死ぬまでにプレーしたいゴルフ場Vol.2 富士山と共にある天空のゴルフ場 〜 グランフィールズカントリークラブ
私はグランフィールズの15番ホールが大好きだ。
さほど距離のないパー4なのだが、なかなか戦略的で面白いのだ。ティショットは打ち下ろしで、フェアウェイが右に傾斜しているから、普通に打てばボールは右に持っていかれることになる。右サイドからグリーンへの第2打は池超えで、つま先下がりの斜面から打ち上げていくという神経を使うアプローチショットだ。グリーンの奥行きは使えないから、たとえ距離がなくてもピンに止めるのはイージーではない。
グリーンに乗ってからサプライズがあるのもこのホールの醍醐味だ。高台にあるグリーンを取り囲む小ぶりの松の向こうには天気が良ければ駿河湾を望むことができるし、次のホールのティグラウンドに向かおうとすると、森の上に富士山のてっぺんがちょこんと顔を覗かせているから、「なんだ、そこにいたんだ」と思わず話しかけそうになってしまう。他にもよくできたホールはたくさんあるのだが、やはり15番が最も印象に残るのである。
そのコースが自分にとって良かったのか、そうでもなかったかの判断は、印象に残るホールがあるかないかが大きいと思うのだが、私にとって15番で感じる爽快感や浮遊感は特別なものであり、それがグランフィールズの評価を高くさせているのは間違いない。天気の良い日にこのホールをプレーできれば、それだけで私は幸せなのである。
15番のほかに印象に残るのは、城壁のような石組みにガードされた谷越えのグリーンを狙う7番のパー3や、浮島のような雰囲気を醸し出す池越えのグリーンが美しい11番のパー3、それから高低差の極端な二段グリーンが面白い14番のパー3など。すべてパー3だが、実際にプレーすれば、この意見に頷いてもらえるのではないだろうか。スペクタクルなパー3がここでのプレーを忘れられないものにする。
もう1つ感動的なのが、5番ホールの茶店でいただく抹茶と和菓子。床几に腰掛けると、正面の大きなガラス窓の向こうに霊峰富士がそびえ立っているのが見える。それはまるで日本画の大作のようで、いつまでも見ていたくなる至福の瞬間を過ごすことができるのだ。
豪華なクラブハウスには、メンバーとそのゲストだけが利用できる隠れ家的ホテルがあって、ここでのステイもまた格別。縁があれば、ぜひ泊まってプレーされるといい。
グランフィールズカントリークラブ
静岡県三島市五輪4716
(文・小林一人/撮影・石塚定人)