「星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ」(76) 3.26~3.30
国内外のパラリンピック競技の話題を独自にセレクトした「パラスポーツ・ピックアップ」シリーズ。今号はまず、パラサイクリングのトラック世界選手権で、銀2、銅1のメダルを獲得した日本勢の活躍をリポート。代表選手たちの走りを間近に見るチャンス、4月11日に伊豆で開催される日本選手権情報もご紹介しています。また、2020東京オリンピック・パラリンピック組織委員会が新設した「文化・教育委員会」のメンバーを発表しました。組織委は今後、日本文化の発信やオリンピック教育の推進などについて意見を求めながら、大会準備を進めていくそうです。
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■パラサイクリング
○26日~29日: 世界30カ国から約160選手が参加して、「2015パラサイクリング・トラック世界選手権」がオランダ・アペルドールンで開催された。日本から5選手が派遣され、女子Bクラス(視覚障害)の鹿沼由理恵(楽天ソシオビジネス)と田中まいパイロット(日本競輪選手協会)が銀メダルと銅メダル、男子C3クラス(切断・機能障害など)の藤田征樹(日立建機)が銀メダルを獲得。さらに、全選手が入賞(8位まで)や自己ベスト更新を果たすなど、来年に迫ったリオデジャネイロ・パラリンピックに向けた重要なシーズンで好スタートを切った。レース結果の詳細は以下の通り。
【世界選手権ロードの3キロIP(個人追い抜き)で銀メダルを獲得した鹿沼由理恵選手(左)と田中まいパイロット(左から2番目)=写真提供:日本パラサイクリング連盟】
・26日: 男女タイムトライアルが行われ、鹿沼・田中ペアと男子C4クラス(切断・機能障害など)の石井雅史(藤沢市みらい創造財団)がそれぞれ4位に、藤田と女子C2クラス(切断・機能障害など)の藤井美穂(楽天ソシオビジネス)がそれぞれ7位に入った。
・27日: 男子3キロIP(個人追い抜き)で、藤田がトップと6秒差の2着となり、銀メダルを獲得した。予選を2位で通過し、決勝に進んだが、優勝したアメリカの選手にわずか及ばなかった。2大会連続パラリンピック代表の藤田は2008年北京大会で銀2、銅1、12年ロンドンで銅1個のメダルを獲得している。
・28日: 女子3キロIPで、鹿沼・田中ペアが銀メダルを手にした。予選で3秒差だったニュージーランドペアに、決勝でもよく食らいついたが、惜しくも4秒差で敗れた。鹿沼・田中ペアは昨年8月、アメリカで行われた「パラサイクリング・ロード世界選手権」のタイムトライアルで金メダルを獲得している。アジア人ペアとしては大会史上初となる快挙だった。
【 銀メダルを獲得した鹿沼由理恵選手(後ろ)と田中まいパイロット(前)の力走=写真提供:日本パラサイクリング連盟】
・29日: 大会最終日には男女スプリントが行われ、鹿沼・田中ペアが銅メダルを獲得した。予選4位で進出した決勝トーナメントではイギリスペアに敗れたが、3,4位決定戦では、前日まで2敗を喫していたニュージーランドを圧倒、ストレート勝ちを収めた。
日本代表陣はこのあと、4月11日に静岡県で開幕する、「2015日本パラサイクリング選手権・トラック大会」に臨む予定になっている。
<2015日本パラサイクリング選手権・トラック大会>
概要: 「第84回全日本自転車競技選手権大会トラック・レース」との併催
期日: 2015年4月11日(土)
会場: 伊豆ベロドローム(静岡県伊豆市大野1826) *入場無料
大会公式サイト: http://nationalchampionships-track.com/
■ブラインドサッカー
・28日~29日: 各地域リーグ上位チームに、昨年の世界選手権7位のコロンビア代表を加えて争う「クラブチーム選手権2015」がフロンタウンさぎぬま(神奈川県川崎市)で開催され、決勝で、Avanzareつくば(関東リーグ代表)が4-2でたまハッサーズ(関東リーグ代表)を下し、優勝した。3位決定戦は、コロンビア代表(海外招へいチーム)が3-0で埼玉T.Wings(関東リーグ所属、予選勝ち上がり)を破った。
MVPには、Avanzareつくばの川村怜選手が、フェアプレー賞にはたまハッサーズが選ばれた。
下位トーナメントでは、5位ラッキーストライカーズ福岡(公式認定試合より)、6位新潟フェニックスファイヤーズ(東北北信越リーグ代表)、7位兵庫サムライスターズ(関西リーグ代表)の順位となった。
■陸上競技
・30日: 日本パラ陸上競技連盟は、4月26日にロンドンマラソンで実施される、「2015世界選手権マラソン競技」の車いすの部に派遣する日本代表選手名(男子7名、女子1名)を発表した。代表選手は以下の通り。
<ロンドンマラソン招待選手>
・T54クラス (男子)
副島正純(ソシオSOEJIMA)/洞ノ上浩太(エイベックス)/山本浩之
・T54クラス (女子)
土田和歌子(八千代工業)
<一般選手>
・T52クラス(男子)
上与那原寛和
・T54クラス(男子)
久保恒造/西田宗城/吉田竜太
■東京発
・30日: 2020東京オリンピック・パラリンピック組織委員会は、各界の専門家にアドバイスを求める専門委員会として新たに設置した、文化・教育委員会の委員長を東京芸術大の宮田亮平学長が務めると発表した。委員会メンバーには、EXILEのHIROさんや映画監督の山崎貴さんから、歌舞伎俳優の市川海老蔵さんや華道家の池坊由紀さん、また、教育関係者など、幅広い分野から26人が選ばれた。
組織委の武藤事務総長は、「文化については伝統芸能をはじめとして新しい文化、食文化等、また教育については小中学校から高等教育、障がい者教育といった分野で活躍する方々に参加いただいだ。専門的な見地からご意見を伺い、議論を進めていきたい」と話した。
(文・写真: 星野恭子)