「星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ」（452） パラ射撃の瀬賀選手、W杯2位でパリパラ出場枠を獲得。日本勢では第1号！
来年のパリパラリンピック出場枠もかかったパラ射撃のワールドカップ・チャンウォン大会が5月21日から31日まで韓国で開かれ、瀬賀亜希子選手が混合エアライフル伏射SH2クラスで女子2位（全体11位）に入り、日本が同出場枠を獲得しました。なお、パリパラ実施22競技を通して、射撃が日本勢初の出場枠獲得となります。
このW杯には41カ国から200名以上が出場し、種目ごとに男女それぞれ上位1名にパリパラ出場枠が与えられることになっていました。瀬賀選手は出場種目で合計634.2点をマークし52人中全体11位、女子2位となりました。1位のフランスの選手がすでにパリパラ出場枠を獲得済みだったことから規定により瀬賀選手が出場枠を得ました。
瀬賀選手は1965年東京都生まれで、パラリンピックは2004年アテネ大会に初出場し、12年ロンドン、16年リオと出場を重ねている57歳のベテラン選手です。
また、日本は1チーム3人の合計得点で争われるエアライフル伏射混合SH2クラス団体戦でも銅メダルに輝きました。この種目では日本チーム20年ぶりのメダル獲得となります。
メンバーは瀬賀選手（634.2点）に、東京パラ代表の水田光夏選手（633.9点）、昨年7月から競技を始めた金尾克選手（629.6点）の3人で合計得点は1897.7点でした。なお、金メダルには1912.6点の韓国1912.6点が、銀メダルには1908.2点のフランスが輝いています。
銃器を使って標的を撃ち抜き、その合計得点で競う射撃は、呼吸や胸の鼓動さえ照準のブレにつながる究極の集中力とテクニックが問われる難しい競技です。会場が屋外の場合は風の強さや方向も読む必要があります。
パラ射撃では障害の程度に応じた射撃方法によってSH1（自分の腕で銃器を支えて撃つ）とSH2（テーブルなど支持スタンドを使って撃つ）の2クラスに分かれます。さらに、使用する銃器（ライフル、ピストル）と標的までの距離（50m、25m、10m）、撃つ姿勢（立射、膝射、伏射）の組み合わせとクラスにより種目が分かれています。
パリパラでは13種目が実施予定で、合計160の出場枠が今大会のほか、世界選手権や大陸別選手権の成績上位選手に配分されます。
日本チームは計4つの出場枠の獲得を目指しており、9月の世界選手権（ペルー）や10月のアジア競技大会（中国）などで残り3枠の獲得を狙います。ぜひ、応援ください。
なお、パリパラリンピックは2024年8月28日から9月8日まで11日間の日程で開催されます。
■パリパラ出場枠獲得競レースが、本格化
パリパラ開幕まで1年余りとなり、出場枠獲得への争いは今後、本格化していきますが、出場枠配分の規定は競技ごとに異なります。ここでは、パリパラ出場枠のかかった大会が6月から8月にかけて開催され、日本チームも出場予定の6競技について開幕順にご紹介します。
【車いすバスケットボール： パリパラ出場枠＝男女各世界8カ国】
6月9日～20日：世界選手権／IWBF世界選手権／ドバイ
→男女それぞれ上位4チームが所属するゾーン（ヨーロッパ、アメリカ、アフリカ、アジア・オセアニア）に出場枠が与えられる。日本は女子代表のみが出場する。出場枠を得たゾーン内で2023年夏以降に予選を兼ねた大会を実施して出場国が決定。もし、アジア・オセアニアゾーンで実施されれば、その大会には男子も出場予定。
【車いすラグビー： パリパラ出場枠＝男女各世界8カ国】
6月29日～7月2日：アジア・オセアニア選手権／日本
→優勝チームに出場枠が与えられる。
【陸上： パリパラ出場枠：164種目に1069選手】
7月8日～17日：パリ2023世界選手権／パリ
→パリパラ実施種目でそれぞれ4位以内に入った選手の国に出場枠が与えられる。日本からは38選手が出場予定。
【水泳： パリパラ出場枠141種目に605選手】
7月31日～8月6日：マンチェスター2023世界選手権／イギリス
→パリパラ実施種目でそれぞれ2位以内に入った選手の国に出場枠が与えられる
日本からは21選手が出場予定。
【ブラインドサッカー： パリパラ出場枠＝男子のみ世界8カ国】
8月18日～27日：IBSA世界選手権／イギリス・バーミンガム
→まだ出場権を得ていないチームのなかで上位3位以内のチームに出場枠が与えられる。
【ゴールボール男女： パリパラ出場枠＝男女各世界8カ国】
8月18日～27日：IBSA世界選手権／イギリス・バーミンガム
→男女それぞれ優勝国に出場枠が与えられる。日本は男女とも出場予定。
いずれも、厳しい戦いが予想されます。こちらも、ぜひ応援ください。
（文：星野恭子）
