「星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ」(506) いざ、パリへ! パラリンピック日本代表選手団が結団式。「挑め、自分史上最強。」
日本パラリンピック委員会(JPC)は7月19日、開幕(8月28日)まで40日に迫ったパリ2024パラリンピックの日本選手団の第2次発表を行い、新たに計15選手(4競技)が代表に決定しました。7月4日の第1次発表で決定していた160選手と合わせ、計175選手(21競技)が日本代表選手に決まり、国外で行われるパラリンピックとしては2004年のアテネ大会(163選手)を上回り、史上最多となります。
7月16日には日本選手団(第1次発表のみ)の結団式が東京都内のホテルで秋篠宮ご夫妻出席のもとに行われ、開会式で旗手を務める陸上の石山大輝選手(順天堂大)と水泳の西田杏選手(シロ)をはじめ、計117人の選手が出席しました。
7月16日の日本選手団結団式に参加した選手・スタッフら
日本選手団を率いる田口亜希団長は、「パリ2024大会のスローガンは、“ゲームズ・ワイド・オープン”=広く開かれた大会です。多様性や創意工夫に満ちた人間の可能性の祭典であるパラリンピックで、無限の可能性を体現するパラアスリートの魅力を通して、より良い社会を作るための社会変革を生み出していければ」と決意を述べました。
式では団旗がJPCの森和之会長から田口団長に授与され、つづいて団長から石山選手と西田選手に手渡されました。
結団式後の会見で石山選手は、「旗手に選ばれて大変光栄に思うし、一挙手一投足が注目されていく存在になったんだと感じています。初めてのパラリンピックをしっかり楽しんできたい」と意気込みました。
石山選手は陸上競技に取り組んでいた高校1年時に先天性の網膜色素変性症と診断され、大学4年生でパラ陸上の走り幅跳びに転向。現在はパラ陸上の視覚障害クラスでは2番目に重いT12(弱視)で、走り幅跳びを専門としています。5月に神戸で開かれた世界選手権では銀メダルを獲得し、パリ大会での活躍も大いに期待されます。
「パラ陸上を始めるまで、自分の視覚障害に対して前向きにとらえにくかったが、いろいろな選手の活躍を見て、自分も勝負できるのではないかと感じた。私自身もそういった視覚障害の方や、逆に健常の方にもパフォーマンスを通じて勇気や感動を与えられるような存在になれればと思っている」と話しました。
結団式後には記者会見も行われた。左から、中澤吉裕副団長(競技担当)、西田杏旗手、田口亜希団長、石山大輝旗手、井田朋宏副団長(総務担当)
もう一人、西田選手も、「(旗手の)お話をいただいた時は本当に嬉しかった。今回は主将がいない中での旗手となるので、より一層、責任感が強くなると思う。しっかり努めたいし、精一杯、日本選手団を盛り上げていけるように頑張りたい」と意気込みました。
西田選手は生まれつき左腕と右脚が短く、パラ水泳ではS7 (身体障害)クラスで、東京パラリンピックでは50mバタフライで8位に入賞しています。パリ大会では、「パラアスリートとして障害の有無に関わらず頑張る姿を見てもらいたい思いがある。また、私の障害は片手片足でバランスがとても悪く、世界を見てもそんなに多くの選手はいなくて、私自身も競技を始めた頃、水泳は難しいと思ったことがあります。でも、同じような障害のある人は世界にはいると思うので、そういった人たちの希望になれるようにしっかり泳いで活躍したい」と決意を新たにしていました。
結団式のなかでは日本選手団のスローガン、「挑め、自分史上最強。」も発表されました。複数の候補から最終的に代表選手やスタッフによる投票で選ばれたそうです。
パリ2024パラリンピック日本選手団のスローガン、「挑め、自分史上最強。」もお披露目された
このスローガンについて田口団長は選手団として「一致団結し、士気を高める」ために使ったり、選手にとっては、試合前に気合を入れたり、あるいは緊張をほぐすための「合言葉のように使えたら」と期待を込めました。
西田選手も、「試合前の緊張する場面に、思い出して背中を押してもらえるようなスローガン」と歓迎。「チームでお互いを高め合って、それぞれがベストパフォーマンスを発揮して、今まで以上の自分に出会えるような大会にしたい」。石山選手も、「世界の壁、自分の壁と挑めるような、とてもいいスローガン。パラリンピックは初出場なので挑戦者として守るものは何もない。チャレンジしていければいいなと思うし、メダルを取って帰れるよう頑張りたい」と力を込めました。
パリパラリンピックは8月28日に開幕し、9月8日まで12日間の日程で行われます。東京パラリンピックと同じ22競技が実施されますが、10種目多い全549種目で金メダルが競われます。
(文・写真: 星野恭子)