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「星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ」(410) 4年に1度の祭典「ワールドゲームズ2022」が7月7日に開幕。車いすラグビー日本代表も出場!

「ワールドゲームズ」をご存知でしょうか? オリンピックに採用されていない競技や種目を中心とした国際総合大会で、国際ワールドゲームズ協会(IWGA)が主催し、国際オリンピック委員会(IOC)の後援により、1981年の第1回大会から4年に一度、夏季オリンピック開催の翌年に開かれています。2001年には秋田で第6回大会が開かれています。

その第11回大会「ワールドゲームズ2022」がまもなく、7月7日から17日まで米国アラバマ州バーミングハムで開催されます。史上最多の110の国と地域から約3600名のトップアスリートが集結し、30の公式競技と開催地の推薦によって選ばれた公開競技5つにわたって熱戦を展開します。日本からは過去最多でアジアでも最多となる142選手が21競技に出場します。

実は今回、パラスポーツも初めて採用され、公開競技のひとつとして車いすラグビーが実施されました。日本代表も出場します。ただし、パラリンピックでは行われていない種目、ローポインターズ・ゲームで競います。 

車いすラグビーでは障害の程度により選手は持ち点(0.5点~3.5点)が設定されていますが、ローポインターズ・ゲームは、その名の通り、障害の程度が重く、持ち点の低いローポインター(0.5点、1.0点、1.5点)の選手のために考案された種目です。

パラリンピック競技の車いすラグビーではコート上4選手の持ち点の合計を8.0点以内で編成し、ローポインターは主に守備的な役割を担うため、攻撃的なハイポインターたちの陰に隠れてしまいがちですが、ローポインターズ・ゲームでは自らが主役。ローポインターズ・ゲームならではの戦術やチームプレーなどローポインターたちの活躍にもぜひ、注目ください。

今大会には日本をはじめ、全6カ国(アメリカ、イギリス、カナダ、ドイツ、スイス)が出場し、日本代表は以下の8人です。

倉橋香衣選手(持ち点0.5F)/岸光太郎選手(0.5)/長谷川勇基選手(0.5)/今井友明選手(1.0)/小川仁士選手(1.0)/若山英史選手(1.0)/乗松隆由選手(1.5)/乗松聖矢選手(1.5)

6月21日には日本代表の記者会見と壮行会が都内で開かれ、選手たちがそれぞれの出場競技を紹介し、大会への意気ごみを語りました。車いすラグビー日本代表からは東京パラリンピックで日本代表を銅メダルに導いたケビン・オアーヘッドコーチと岸光太郎キャプテンが登壇しました。

岸キャプテンは、「初めての出場で期待と不安がありますが、車いすラグビー日本代表は今、世界ランキング1位です。チームワークの良さを発揮して頑張りたい」と静かな闘志をのぞかせていました。

壮行会で日本ワールドゲームズ協会の赤木恭平会長は、「素晴らしいパフォーマンスをアメリカから届けてもらえるよう我々も応援したい」と話し、師岡文男執行理事も「オリンピック競技以外にもこんな競技があると、知っていただくチャンス」と多様なスポーツの広がりに期待を込めました。

ちなみに、 ロシアによる侵攻禍のなかのウクライナ選手も約140人が参加予定の一方、ロシアとベラルーシの選手と役員は参加が禁止されているそうです。

車いすラグビーの他にも、ダンススポーツやライフセービング、ラクロスなど興味深い競技が盛りだくさん。今回はエアースポーツとして初めて、ドローンを使った競技なども行われるそうです。「ワールドゲームズ2022」、ぜひ応援ください。

▼第11回ワールドゲームズ2022バーミンガム大会 特設ページ (日本ワールドゲームズ協会)
https://www.jwga.jp/competitions/birmingham/index.html

▼大会公式サイト
https://www.theworldgames.org/

(文:星野恭子)