「星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ」(414) ボッチャ日本代表「火ノ玉ジャパン」、国際大会で金獲得! この夏、観戦や体験のチャンスも!
東京パラリンピックでメダル3個獲得という日本代表、「火ノ玉ジャパン」の大活躍もあり、注目を集める競技、ボッチャ。的となる白いボールに、赤か青のボールを近づけて得点を競うというシンプルなルールながら、緻密な戦略と駆け引きが醍醐味です。競技の特性から老若男女幅広く、そして障害のある人もない人も一緒に楽しむこともできるユニバーサルスポーツとしても人気を高めています。今年の夏は、そんなボッチャをさまざまな形で楽しめそうです。
まずは、2024年パリパラリンピックでさらなる飛躍を目指す「火ノ玉ジャパン」から届いた、嬉しいニュースを紹介します。8月2日から6日までオランダで開催されていた国際大会、「BISfed Veldhoven 2022 World Boccia Challenger」で金メダルを2つ獲得しました。
ひとつは、東京パラでBC3クラス団体戦銀メダルのメンバーでもある、河本圭亮選手が同男子個人戦で終始安定したプレーでイギリスの選手に7-0の大差をつけて勝利しました。もうひとつは国際大会初出場の竹之内和美選手が同クラス女子個人戦でチェコの選手を大逆転の末、5-4で破りました。
【参考写真】 2019年のジャパンパラ大会でプレーする河本圭亮選手(右)。BC3クラスは滑り台のような「ランプ」を使い、ランプオペレーター(RO)とともにプレーする。河本選手の前で背中を向けているのがROの河本幸代選手 (撮影:星野恭子/2019年1月)
なお、両選手がプレーするBC3クラスはボッチャの4つのクラスの中で障害の最も重いクラスで、選手自身ではボールを投げたりできません。そのため、「ランプ」と呼ばれる滑り台のような補助具を使い、その操作などをサポートする「ランプオペレーター(RO)」とともにプレーします。
今大会では河本選手のROは河本幸代選手が、竹之内選手のROは竹之内昭子選手が務めました。ちなみに、メダルはROにも贈られます。
東京パラでも活躍した河本選手はさらに大きな自信を得たことでしょうし、竹之内選手の快挙も火ノ玉ジャパンにとっては大きな手ごたえとなったはずです。
国際パラリンピック委員会(IPC)では近年、女性選手や重度な障害のある選手に出場のチャンスを広げるという方針を掲げており、ボッチャも次の24年パリ大会から試合形式が変わり、これまで男女混合だった個人戦が男女別になり、団体戦も男女ペアなど「女子の参加枠」が拡大されたことで、火ノ玉ジャパンにとっても女子選手の強化は大きな課題となっているからです。
両選手をはじめ、火ノ玉ジャパンのさらなる活躍にも期待です。
■ハイレベルなパフォーマンスを目撃しよう!
「ミリ単位のボールコントロール」もボッチャの見どころのひとつ。8月にはハイレベルなプレーの観戦チャンスが2つ、あります。
ひとつは、8月13日(土)に港区スポーツセンター(東京・港区)で行われる、「第7回全国ボッチャ選抜甲子園決勝戦」です。「甲子園」の名から連想されるように、特別支援学校の中学生や高校生を対象とした大会で、若きボッチャ選手たちにとって大きな目標となっている大会です。
今年は全国から42チームがオンラインで行われた予選会に参加し、上位に入った7チームと昨年の優勝校を加えた8チームが、13日の決勝戦で頂点を目指して戦うことになっています。
新型コロナウイルス感染症患者の急増を受け、残念ながら、無観客開催となりますが、試合の模様はYoutubeでライブ配信される予定です。当日はゲストによるトークイベントや火ノ玉ジャパンのメンバーによる課題挑戦などアクティビティも予定されています。
▼第7回全国ボッチャ選抜甲子園サイト
https://boccia-koshien.com/
▼同決勝戦ライブ配信チャンネル(8月13日午前10時~)
https://youtu.be/FMje6zNIErY
もうひとつは、火ノ玉ジャパンが海外強豪国の選手と対戦する、「2022ジャパンパラボッチャ競技大会」で、8月19日(金)から20日(土)の2日間、駒沢オリンピック公園総合運動場屋内球技場(東京都世田谷区)で開催されます。
コロナ禍により3年ぶりの開催となる今年は、タイと韓国から選手たちが招かれ、火ノ玉ジャパンと男女別個人戦で競います。
東京パラのBC2クラス個人戦で金メダルを獲得した杉村英孝選手をはじめ、メダリストたちもエントリーしています。世界トップクラスのパフォーマンスをぜひ!
なお、8月8日時点では有観客(無料)での開催が予定されています。ぜひ、多くの方にご観戦いただきたいですが、今後の状況次第では変更の可能性もあります。ご来場の前には必ず、下記サイトにて、開催状況のご確認をお願いします。
▼2022ジャパンパラボッチャ競技大会 サイト
https://www.parasports.or.jp/japanpara/boccia/
■体験会やプレーのチャンスも!
ボッチャを実際にプレーできる機会も増えています。まずは東京パラリンピック1周年を記念して行われる「TOKYOパラスポーツ月間」の一環として8月20日(土)に開催予定の「TOKYOパラスポーツパーク in 駒沢」です。ボッチャをはじめ、約20種類のパラスポーツを体験できます。
会場は、前述のジャパンパラ大会開催中の駒沢オリンピック公園にある中央広場なので、観戦の合間に体験することもできます。入場無料なので、お気軽にご参加ください!
▼TOKYOパラスポーツ月間 サイト
https://parasportsgekkan.metro.tokyo.lg.jp/
また、東京・渋谷区では、「パラスポーツレガシー推進事業」として、渋谷区区役所(15階)にボッチャ―コート2面を常設し、8月1日から無料貸し出しのサービスをスタートさせています。ボールも無料で借りられます。
なお、利用は事前予約が基本ですが、当日でも空いていれば、利用できるようです。利用予約や条件など詳細は下記サイトより、ご確認ください。
▼渋谷区役所 常設ボッチャコートについて
https://www.city.shibuya.tokyo.jp/bunka/olypara/topic/bocchacourt.html
渋谷区ではさらに、パラスポーツを楽しむための体験サークル、「シブパラ WAN!(ワン)」も始めました。障害の有無に関わらず、誰でも参加できるサークルで、各競技に精通した講師の指導を受けながら楽しむことができるようです。
その第1期の競技としてボッチャの実施が予定されています。ちなみに第2期は車いすバスケットボールです。
こちらも詳しくは下記ページでご確認ください。
▼渋谷区役所 「シブパラ WAN!(ワン)」について
https://www.city.shibuya.tokyo.jp/bunka/shibuparawan.html
(文:星野恭子)