「星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ」(509) 車いすバスケ女子とパラ柔道の日本代表、パリでの健闘誓う。オリパラ一体の応援も!
熱戦がつづくパリオリンピックも最終盤となり、続く8月28日のパリパラリンピックの開幕が近づくなか、日本代表選手の記者会見や壮行会が各地で開かれています。今号では車いすバスケットボール女子日本代表の壮行会と、視覚障害者柔道日本代表選手(開催時は代表内定選手)の発表記者会見をご紹介します。東京2020大会を機に大きく進んだ「オリパラ一体」の取り組みが感じられる演出も見られました。
■車いすバスケ女子、フィアレス・ジャパン。「心一つに最後まで戦い抜く」
8月5日、車いすバスケットボール女子日本代表チームの壮行会が味の素ナショナルトレーニングセンター(東京・北区)で開催されました。代表12選手らが大会に向けた抱負などを語ったほか、紅白戦も実施。壮行会の模様はYoutubeでライブ配信され、全国のファンにも届けられました。
女子日本代表は、開催国枠で出場した東京大会は6位(10カ国中)でしたが、参加国が8カ国に減らされたパリ大会は厳しい大会を勝ち抜き、出場権を獲得しました。自力での獲得は2008年北京大会以来、4大会ぶり。さらなる高みを目指しています。
チームの愛称は「フィアレス・ジャパン」。チームスローガンに掲げる、「Fearless(フィアレス)~地獄の40分間のその先に」に由来します。フィアレスには「怖れない」や「勇敢な」という意味があり、「どんな相手にも怖れることなく自分たちのバスケットをやろう」という思いが込められています。
壮行会では北田千尋キャプテン(LINEヤフー)が、「車いすバスケを面白いなと思ってくれる気持ちが車いすバスケの未来をつくると思う。心を込めて、心を強く、心を一つに最後まで戦い抜くことを誓います」と意気込み、さらに、「私たちはフィアレスというスローガンのもと、心を強く、毎試合戦う。一緒に戦って、一緒に喜んでください」とファンに呼びかけました。
東京大会後に就任した岩野博ヘッドコーチは、「この3年間、基礎技術の向上と走ることを強化し、新しい戦術も取り入れてきた。選手も、チームとしても成長した。パリ大会では、選手たちが40分間、(試合を)デザインする姿を見届け、出来上がったアートをしっかり目に焼き付けてほしい。選手たちはきっと素晴らしいアートを残してくれるはずです」と力を込めました。
壮行会ではまた、さまざまな人からの応援メッセージ動画も紹介されました。その中にはパリオリンピックに出場したバスケットボール男子の河村勇輝選手や同女子の林咲希主将からのメッセージも! 同じバスケットボールファミリーからの熱い声援は予想外だったようで、選手たちは歓喜の声を上げ、パリへの想いを新たにしていました。
なお、車いすバスケ女子日本代表は予選グループBに入り、8月30日にオランダ、9月1日にドイツ、同2日にアメリカと対戦し、まずは4日以降の決勝トーナメント進出を目指します。決勝と3位決定戦は大会最終日の8日に行われる予定です。
■パラ柔道日本代表、「誇りを胸に」
パラ柔道(視覚障害者柔道)は東京パラリンピック後、大きなルール変更がありました。まず、初めて視覚障害の程度による「クラス」が導入され、J1(全盲)とJ2(弱視)に分かれて競うことになりました。これに伴って体重階級も変更され、男子は8階級が4階級に、女子は7階級が4階級に減少することになりました。増量、または減量で対応しなければならず、この3年、苦労した選手も少なくありません。
そして、決定したパリパラリンピック日本代表は全6名(男子2、女子4)です。先に世界ランキングによって4名が決まり、少し遅れてバイパルタイト(招待)枠で2名が代表入りしました。
男子は、J1クラス-73㎏級の加藤裕司選手(伊藤忠丸紅)とJ2-73kg級の瀬戸勇次郎選手(九星飲料工業)の2名、女子はJ1-48kg級の半谷静香選手(トヨタループス)、J2-57kg級の廣瀬順子選手(SMBC日興証券)、J1-70kg級の土屋美奈子選手(シンプレクス・ホールディング)、J2-70kg級の小川和紗選手(伊藤忠丸紅)の4名です。
7月2日には、先に内定が出ていた4選手の記者会見が講道館(東京・文京区)で行われ、選手がパリへの意気込みなどを語りました。