ノーボーダー・スポーツ/記事サムネイル

「星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ」(464) 国内初! パラスポーツ9団体がマーケティング活動などで連携する「P.UNITED」が発足!

パラスポーツ団体が直面する課題に対し、経験や知恵を共有することで課題に取り組み、健常者と障がい者がごく当たり前に共に過ごせる社会作りを目指すーーそんな目標を掲げ、パラスポーツ9団体が6月に立ち上げた新プロジェクト「P.UNNITED(ピー・ユナイテッド)」の発表記者会見が821日、都内で開かれました。

 P.UNNITED東京2020パラリンピック開催後、各団体との親睦が深まったことをきっかけに、競技認知や競技人口の向上、競技団体の資金力や人材不足といった課題に対し、それぞれの強みを活かしあったり、異なる競技のアスリート同士の交流・連携などを通して、協働でマーケティング活動を行っていこうと設立されました。

 今回、連携したのは次の9団体です。日本身体障害者アーチェリー連盟、日本障害者カヌー協会(大会参加のため、会見には不参加)、日本障がい者乗馬協会、日本パラ射撃連盟、日本知的障害者水泳連盟、日本知的障がい者卓球連盟、日本パラ・パワーリフティング連盟、日本パラフェンシング協会、日本車いすカーリング協会で、こうした形でパラスポーツ団体が競技を越えて連携するのは国内では初となります。

 新プロジェクト「P.UNNITED(ピー・ユナイテッド)」の発表記者会見より。前列左から、水田光夏選手(パラ射撃)、山下英一選手(アーチェリー)、花岡恵梨香選手(車いすカーリング)、宇城元(パラ・パワーリフティング)、後列左から、河野正寿P.UNITED副代表(日本障がい者乗馬協会/事務局長)、田中辰美代表(日本パラ射撃連盟/常務理事)、宮路満英選手(乗馬)、加納慎太郎選手(パラフェンシング)、古川佳奈美選手(卓球)、松田天空選手(水泳)、牛込公一副代表(日本パラフェンシング協会/理事) (提供:P.UNITED

 P.UNNITED代表を務めるのは日本パラ射撃連盟の田中辰美常務理事で、これまで競技普及やガバナンス強化、団体基盤強化などに努めてきたものの、小規模な1団体では活動や成果にも限界があったことから、「多様な特性をもつ9団体が集まることでより大きなインパクトが生み出せると考えた」とプロジェクトの狙いを説明しました。

 選手を代表して、パラフェンシングの東京パラリンピック代表、加納慎太郎選手も登壇し、「9つの団体が横につながることで、自分の知見を広げたり、パワーをもらったり、交流を広げて、競技力向上や結果にもつなげていきたい」と、P.UNITEDへのアスリート目線での期待を語りました。

 なお、プロジェクト名P.UNITEDの「P」は 社会を変えていくPositiveな存在、時にそれを推進するPowerとなるといった言葉の頭文字「P」から発想され、パラスポーツの新しい取り組みとして未来に前向きな影響を与えたいという想いが表現されています。

 また、ロゴマークは東京2020大会エンブレムの作者である美術家、野老朝雄さんが手がけ、9団体が力や知恵、経験を合わせていくことをイメージし、個と群のコンセプトから生まれたデザインになっています。

 P.UNITEDロゴマークと、デザインした美術家、野老朝雄さん (提供:P.UNITED

 今後はプロジェクトの認知度を高め、パートナー企業を募り、各団体の運営基盤の強化につなげていくなどジョイントマーケティング活動を本格化させていく予定で、複数競技が参加する体験イベントなどにも取り組んでいくとしています。

 東京パラのレガシーの一つともいえる新プロジェクト。今後の展開に注目したいと思います。

 P.UNITED公式サイト

https://punited.org/

 (文:星野恭子)