【おおよそ週刊J2通信】「GWを制するものがシーズンを制するのか?」(小崎仁久)
Jリーグディビジョン2(J2)は14節を終わってジュビロ磐田が首位。勝ち点差1でジェフユナイテッド千葉、ツエーゲン金沢、大宮アルディージャ、勝ち点差2でアビスパ福岡の4チームが追いかけ混戦となっている。
J2の各チームはシーズン最初の難関であるゴールデンウィークを乗り切った。14日間で5試合を行うゴールデンウィークはすし詰めの連戦。中2日で次々とやって来る試合は、チームにバックアップメンバーを含めた総合力を問うことになる。さらに連戦では大きな戦術の変更や修正をする余裕がないため、どれだけ戦術が浸透しているのか、どれだけ安定した戦い方ができるのか、現時点での大きな指標にもなる。そしてその力を持っているチームが次なる難関、7、8月の酷暑での試合やシーズン終盤の落とせない試合を勝ち抜いていくことになる。
現に昨シーズンのゴールデンウィーク(16日間で5試合)だけの結果を考えると、最終的な年間順位との相関関係が見えてくる。圧倒的な大差でJ2優勝を果たしたベルマーレ湘南は5勝のフルマークでGW1位。同じく昇格組の松本山雅FCも4勝1敗でGW3位、GW2位は最終順位4位の磐田だった。その磐田を劇的な形で退け、J1昇格プレーオフを突破したモンテディオ山形は2勝2分1敗のGW9位。山形は昨季序盤、波に乗れず下位をさまよっていたのだが連戦を越え、中位へと盛り返した。チームのハイライトはシーズン終盤ではあったが、ゴールデンウィークでステップをひとつ上がったと言えるだろう。
今シーズンのゴールデンウィーク順位を見てみる。GW1位は4勝1分の大宮(14節終了時4位)。GW2位は3勝2分で福岡(同5位)。福岡は3月下旬から負けなしと好調をキープしたまま連戦をこなした。GW3位は3勝1分1敗で千葉(同2位)。
しかし、現在首位の磐田は3勝2敗でGW6位。このゴールデンウィークでシーズン初の連敗を喫し、首位は保持しているものの思わぬつまずきを見せた。また、V・ファーレン長崎もゴールデンウィーク前は4位につけていたがGW14位(1勝2分2敗)。昨年も長崎はGW19位(3分2敗)で連休前の2位からずるずると後退するきっかけになってしまった。
逆に、今後に期待できるのがFC岐阜。岐阜は2勝2分1敗でGW8位(14節終了時18位)。3月から4月にかけ6連敗で最下位に沈んでいたが連戦を勝ち越し、浮上の足掛かりを得た。岐阜のラモス瑠偉監督は「けが人も多くて苦しい連戦だったが5試合負けなしでいきたかった」と言い、チームの中心選手であるMF高地系治も「あと1試合ぐらいは勝ちたかった。これを最低限の結果としていきたい」と話している。
また、岐阜と連休最後の対戦(13節)で敗れ、5試合を1勝1分3敗(GW20位)とした愛媛FCの木山監督も「連戦をなんとか五分にしたかった」と悔やんでいる。多くのチームの監督、選手がゴールデンウィーク連戦の結果を意識していた。はたしてゴールデンウィークを制したものはシーズンを制するのか、連休中好調だったチームに今後、注目していきたい。
〈文:小崎仁久、写真:Jリーグ公式サイトより〉