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「星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ」(430)ボッチャ、ノルディックスキー、アルペンスキー、ゴールボール・・・日本代表が国際大会で躍動! 

海外から日本代表選手たちの活躍のニュースが続々、届いています。ピックアップしてお届けします。

【ボッチャ】 日本代表「火ノ玉ジャパン」、2022世界ボッチャ選手権で躍動!
世界ボッチャ連盟加盟国73ヵ国のうち上位39カ国が参加して、12月6日から13日までブラジル・リオデジャネイロで開催された「2022世界ボッチャ選手権」で日本代表「火ノ玉ジャパン」は10選手(プラスランプオペレーター2名)が出場し、金を含む4つのメダル獲得と、史上初めて全クラス準決勝進出を果たすなど好結果を残しました。

<金メダル> 個人BC4男子: 内田峻介選手(大阪体育大学)
<銀メダル> 個人BC2男子: 廣瀬隆喜選手(西尾レントオール)
<銅メダル> 個人BC1女子: 藤井友里子選手(アイザック)
団体戦(BC1/2チーム); 遠藤裕美選手(福島県ボッチャ協会)、中村拓海選手(愛徳福祉会 大阪発達総合療育センター)、廣瀬選手

BC4男子で金メダルを獲得した内田選手は世界選手権初出場ながら、グループラウンドを3戦全勝で突破し、ノックアウトラウンドでも順調に勝ち進み、決勝ではコロンビアのE・Grisales選手を7-0で下し、世界の頂点に。
世界選手権初出場で金メダルを獲得した内田俊介選手(BC4)のパフォーマンス (提供:日本ボッチャ協会)

内田選手は、日本ボッチャ協会を通じ、「常に挑戦する気持ちを忘れず臨むことが出来たのが優勝につながったと思います」とコメントしました。

BC2男子で銀メダルに輝いたベテラン、廣瀬選手は、「自分の今持っている力を出した結果がメダルにつながったと思います」。つづく、BC1/2のチーム戦でも銅メダル獲得に貢献しました。
銅メダルを獲得したBC1/2のチーム戦のメンバー。前列左から、遠藤裕美選手、廣瀬隆喜選手、中村拓海選手 (提供:日本ボッチャ協会)

今大会はパリ・パラリンピック出場権につながるポイント獲得という意味でも重要な位置づけだったなか、「火ノ玉ジャパン」は個人戦、団体戦ともに好結果を残せたことで、今後に向けた大きな手ごたえを得たようです。

▼大会公式リザルト
https://worldboccia.io/event/54

【ノルディックスキー】川除大輝選手、新田佳浩選手がW杯で連続、表彰台!
12月10日から18日までの予定で、フィンランドで開催されている「FISパラノルディックスキー・ワールドカップ・ヴオッカティ大会」で、北京パラリンピック金メダリストの川除大輝選手(日本大学/日立ソリューションズ ジュニアスキークラブ)が金・銀・銅メダルを獲得したほか、ベテラン新田佳浩選手(日立ソリューションズ)も複数メダルを獲得。バイアスロンでも入賞者が出ています。

クロスカントリースキー5kmクラシカル立位男子
優勝: 川除大輝選手(LW5/7)、3位: 新田佳浩選手(LW8)

クロスカントリースキースプリント男子立位(1.2km)
3位: 川除選手

クロスカントリースキー10kmクラシカル男子立位
2位: 川除選手、3位新田選手

川除選手は初日の5㎞クラシカルで金メダルを獲得後、日本障害者スキー連盟を通じて、「今シーズンの初戦で、北京パラリンピック以来のレース。1周目からトップを走ることができ、2周目は少し失速したが、最後までトップを守り切ることができました。北京パラリンピックが終わってからいろいろなイベント、挨拶に出席させていただき、自分たちがものすごく支えられていることに改めて気づくことができました。その中で、皆さんに良い報告ができることをとても嬉しく思います」と喜びのコメント。つづく2レースでも好結果を残しています。
金メダルに向かって雪上を疾走する川除大輝選手(提供:日本障害者スキー連盟)

また、新田選手も同じレースで銅メダルを獲得し、「平昌(パラリンピック、2018年)以来、5シーズンぶりの表彰台。当然、苦しい期間の方が長かったですが、川除選手と一緒に表彰台に立つことができたことが最高の瞬間でした。レース自体は秒差を争うタフなレースでしたが、ワックスマンをはじめ多くのスタッフにサポートしていただいたこと、そして多くの方から応援していただき感謝しています。まだレースは始まったばかり。明日からのレースもチーム一丸となって頑張ります」と力強くコメント。
5㎞クラシカル男子立位の表彰式。金メダルの川除大輝選手(中央)と銅メダルの新田佳浩選手(右) (提供:日本障害者スキー連盟)

両選手は14日の10㎞クラシカルでも揃って表彰台に立つなど好調な様子です。

13日からはバイアスロン競技もスタート。初日のインディビデュアル女子立位(12.5km)で出来島桃子選手(新発田市役所)が4位に、同男子立位(同)で佐藤圭一選手(セールスフォース・ジャパン)が6位に入賞。大会は18日まで続きます。さらなる活躍に期待です。

▼大会リザルトなど
・クロスカントリースキー
https://www.fis-ski.com/DB/general/event-details.html?sectorcode=PCC&eventid=52842&seasoncode=2023

・バイアスロン
https://www.fis-ski.com/DB/general/event-details.html?sectorcode=PBT&eventid=52950&seasoncode=2023

【アルペンスキー】 森井大輝選手、W杯大回転で連日、表彰台!
12月14日にオーストラリアで開幕した国際スキー連盟(FIS)主催のワールドカップ・シュタインナハアムブレンナー大会。北京パラリンピック銅メダルの森井大輝選手(トヨタ自動車株式会社)が、初日のスーパー大回転(SG)第1戦と翌15日の同第2戦と連続で3位に入りました。大会は17日まで行われます。

▼大会リザルトなど
https://www.fis-ski.com/DB/general/event-details.html?sectorcode=PAL&eventid=52676&seasoncode=2023

【ゴールボール】  日本代表「オリオンJAPAN」、男女とも悔しい準々決勝敗退。パリへの切符は次戦で!
12月7日にポルトガル・マトジーニョスで開幕した「2022IBSAゴールボール世界選手権」で日本代表「オリオンJAPAN」女子は5勝1敗1分(勝ち点16)のグループ2位で、同男子は4勝1分2敗(勝ち点13)のグループ3位で予選を突破。

しかし、15日の準々決勝で女子は2-3で韓国に、男子は4-6でリトアニアに敗戦。ともに今大会で上位2カ国に与えられるパリ・パラリンピックへの出場枠は得られませんでした。

東京パラリンピック銅メダルの女子は次のパリ大会でさらに上を目指し、強化を進めているなかでした。市川喬一総監督は、「東京パラリンピックから1年半。いろいろ取り組んできたが、まだ結果が出ていないと分かった。また、やり直したい」と悔しさをにじませました。天摩由貴キャプテンは、「世界選手権に向けて、勝てるだけの練習はしてきたが、(それぞれの選手が)発揮しきれなかった。この結果を受け止め、次のチャンスでしっかり(パリへの)切符を勝ち取るんだという思いで、また日本に帰って練習してきたい」と前を向きました。
予選最終のエジプト戦(14日)でプレーする天摩由貴キャプテン(中央)と、小宮正江選手(左)、安室早姫選手(右)。試合は5-0で日本が完封勝利 (撮影:吉村もと)

開催国枠で出場した東京パラで5位に入った男子は自力でのパラリンピック出場を目指していますが、東京パラにつづいて今大会でも準々決勝の壁に跳ね返されました。工藤力也ヘッドコーチは、「(東京パラ銅の)リトアニアとは現時点での実力は5分5分だったと思うが、パラ常連国のリトアニアと心技体の紙一重の部分で日本は流れをつかめなかった。この悔しさを次につなげ、『真の実力』をつけたい」とさらなる進化を誓っていました。

川嶋悠太キャプテンは、「粘り強いディフェンスなど互角に戦えたところもあり、世界のレベルに近づいていることは感じたが、まだ準々決勝の壁を超える実力ではなかったと痛感した。今回の経験を生かし、次のアジア選手権で(切符を)絶対に取りたい」と意気込みました。
予選のドイツ戦(13日)で強烈なボールを体で受け止め、ゴールを守る川嶋悠太キャプテン。攻守の要としてチームをけん引し、11-1のコールド勝ちに貢献 (撮影: 吉村もと)

選手たちも話すように、「オリオンJAPAN」にはパリ大会出場枠獲得のチャンスがまだ2回残されています。ひとつは来年開催予定のアジア・パシフィック選手権で優勝(またはまだパリ出場権を得ていない国の中で最上位になる)。もう一つは来年8月にイギリス・バーミンガムで開催されるパリ大会出場ランキングトーナメント(最終予選大会)の上位に入ること。今大会で得られた課題を持ち帰り、さらなる進化を期待します。 

なお、今大会で決勝に進出した、女子は韓国とトルコ(東京パラ金)が、男子はブラジル(同金)と中国(同銀)がそれぞれパリパラリンピックへの出場権を獲得しました。大会は16日に男女3位決定戦、同決勝戦が行われ、閉幕する予定です。


▼大会公式サイト
https://www.goalball2022.pt/

(文:星野恭子)