スポーツ庁設置の真の目的は?(玉木正之)
スポーツ庁設置法案が可決成立した。が、ここで再確認しておかなければならないのは、このスポーツ庁設置法案が2020年東京五輪のために(主として多くのメダル獲得のために)成立されたのではない、ということだ。
現代社会におけるスポーツの役割は、若者たちの身体教育(体育=文科省)だけでなく、医療保険(厚労省)、プロスポーツの運営やマーケティング(市場)の拡大(経産省)、スポーツ施設の建設と都市の整備(国土交通省)等々、多岐に及び、過去の縦割り行政では、スポーツを中心とした社会の発展が目指せなくなってきた。
そこで、スポーツに関する施策を総合的に推進するためにスポーツ庁を設置し、スポーツ行政(スポーツ立国)を推進ためするには、過去のスポーツ振興法を改正したスポーツ基本法の制定(2011年に実現)、そして東京オリンピック・パラリンピックの招致・開催(2012年に実現)目指したほうが、早期実現を図れる、との思惑からスポーツ庁の実現に向けて取り組まれてきたものと言える。
つまり、東京オリンピック・パラリンピックのためのスポーツ庁ではなく、スポーツ庁とスポーツ政策のための東京オリ・パラなのだ。
その点を間違えないよう確認しておきたい。
(文:玉木正之、写真:自民党ホームページより)