が出場する。シャンゼリゼ通りや凱旋門などパリの名所を巡る美しいコースはアップダウンやコーナーも多く、パラリンピック屈指の難コースと言われる。女子T12で連覇を狙う道下美里選手や、9大会連続出場の土田和歌子選手(T54)の粘りの走りに期待したい。

パワーリフティングでは男子107kg級に日本から唯一の代表であり、初出場の佐藤和人選手が登場する。日本選手団最後の出場選手となり、締めくくりの好パフォーマンスに期待がかかる。

以上、世界最高峰の舞台でのパラアスリートたちの活躍にぜひ、ご注目ください!

(文:星野恭子)