ノーボーダー・スポーツ/記事サムネイル

「星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ」(494) 車いすバスケ女子日本代、パリパラリンピック出場権を獲得! 自力での出場は16年ぶり

パリパラリンピック出場権をかけ、日本など8カ国が参加した「2024 IWBF 女子車いすバスケットボール最終予選」大会が4月17日から大阪市(Asueアリーナ大阪)で開かれ、最終日の20日、予選B組3位の日本は同A組2位のオーストラリアに50-26で快勝し、パリパラリンピック出場権を獲得しました。開催国枠で出場した東京大会に続く2大会連続出場で、予選を勝ち抜き自力でのパラ切符獲得は2008年北京大会以来となる快挙です。東京大会では6位入賞を果たしており、パリではメダル獲得を目指します。

オーストラリアに勝利し、パリパラリンピック出場を決めて歓喜する北田千尋キャプテン(中央)ら日本の選手たち (撮影: 吉村もと)

オーストラリア戦でチーム最多の18得点をマークした北田キャプテンは試合後にパリへのゴールデン切符を受け取ってからのオンコートインタビューで、「(日本)男子が東京パラで銀メダルをとってくれて車いすバスケの知名度があがったし、ファンも増えました。そのファンたちを次の世代につなげることが私たちの役目だと思っていて、それができてホッとしています。これからも一緒に、車いすバスケを楽しみましょう!」と笑顔でコメント。 

岩野博ヘッドコーチ(HC)も、「ここが終わりではありません。僕たちのパリへの道はまだまだ続いていきます」と話し、「選手たちに明日からまた地獄を見せたいと思います。皆さんも一緒に見守っててください。パリではメダルを取ります」とファンに向け、力強く宣言しました。

歓喜は苦しんだ先に待っていました。日本は4チームずつA・Bに分かれて総当たり戦を行った予選リーグでは、初戦のカナダに46-81で完敗。第2戦ではフランスに55-38で勝利したものの、第3戦でスペインに45-64で敗れ、1勝2敗でB組3位となりました。この結果、勝てば出場権を得られるクロスオーバー戦の相手はA組でドイツ、タイ、アルジェリアとの総当たり戦で2位に入っていたオーストラリアに決定。アジア・オセアニアゾーンのライバル同士であり、互いを熟知する実力拮抗の相手。高さもあり、接戦も予想されました。

しかし、日本は前日の敗戦からしっかり切り替えたプレーを見せます。オーストラリア戦の第1クオーター2分、北田キャプテンによる先制点を皮切りに、堅い守備からリズムをつかみます。持ち味である攻守の切り替えが速いトランジションバスケットを展開し、北田選手やベテランの網本麻里選手らが得点を重ねます。強みである粘り強い守備も機能し、オーストラリアの攻撃を封じ込みます。早めの選手交代でスタメンを休ませるなどベンチワークも冴え、前半で25-7と大きくリードしました。

後半の出だしでオーストラリアに連続得点を許しますが、すぐに立て直します。相手ファウルでもらったフリースローを網本選手が確実に沈め、柳本あまね選手もスリーポイントなどで加点。第3クオーター終盤には12人全員出場も果たします。第4クオーターも攻守にわたって走り抜き、最後は北田キャプテンがスリーポイントで試合を締めました。