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「星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ」(491) 国際大会で躍動! 日本代表の戦いぶりをプレーバック

今号では、3月後半に海外で開催されたさまざまな競技の国際大会に注目し、日本代表の主な活躍をピックアップしました。パリパラリンピック出場権獲得、優勝、メダル獲得など嬉しいニュースを開催日程順にご紹介します。

■車いすカーリング
世界車いすミックスダブルスカーリング選手権大会2024
3月11日~16日@韓国・江陵市
日本代表として出場した小川亜希・中島洋治ペアは参加21カ国中、4位入賞を果たした。同ペアは3グループに分かれて行われた予選リーグで5勝1敗となり、全体8位で決勝トーナメントに進んだ。準々決勝では同1位のアメリカに9-8で勝利したが、準決勝で中国に2-7で敗戦。3位決定戦でもイタリアに4-8で敗れた。

同ペアは昨年10月に日本車いすカーリング協会が主催した車いすミックスダブルスカーリング強化指定選手選考大会の優勝チーム。ミックスダブルスは2026年のミラノ・コルティナダンペッツォパラリンピックで初めて実施される新種目で、日本は今後、同パラへの出場権獲得を目指す。

■ノルディックスキー
FISパラノルディックスキーワールドカップファイナル・カナダ大会
3月13日~17日@カナダ・プリンスジョージ
ノルディックスキーワールドカップ最終戦。14日のクロスカントリースキー5kmクラシカル・インディビジュアルで、男子立位の川除大輝選手が優勝、新田佳浩選手が4位に入賞。さらに17日の同クラシカル20kmで川除選手が優勝し、新田選手も3位に入った。この結果も含め、川除選手は2年連続でW杯総合チャンピオン、新田選手も同3位となる快挙を果たした。

パラノルディックスキーワールドカップ総合表彰式より。2年連続優勝の川除大輝選手(中央)と3位の新田佳浩選手(右) (提供: 日本障害者スキー連盟) 

日本障害者スキー連盟を通し、川除選手は「2年連続で総合優勝できたのはサポートしてくださる皆さん、応援してくださる皆さんのおかげ。まだまだ力不足な所もありますので、さらに力をつけて、来シーズンも頑張りたい」とコメントし、新田選手も今シーズン最後のレース、クラシカル20kmマススタートで、「前半は自分のペースを守ることを意識し、中盤からはカナダのマーク選手との差を詰めることに成功。追いついてからは一気にスパートをかけて引き離すことに成功し、今シーズン初の表彰台に立つことができたことは来シーズンの励みにもなった」と振り返った。

クラシカル20kmマススタートで金メダルに向かって力走する川除大輝選手 (提供: 日本障害者スキー連盟) 

■トライアスロン
ワールドトライアスロンパラシリーズ・デボンポート大会
3月15日@オーストラリア・デボンポート
スイム(750m)、バイク(20km)、ラン(5km)の3種目計25.75㎞で競うパラトライアスロンではパラリンピックにつぐグレードであるワールドシリーズの今季初戦。日本は8選手が出場し、PTVI(視覚障害)男子の米岡聡選手(寺澤ガイド)と、PTS2(運動機能障害)女子の秦由加子選手が銅メダルを獲得。また、PTWC男子の木村潤平選手は4位、PTS4(同)女子の谷真海選手も6位と健闘した。

■ゴールボール
VANDA Goalball Nations Cup 2024
3月15日~3月17日@ドイツ・ベルリン
参加14カ国中6カ国がパリパラリンピック出場決定国という男子の部において、日本男子(世界ランキング6位)は決勝戦でブラジル(同1位)に7-10で敗れ、準優勝(銀メダル)で大会を終えた。日本は予選ラウンドを5勝1敗のグループ2位で決勝トーナメントに進出し、準決勝ではウクライナ(同8位)を11-8で下していた。なお、金子和也選手が大会最優秀選手賞(MVP)を受賞した。東京パラリンピックで初出場5位となった日本はすでに出場権を得ているパリ大会では金メダルを目指しており、大きな弾みとなった。なお、ウクライナが韓国を下し、3位となった。

■自転車
UCIパラサイクリング トラック世界選手権
3月20日~24日@ブラジル・リオデジャネイロ
パリパラリンピック出場枠に関わるランキングポイントが得られる重要な大会で、日本からは4選手(プラスパイロット1名)が出場し、MC2川本翔大選手がオムニアム200mフライングと同スクラッチで銀メダルを、3km個人パーシュートと1kmタイムトライアルで銅メダルを獲得するなど日本チームを牽引した。

MC3藤田征樹選手はオムニアムスクラッチで銅メダル、オムニアム200mフライングで5位入賞、3km個人パーシュートでは9位ながら日本新記録(3分34秒468)を樹立。WC3杉浦佳子選手は3km個人パーシュートで銀メダル、500mタイムトライアルで4位入賞。MB木村和平選手・三浦生誠パイロットペアは1kmタイムトライアル9位、スプリント10位、4km個人パーシュート14位で大会を終えた。

■ボッチャ
コインブラ2024世界ボッチャパラリンピック予選トーナメント
3月22日~28日@ポルトガル・コインブラ
パリパラリンピックへの最終予選大会で、BC3ペア戦に出場した日本代表の有田正行選手・一戸彩音選手ペアが準優勝し、3位までに与えられる同種目パリパラ出場権を獲得した。両選手は日本ボッチャ協会のパリパラ代表推薦選手にも決定した。

最終予選大会で準優勝を果たし、パリパラリンピックの出場権を獲得した日本代表BC3ペアのメンバー。左から、有田千穂ランプオペレータ―、有田正行選手、一戸彩音選手、一戸賢司選手 (提供: 日本ボッチャ協会)

同種目には10カ国が出場し、5カ国ずつの予選プールで総当たり戦を行い、Bプールに入った有田・一戸ペアは2勝2敗で決勝トーナメントに進出。準決勝ではプールAで4勝の強豪ギリシャに8-0で勝利し、決勝に進出。イギリスとの決勝では前半2エンドで4点先取されたが、粘り強く戦って2-4で惜敗した。

一方、同じくパリパラ出場権をかけ、10カ国がエントリーしたBC4ペア戦に出場した江崎駿選手・唐司あみ選手ペアは1勝3敗で予選敗退となり、パリパラ出場権は逃した。

■ブラインドサッカー
ブラインドサッカートーナメント in タイ
3/26〜3/29@タイ
アジア4カ国が参加した国際大会(IBSA非公式戦)で、世界ランキング3位の日本は決勝戦に進み、ホスト国で同4位のタイを2-0で下して優勝し、パラリンピックイヤーの初戦として幸先のいいスタートを切った。なお、この試合で代表初ゴールとなる先制点と日本の勝利を決定づける追加点を決めた後藤将起選手が大会MVPを受賞。また、ベストGK賞には日本の佐藤大介選手が選ばれた。

左からMVP受賞の後藤将起選手、優勝シャーレを持つ川村怜主将、ベストGK賞の佐藤大介選手 (提供: 日本ブラインドサッカー協会)

今大会、日本は気温差20度以上で高温多湿の現地コンディションに苦しみながらも、総当たり戦の予選ラウンドでは、まずインドに3-2で白星発進。川村怜主将の先制後、黒田智成選手が2点を追加した。2戦目のラオスには川村主将のハットトリックに永盛楓人選手の代表初ゴール、黒田選手のゴールと5-0で快勝。3戦目の地元タイ戦は鳥居健人選手の得点により1-1で引き分け、予選を2勝1分の2位で決勝戦に駒を進めていた。

大会後に日本ブラインドサッカー協会を通じて、中川英治監督と川村主将がコメントを発表。中川監督は、「非常に実りの多い大会となりました。グループリーグの最終戦と決勝戦は今大会のホームチームであり、2024年IBSA 世界ランキング4位である強豪タイとの非常にタフな2連戦となりましたが、チーム全体のプレー目標とプレー課題、そして選手各々の課題を明確にし、それらに集中して取り組みながら、チーム・個人のパフォーマンス発揮とプレーの成果、そして結果を出すことができ、パリ2024パラリンピックへ向けた更なるチームのシンカ(進化・真価・深化)を大きく感じることができました。しかしながら、我々の目標はパリ2024パラリンピックでのメダル獲得。この結果に満足することなく、この大会での新たな課題も整理し、メダル獲得に向けてシンカし続けていきます」と意気込んだ。

タイとの決勝戦で2得点と躍動した後藤将起選手(中央) (提供: 日本ブラインドサッカー協会)

川村主将も、「まずは優勝という最低限の目標が達成できて良かったです。これを通過点として、今年5月にフランスで開催されるワールドグランプリやパリパラリンピックで、さらに強い強豪国相手に勝てるよう、日々の練習に取り組んでいきたいと思います。チームとしては、タイは非常に高温多湿で暑く、適応するのに時間がかかり難しさがありましたが、日に日にチームの状態は良くなっていきました。初戦から非常に厳しい試合となりましたが、そのような中でも複数の選手が点を取って勝ち切れたことは非常にポジティブに捉えています。決勝戦でも後藤選手が2得点をあげてチームを救ってくれましたし、タイとは非常に強度の高い試合ができ、このタイミングで今大会を経験できたことは、チームとして良かったと思います。ワールドグランプリまで残り2ヵ月を切っているので、まずはそこに向けて個人としてもチームとしても良い準備をしたいと思います」と言葉に力を込めた。

ブラインドサッカートーナメント in タイで優勝し、喜ぶ日本代表チーム (提供: 日本ブラインドサッカー協会)

(文:星野恭子)