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「星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ」(82)5.10~5.13

国内外のパラリンピック競技の話題を独自にセレクトした「パラスポーツ・ピックアップ」シリーズ。今号では、韓国・ソウルで10日に開幕した、視覚障がい者スポーツの国際総合競技大会「IBSAワールドゲームズ」の途中経過を現地、ソウルからお届けします。個人競技ではすでにメダル獲得者も出ています。

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■ソウル発

・10日: 第6回目となる、「ソウル2015 IBSAワールドゲームズ」が韓国・ソウルで開幕し、開会式が同市内のチャムシル屋内競技場で開催された。58カ国から約5,000人の選手、役員が参加している。

 

日本障がい者スポーツ協会によれば、日本選手団は78名と伴走者など競技アシスタント11名の計89名で、実施される9競技(陸上競技、チェス、サッカーB1全盲/B2/B3弱視、ゴールボール、柔道、パワーリフティング、ショーダウン、水泳、テンピンボウリング)のうち、陸上競技、サッカーB1、B2/B3、ゴールボール、柔道、パワーリフティング、テンピンボウリングの6競技にエントリーしている。

 

大会は17日(日)までで、期間中、Ustreamによる試合中継なども行われている。

 

【日本代表選手団参加種目一覧.pdf】

http://u222u.info/kZZ0

 

【中継ustream】

http://www.ustream.tv/channel/ibsa-world-games-2015

 

【大会公式HP】

http://www.ibsawg2015seoul.org/en-us/

 

【競技結果】

http://www.jsad.or.jp/paralympic/news/detail/20150511_000489.html

 

・11~12日: メダル獲得選手 (日本障がい者スポーツ協会より)

<陸上競技>

銀メダル: 佐藤智美 T13クラス(軽度の弱視) 100m 13秒38

金野由美子 T11 クラス(全盲) 5000m 21分55秒19

松本春菜 T13クラス                走幅跳 4m50

 

<テンピンボウリング>

金メダル: 森寛樹 男子シングルスB1クラス(全盲)

             井上智恵美 女子シングルスB1クラス

             森 透  男子シングルス B2クラス(弱視)

             岩下由美子 女子シングルスB2クラス

銀メダル: 森沢亜希子 女子シングルスB3 クラス(軽度の弱視)

 

・13日

<ブラインドサッカー>

ブラインドサッカーB2/B3クラス(弱視/ロービジョンフットサル)の第3日、日本代表が第3戦目となる韓国戦で3-1の勝利をおさめ、同大会に3回目の出場(2011年、13年)で、悲願の1勝を挙げた。

 

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【写真: 「ソウル2015 IBSAワールドゲームズ」で、歴史的勝利を挙げた日本と、対戦した韓国の選手らが並んで記念撮影=2015年5月13日/Jamsil Gymnasium (韓国ソウル)】

 

日本は前半6分、韓国に先制されるも、落ち着いて対応。12分に丸山哲生の同点弾、20分に角谷佳祐のゴールで逆転し、2-1でハーフタイム。後半の立ち上がりに、再び角谷のゴールで突き放すと、逆転を期して果敢にゴールを狙う韓国の攻撃を、持ち味の堅い守備でしのぎきり、歴史的な勝利をつかんだ。

 

ブラインドサッカーB2/B3クラス(=ロービジョンフットサル)はパラリンピック競技ではないため、ワールドゲームズが数少ない国際大会の機会となっている。日本は13年大会の終了後から斎藤友規監督が就任し、今大会を目標に強化を進めていた。

 

同B2/B3クラスには5カ国が(スペイン、イタリア、ウクライナ、韓国、日本)が参加しており、リーグ戦を経て、16日に順位決定戦が行われる。

 

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【写真:後半、追加点を狙ってシュートする、岩田朋之キャプテン(4番)と、この日2得点を挙げた角谷佳祐選手(10番)=2015年5月13日/Jamsil Gymnasium (韓国ソウル)】

 

▼斎藤監督のコメント
「初の1勝という目標が達成できて、まずは嬉しい。今までやってきたことを、選手がしっかり出してくれた。試合前には、今日は『負けないこと』を第一に、引き分けでもいいから、今までやってきた守備から入っていこうと指示した。先制されたが、だんだん慣れてきて、どの位置で守ればいいかが分かってきて、追加点を許さなかった。国際大会で3点とるのも初めてのこと。選手の気持ちが強かった。まだ、大会は終わりではない。(現在の戦績から)3位という新たな目標ができた。このあともしっかり戦いたい」

 

<陸上競技>

男子5000mT11クラスで、和田伸也(中田崇志ガイド)が16分18秒21で銀メダル、谷口真大(池澤暁ガイド)が16分35秒34で銅メダルを獲得、女子400mで佐々木真菜が1分05秒77で銀メダルを獲得した。

 

 

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【写真: 男子5000m表彰式。左から、和田伸也選手、中田崇志ガイド、トルコのKacar

選手ペア、谷口真大選手、池澤尭ガイド=2015年5月13日/文鶴陸上競技場(韓国仁川)】

 

▼谷口真大選手のコメント
「今まで4位や5位と、あと一歩でメダルが取れないレースばかりだったので、まずは(国際大会で初の)メダルをとれたことが嬉しい。(5000m決勝の)直前に800メートルの予選があり、少し疲労もあったので、ラスト400mや300mのスプリント勝負まで持ち越したくないと思っていた。すると、残り500mで3位の選手に追いついたので、迷うことなくラストスパートをかけて引き離した。(17日の)800m決勝もメダルを目指したい」


▼池澤暁ガイドのコメント

「力があるのにあと一歩届かなかったが、今日、メダルを勝ち取る経験ができて、よかった。勝ち方を知っていると、今後に生きてくると思う」

▼佐々木真菜選手のコメント
「国際大会で初めての銀メダル。とても嬉しい。これからも頑張りたい」

 

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【写真: 女子400mで、ラストスパートする佐々木真菜選手=2015年5月13日/Jamsil Gymnasium (韓国ソウル)】

 

(文・写真: 星野恭子)