「星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ」(445) トビウオパラジャパン、パリパラリンピック出場枠がかかる世界選手権へ
4月1日、日本知的障害者水泳連盟が、この夏、イギリスで開催される「マンチェスター2023WPS世界選手権」の知的障害クラスの日本代表選手5名(男子3、女子2)を発表しました。3月5日に日本パラ水泳連盟が発表している肢体不自由クラスと視覚障害クラスの日本代表16名(男子9、女子7、保留2名(*1)を除く)と合わせ、全21名の日本代表選手が決定しました。
(*1:保留2名は今後、国際クラス分けを受け、認定された場合に代表に決定)
同世界選手権は7月31日から8月6日にかけてイギリス・マンチェスターで開催されますが、2024年パリパラリンピックの予選も兼ねて行われる重要な大会です。個人種目(*2)で上位 2 位に入った選手の国にそれぞれ 1 枠(*3)が与えられ、とくに日本選手で金メダルを獲得した場合は、その選手個人の出場が内定します。
(*2: 2024年パリパラリンピックで実施されるメダル対象の個人種目) (*3:同一選手が複数のメダル対象個人種目で 1 位、または 2 位に入っても国 に与えられる出場枠は 1 枠のみ)
なお、代表選考会は3月4日~5日にかけて静岡県富士水泳場(静岡県 富士市)で開催された、「2023日本パラ水泳春季チャレンジレース」が対象となっており、全国から約200選手がエントリー。2日間にわたる熱戦の結果をもとに、出場要件を満たした選手が選考されました。
3月のチャレンジレースで選考要件を満たした選手の喜びのコメントと世界選手権への意気込みをピックアップしてお届けします。
▼山口尚秀選手(四国ガス)
――100m平泳ぎを世界新記録(1分02秒75)で優勝
「世界選手権ではパリパラリンピックの内定が決まる優勝を目指したい。新しい選手にも負けない泳ぎをしたい」
▼窪田幸太選手(NTTファイナンス)
――キックの修正がタイム短縮につながった
「世界選手権の目標タイムを3月に達成できたので、目標を組みなおして、またベストを狙いたい」
▼鈴木孝幸選手(GOLDWIN)
――肩の故障から復帰し、代表切符をつかんだベテラン
「世界選手権の目標は去年よりもタイムを挙げて2位以上で枠を取ること。できれば金メダルを目指したい」
▼日向楓選手(宮前ドルフィン)
――東京パラリンピック7位入賞
「世界選手権では自己ベストを更新したい。決勝に残るのはもちろん、中国のトップ3により近づけるように頑張りたい」
▼木村敬一選手(東京ガス)
――東京パラリンピックで悲願の金メダルを獲得したベテラン
「世界選手権では(パリパラが内定する)金メダルを目指してがんばりたいし、0.01秒でも速く泳ぎたい。そのためにどんなアプローチができるか考えながら練習し、タイムをしっかりあげたい」
▼富田宇宙選手(EY Japan)
――3種目で出場要件をクリア
「パラリンピック1年前の世界選手権は選手も(大勢)集まり、(パラへの)試金石になる。自分の立ち位置も確認しながらやっていきたい」
▼萩原虎太郎選手(セントラルスポーツ)
――東京パラリンピックで出した自己記録を更新し、世界選手権へ
「1年前の自分を、ほんの数秒だが越えられた。成長できていて嬉しい。世界選手権では一緒に出場する窪田選手に食らいつきたい」
▼福田果音選手(KSGときわ曽根)
――100m平泳ぎをアジア新記録(1分25秒55)で優勝
「世界選手権では1分24秒台を出せるように、前半を39秒台で入れるようにがんばりたい」
▼木下あいら選手(個人)
――パラ水泳に転向後、日本記録やアジア記録を次々と塗り替えているホープ
「世界選手権は初出場で、ワクワクしています。メダルを獲れるようにがんばりたい」
世界選手権まで、あと4カ月を切り、選手たちの練習も佳境です。どうぞ応援ください!
【マンチェスター2023WPS世界選手権日本代表】 (名前/障害種別/種目)
<男子12名>
窪田幸太(NTTファイナンス):肢体不自由/100m背泳ぎ
鈴木孝幸(GOLDWIN):肢体不自由/50m自由形、100m自由形
田中映伍(個人):肢体不自由/50mバタフライ
萩原虎太郎(セントラルスポーツ):肢体不自由/100m背泳ぎ、200m個人メドレー
日向楓(宮前ドルフィン):肢体不自由/50mバタフライ
南井瑛翔(近畿大学):肢体不自由/200m個人メドレー
木村敬一(東京ガス):視覚障害/100mバタフライ、50m自由形
齋藤元希(国士館大学PST):視覚障害/400m自由形
富田宇宙(EY Japan):視覚障害/100mバタフライ、50m自由形、200m個人メドレー
松田天空(NECGSC):知的障害/100mバタフライ
村上舜也(NECGSC):知的障害/100mバタフライ
山口尚秀(四国ガス):知的障害/100m平泳ぎ、100mバタフライ、200m 個人メドレー
<女子9名>
宇津木美都(大阪体育大学):肢体不自由/100m平泳ぎ
西田杏(シロ):肢体不自由/50mバタフライ
福田果音(KSGときわ曽根):肢体不自由/100m平泳ぎ
由井真緒里(上武大学):肢体不自由/200m自由形、100m平泳ぎ、100m自由形、200m個⼈メドレー
石浦智美(伊藤忠丸紅鉄鋼):視覚障害/50m自由形
小野智華子(あいおいニッセイ):視覚障害/100m背泳ぎ
辻内彩野(三菱商事):視覚障害/50m自由形
木下あいら(個人):知的障害/200m自由形、100mバタフライ、100m平泳ぎ、200m 個人メドレー
芹澤美希香(宮前ドルフィン):知的障害/100m平泳ぎ
<保留選手女子2名>
(選考要件は満たしているが、競技クラスステータスを現時点で満たしていないため保留)
豊田美来(QlassicS):肢体不自由/100m背泳ぎ
石原愛依(神奈川大学):視覚障害/100m平泳ぎ、200m個人メドレー
(文:星野恭子)