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「星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ」(80) 4.23~5.1

国内外のパラリンピック競技の話題を独自にセレクトした「パラスポーツ・ピックアップ」シリーズ。今号は陸上競技のグランプリシリーズで誕生した2つのアジア新記録やロンドンで行われたマラソン世界選手権での3つの銅メダル獲得のニュース、そして、アイススレッジホッケー世界選手権の結果などをレポートしています。リオデジャネイロ・パラリンピック開幕まで500日を切り、代表権争いをかけた大会のニュースなども増えてきました。

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■陸上競技

・23日~25日: 2015年IPC((国際パラリンピック委員会)グランプリシリーズの第5戦が世界20カ国から約340人が参加して、ブラジル・サンパウロで開催された。男子走り幅跳びT42クラス(大腿切断など)で山本篤が6m35で優勝、アジア記録も更新した。山本はまた、同200mT42/44クラス(大腿/膝下切断など)では26秒60で3位、男子100mでは13秒20で5位に入った。

 

日本パラ陸上競技連盟によれば、山本は、他の日本選手の好記録に刺激を受け、「自分も頑張ろうと思った。よい記録が出てよかった」とアジア新のジャンプを振り返った。

 

同走り高跳びT44クラス(膝下切断など)では、鈴木徹が2006年に自身が記録した日本記録と並ぶ2mをクリアし、アジア新記録として認定された。

 

⇒グランプリシリーズ: IPC陸上競技連盟が主催する国際競技会シリーズで、2013年にスタートした。15年は全10大会(9つの地区大会と最終戦)が予定されており、初めてオーストラリアが加わり、史上初めて全5大陸での開催が実現する。9大会は順に、ドーハ(カタール)、ブリスベン(豪)、チュニス(チュニジア)、北京、サンパウロ(ブラジル)、メサ(米)、ノットビル(スイス)、グロッセート(伊)、ベルリンで、最終戦となるグランプリ・ファイナルは7月26日、ロンドンでの開催が決定している。

 

・26日: IPCマラソン世界選手権がロンドンマラソンを舞台に開催され、車いすの部男子T53/54クラスで副島正純が1時間31分33秒で銅メダルを獲得した。優勝はジョシュア・ジョージ(米国)で1時間31分31秒だった。同女子はアメリカのタチアナ・マクファーデンが1時間41分14秒で優勝、土田和歌子は10キロ過ぎでパンクに見舞われ、7位だった。

 

なお、日本パラ陸連では事前に、T54クラスの男女ともに今大会で2位以内に入賞した選手を、リオデジャネイロ・パラリンピックの車いすマラソン代表選手として、同連盟から日本パラリンピック委員会(JPC)へ上位推薦することを発表していたが、今大会で該当する選手は出なかった。

日本パラ陸連を通して、副島は、「天候が悪く、スタート直後のクラッシュを恐れて出遅れたが、タワーののぼりで先頭集団に入った。様子を見ながらの展開ではあったが、最後にさし切れての3位だったので、思い通りのレースができた。2位までに入りたかったが、ロンドンでは自身初の表彰台に立てたことは嬉しい」とコメント。

 

土田は、「10キロ過ぎでパンクをし、タイヤ交換をして再び走りだして先頭を追いかけたが、及ばず7位となった。天候が悪く厳しいコンディションのレースが世界選手権だったということは非常に残念だと思った。応援していただいたみなさん、ありがとうございました」とコメントした。

 

視覚障害の部では、T11/12クラス男子で堀越信司が2時間27分42秒で、同女子では道下美里が3時間3分26秒で、それぞれ銅メダルに輝いた。優勝はそれぞれ、2時間21分33秒をマークしたエル・アミン・シェントーフ(モロッコ)、2時間58分23秒のエレーナ・ポートーバ(ロシア)で、両選手とも世界新記録を樹立した。

 

堀内と道下は、日本盲人マラソン協会(JBMA)が事前に発表した、リオ・パラリンピックのマラソン日本代表の選考基準を満たしたため、JBMAからJPCに代表として推薦する候補選手の男女第1位にそれぞれ内定した。

 

なお、リオ・パラリンピックの陸上競技で実施される種目がIPCより正式に発表されるのは今年5月頃の予定とされている。

 

<日本人選手の成績>

▼車いすの部代表

・T54クラス男子

副島正純: 3位 1時間31分33秒

洞ノ上浩太: 7位 1時間32分22秒

吉田竜太: 11位 1時間35分35秒

西田宗城: 17位 1時間41分48秒

山本浩之: 18位 1時間43分29秒

久保恒造: 26位 1時間50分58秒

 

・T54クラス女子

土田和歌子: 7位 1時間56分48秒

 

・T51/52クラス男子

上与那原寛和: 5位 2時間40分08秒

 

▼視覚障害の部

男子:

堀越信司: 3位 2時間27分42秒

岡村正広: 4位 2時間31分40秒

熊谷豊: 5位 2時間37分48秒

羽立祐人: 13位 2時間49分12秒

女子: 道下美里: 3位 3時間03分26秒

西島美保子: 5位 3時間21分02秒

藤井由美子:6位 3時間22分32秒

安部直美: 9位: 3時間47分36秒

(大会公式サイトリザルトページより抜粋)

 

■アイススレッジホッケー

・26日: 「2015アイススレッジホッケー世界選手権Aプール」が米国ニューヨーク州のバッファローで開幕した。世界トップ8カ国((カナダ、アメリカ、ロシア、チェコ、ノルウェー、イタリア、ドイツ、日本)が競う今大会は2018年のピョンチャン・パラリンピックの出場権獲得に向けた重要な一歩となる。今大会で上位6位までに入ると、Aプール残留となり、来年の世界選手権Aプールに自動的に出場できるが、7、8位となった場合はBプール降格となり、ピョンチャン出場権をかけて世界選手権Bプール、最終予選での戦いを強いられることになる。

 

この日は2組に分かれ、予選リーグからスタート。A組の日本は初戦でカナダと対戦し、0-17で大敗を喫した。

 

・27日~30日: 日本は予選リーグ2戦目で、チェコに1-2で、同3戦目でノルウェーに0-5で敗れた。この結果、日本はA組4位となり、次戦のプレイオフでB組3位のイタリアと、Aプール残留をかけて対戦することに決まった。

 

・5月1日: Aプール残留をかけてイタリアとプレイオフを戦った日本は1-5で敗れ、Bプールへの降格が決まった。日本はこのあと、2日の7-8位決定戦でチェコと対戦し、大会1勝を目指す。大会は3日まで。

 

■ブラインドサッカー

・27日: 日本ブラインドサッカー協会は、リオデジャネイロ・パラリンピック予選となる「IBSA(国際視覚障害者スポーツ連盟)ブラインドサッカーアジア選手権2015」を今年9月、東京都内(予定/会場未確定)で開催すると発表した。同大会の上位2カ国(優勝国、準優勝国)にパラリンピック出場権が与えられる。

 

ブラインドサッカーは2004年のアテネ大会からパラリンピック正式競技となった。日本は08年北京大会、12年ロンドン大会の出場を目指したが、いずれも出場を逃している。今大会で2位以内に入り、悲願のパラリンピック初出場を目指している。

 

<アジア選手権開催概要(調整案)>
大会名: IBSAブラインドサッカーアジア選手権2015
日程: 9月2日(水)-9月7日(月)(予定)
会場: 東京都内(予定/会場未確定)
主催: 日本ブラインドサッカー協会
共催: International Blind Sports Federation(IBSA:国際視覚障害者スポーツ連盟)
大会公式サイト(ベータ版): http://www.asia2015-blindfootball.com/

 

■ブラジル発

・26日: リオデジャネイロ・パラリンピックの開会式までちょうど500日となったこの日、ブラジルのコパカバーナ・ビーチでは大会PRを兼ねた記念イベントが開催された。車いすダンサーを含む、約200人のパフォーマーがイベントを盛り上げた。

 

リオ大会は来年の9月7日から18日までの12日間に開催される。約170の国と地域から約4350選手の参加が見込まれ、22競技で428個のメダル種目が実施される予定だ。現在は大会準備も最終段階に入り、まもなく観戦チケットも発売開始されるという。

 

≪大会の開催情報≫

■内閣総理大臣杯争奪 第43回日本車椅子バスケットボール選手権大会

各地区予選を勝ち抜いた15チームに、日本選抜車椅子バスケットボール選手権大会優勝チームを加えた16チームが出場し、日本一を競う大会。

日程:5月4日(月・祝)~6日(水・祝)

開催:東京体育館  (東京都渋谷区千駄ヶ谷1-17-1/JR千駄ヶ谷駅徒歩1分)

*入場無料

大会情報ページ: http://www.jwbf.gr.jp/championship_man/info/game/43.php

決勝戦の中継放送: 5月6日13時10分から、スカパーで生中継 (後日、録画放送もあり)

http://www.bs-sptv.com/program/1072/