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「星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ」(413) ゴールボール日本代表“オリオンJAPAN”男子、アジア・パシフィック選手権を初制覇!

うれしいニュースが届きました。7月25日からバーレーンで開かれていたゴールボールの「IBSA2022ゴールボールアジアパシフィック選手権」(AP選手権) で男子日本代表が29日の決勝戦で延長戦の末、イランを8-7で破り、初優勝を果たしたのです。日本代表“オリオンJAPAN”の男子チームにとっては国際大会で初めてのタイトルでもあります。

快挙を達成したオリオンJAPANは、東京パラリンピックに初出場し、10チーム中5位入賞と健闘した日本代表チームの川嶋悠太キャプテン、金子和也選手、宮食行次選手、佐野優人選手、山口凌河選手の5人に加え、競技歴20年以上のベテラン、伊藤雅敏選手の6人です。

このAP選手権には、東京パラを経て世界ランキング8位で臨んだオリオンJAPAN。全5チームが参加した予選リーグを4戦全勝の1位で決勝トーナメントに進出し、準決勝ではタイ(予選4位:1勝3敗)を12-2のコールドゲーム(*)で退けます。

(*)コールドゲーム: 1試合中、どちらかが10点差でリードした段階で適用

そして、迎えた決勝戦、相手は世界ランキング13位のイラン。予選リーグでは激しい攻防の末、日本が9-7で勝ち切っていますが、イランも準決勝で韓国を延長戦で破り、勢いに乗った手ごわい相手です。

予想通り、試合は激戦となりました。日本が先制し、3点をリードしたものの、少しずつ返されて逆転を許します。追いかける展開となって苦しい時間が続きますが、それでも攻守の要、川嶋キャプテンを中心にチーム一丸で食らいつきます。ゲーム終盤、ついに7-7の同点に追いつき、試合はゴールデンゴール方式の延長戦に入ります。

緊迫した攻防がつづくなか、相手の反則からペナルティスローを得ます。これを、長身エースの宮食選手が力強いバウンドボールできっちりと決めきり、試合終了。日本が勝利しました。

なお、今回のAP選手権は今年12月にポルトガルで開かれる世界選手権へのエリア別予選大会も兼ねており、日本とイランが出場権を得ました。この世界選手権は重要な大会で、男女それぞれ上位2位までに入ったチームに、2024年のパリパラリンピックへの出場権が与えられることになっています。

オリオンJAPAN男子は今回のAP選手権優勝で大きな自信を手にし、パリ大会出場にも一歩近づきました。今後の活躍に注目です。

ちなみに、女子日本代表は東京パラの銅メダル獲得ですでに世界選手権出場を決めており、AP選手権には出場していません。

パリ大会に出場できるのは、レギュレーションが変わったため昨夏の東京大会より2チーム少ない男女各8チームです。出場権獲得の道は来年のAP選手権など他にもありますが、オリオンJAPANは男女とも、今年12月の世界選手権でいち早くパリへの切符獲得を目指しています。こちらもぜひ、応援ください。

【2022アジア・パシフィック選手権結果】
<最終順位>
男子: 1位日本、2位イラン、3位韓国、4位タイ、5位オーストラリア
女子: 1位韓国、2位オーストラリア、3位イラン、4位タイ (*日本不参加)

<個人得点ランキング>
男子: 1位Mohammad Estarki(イラン) 32点、2位金子和也 23点、3位佐野優人・宮食行次 15点
女子: 1位Brodie Smith (オーストラリア) 33点、2位Samira Jalilvand (イラン) 21点、Seon Sim (韓国) 19点

■ゴールボールなどパラスポーツ体験イベント、8月20日に開催

アイシェードをつけ、視覚を閉ざして行う球技、ゴールボールを体験してみませんか? 8月20日、東京の駒沢オリンピック公園で行われる「TOKYOパラスポーツパーク in 駒沢」で体験できます。

昨夏の東京パラリンピックから約1年。ゴールボールをはじめ、車いすバスケットボールやボッチャなど約20種類のパラスポーツが体験できるイベントです。パラアスリートたちも参加予定です。入場・参加は無料。ぜひ、お気軽に体験し、パラスポーツの面白さや難しさを体感ください!

【TOKYOパラスポーツパーク in 駒沢】
日程: 2022年8月20日(土) 10:00~17:00
会場: 駒沢オリンピック公園 中央広場 (東京都世田谷区)*入場無料
詳細: https://parasportsgekkan.metro.tokyo.lg.jp/komazawa/

(文:星野恭子)