ノーボーダー・スポーツ/記事サムネイル

「星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ」(493) いざ、パリ2024大会へ! オリパラ合同の日本代表公式スポーツウェアの発表会見が開催

今年7月26日に開幕するパリオリンピックまで100日となった4月17日、「パリ2024オリンピック・パラリンピック競技大会TEAM JAPANオフィシャルスポーツウェア発表記者会見」が都内で行われ、日本選手団が着用する公式スポーツウェアが披露されました。鮮やかな赤が特徴の公式スポーツウェアはオリンピック、パラリンピックとも同じデザインで、「パフォーマンスとサステナビリティの両立」をコンセプトにアシックスが製作。揃いのウェアに身を包んで登壇したパラアスリート8人を含む15人の選手代表は「身が引き締まった」と印象を口にし、それぞれの大舞台を見据えていました。

日本代表公式スポーツウェアを着た選手たち。前列左から、新保大和、西田杏、橋本大輝、西田有志、竹村明結美、見延和靖、廣瀬隆喜、若山英史、後列左から東江雄斗、小野寺太志、藤波朱里、田巻佑真、東藤なな子、宇田秀生、木下あいら ((C)JOC/JPC/ASICS)

公式ウェアのキーカラーにはチームジャパンを表現する「チームジャパンレッド」に加えて「サンライズレッド」を採用。メインのアイテムとなる「ポディウムジャケット」には、「パリの日の出」をイメージした鮮やかなグラデーションで朝焼けに空が赤く染まる力強さと暖かさが表現されています。また、「多様性と調和」も重視。素材をランダムに裁断し縫い合わせたことで1着ごとに見え方が異なりながら一体感もあり、「オリとパラ、競技の枠も超えた一つのチームを表現」しているそうです。

パラ陸上・円盤投げの新保大和選手は入社2年目のアシックス社員。「赤色に愛着があり、気に入っている。自社のウェアを着て試合できることは光栄。自分のパフォーマンスで社員に元気を与えたい。東京大会では代表入りできなかったのでしっかりと(パリ)代表権を獲得し、出るだけで満足せず、メダル獲得が目標」と言葉に力を込めました。

水泳で初のパラリンピック出場が内定している木下あいら選手は、「かわいい色で気に入りました。初めてのパラリンピックなので楽しむ中で、自己ベストを出して金メダルを獲りたい。強みは前半から積極的なレースをすること」と目標を見据えていました。

公式ウェアはジャケットやパンツ、シューズのほか、ソックスやバックパック、フーディーなど全12型がラインナップ ((C)JOC/JPC/ASICS)

■高い機能性、環境への配慮も
また、パリの環境を考慮した機能性にも注力。夏場でも一日の気温が約15~25度というパリの寒暖差を考慮した特殊なメッシュ素材を背中とわきの下に配置。安静時は閉まり、運動時は開くシステムで、快適な衣服内温度を保ってくれるそうです。

5大会目連続でボッチャ日本代表に内定している廣瀬隆喜選手は、「服の着脱がしにくいので、寒暖差に対応したウェアは心配なく競技に臨めそう」と印象を口にしました。また、車いす選手の着用を意識し、快適なパンツのパターンや使いやすいポケット位置なども工夫された代表ウェアを身に着けて、「気持ちが引き締まった。チームではここ数大会連続でメダルを獲得しているが、個人でのメダルがまだないので、皆で力を合わせて取りに行きたい」と意気込みました。

車いすをこぐ際の摩擦や汚れ防止加工がされているジャケットの袖口を示す廣瀬隆喜選手(前列左)。パンツのポケットも座ったままで使いやすいフロント位置につけられている((C)JOC/JPC/ASICS)

トライアスロンの宇田秀生選手は、「僕は片腕ですが、ファスナーの開閉が驚くほどスムーズで嬉しい。ストレスなく競技に集中できると思う」と細かな機能性にも注目していました。

また、大きな特徴の一つは環境への配慮で、リサイクル材の活用などによって温室効果ガスの排出量削減を目指したことで、東京大会のウェア製造工程よりも排出量を34%も削減できたそうです。

パラ水泳の西田杏選手は、「34%の削減量に驚いている。当たり前にスポーツができているわけでないので、環境問題への取り組みのなかでスポーツができることは嬉しい」と感謝しました。

パリパラリンピック日本代表選手団を率いる田口亜希団長は自身も射撃で3大会パラリンピック出場経験のある団長として、公式ウェアは選手や観客など「皆さんの心を一つにつなぐ大切なもの」と強調するとともに、「過去大会でもオリンピック選手団の素晴らしいパフォーマンスの勢いを受け、パラ代表も大活躍できた。パリ大会でもオリンピックの皆さんと同じ服装をまとい、パラ日本選手団一同は練習を積み上げた成果を最大限に発揮し、活力ある共生社会の実現に向け、パラリンピアンが体現するパラリンピックの価値を伝えられるよう頑張ってまいります」と力強く意気込みを語りました。

選手として初出場した際、公式スポーツウェアを着て、「日本代表の一員として大会に臨むのだと強く意識し、自分にできる最高のパフォーマンスを発揮したいという思いが一層強くなった」と振り返った田口亜希団長 ((C)JOC/JPC/ASICS)

パリオリンピックTEAM JAPANの尾縣貢団長も、「オリパラ一体の精神を大切に、パリに向かって行きます」とオリパラの垣根を越えたチーム一丸を誓っていました。

■全力で応援!
卓球のオリンピアン、石川佳純さんとともに「アシックス応援パートナー」に就任した車いすバスケットボールのパラリンピアン、鳥海連志選手も登壇。東京大会では銀メダル獲得チームの主力メンバーでしたが、パリ大会は予選大会で敗れてしまい、「私自身はパリ大会には出場できないが、その分、全力で選手の皆さんを応援したい」と選手団にエールを送るとともに、「応援される立場から応援する立場になることで自分自身に何か気づきや変化があるのではと前向きにとらえている。(パラリンピック挑戦は)ここで終わりではないので、今の立ち位置を理解し、次に皆さんに会うときにいいプレーを見せられるようにがんばりたい」と自身の決意も新たにしていました。

アシックス応援パートナーに就任した石川佳純さん(左)と鳥海連志選手 ((C)JOC/JPC/ASICS)

こうしたエールを受け、パラ陸上の竹村明結美選手は、「応援に応えられるようなパフォーマンスを発揮できれば」と意気込み、同じく陸上の田巻佑真選手も、「応援を力に、夢に向かってがんばりたい」と前向きに語りました。金メダル獲得を目指す車いすラグビーの若山英史選手は、「タックルでの声援が一番の盛り上がりポイント。僕らも応えらえるように頑張るので、ぜひ応援してください」とアピールしました。

なお、パリオリンピックは7月26日から8月11日まで、同パラリンピックは8月28日から9月8日まで開催されます。

(文:星野恭子)