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新国立競技場は、今すぐ建設計画を改めるべきだ!

 昨日(12月18日)、下村博文文科大臣兼オリンピック・パラリンピック担当大臣が『ニューズ・オプエド』に登場し、新国立競技場の芝生について、「屋根は普段は開けているので、日照の問題はない」と断言した。が、この指摘は明らかに不十分。

 

 新国立競技場の屋根には、巨大な橋梁(長さ約250メートル)のような2本の鉄骨があり、大きな影がフィールドにできて、日照は常に十分とは思えない。

 

 さらに天然芝の育成と養生には、日照以上に「風通し」が重要で、現在既存の競技場でも、たとえば屋根付きのトヨタ・スタジアムは、天井を常に開けていても芝の根付が非常に悪い。そのため、サッカーはかろうじて可能でも、ラグビー(のスクラム)を行うにはまったく不向き(ほとんど不可能)と言える。

 

 新国立競場は、そのことを考慮して巨大な人工送風機を設置するらしいが、建設費と建設後の維持費の高騰は避けられず、近い将来も遠い将来も大問題の生じることが予想される。

 

 8万人収容のスタジアムの大きさは世界的には特別な大きさではなくても、ハディド氏の基本デザインは無駄なスペースが多く、むやみに大きいと言うほかない。

 さらに、サブ・トラックが仮設というのは、スポーツ施設(陸上競技施設)として決定的欠陥と言うほかなく、五輪後の「後利用」は難しい。

 

 多くの問題点(建設の困難さ等)が指摘される新国立競技場は、今すぐ建設方針を改め、1964年東京五輪の思い出深い現国立競技場の臨時増設で、2020年を(2019年のラグビー・ワールドカップも)迎えるべきではないだろうか?

 

(玉木正之)

写真:国土交通省国土計画局総務課国土情報整備室