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日本の電動車椅子サッカー界は、即座にルール変更に取り組め!

 12月中旬になり2014年も終わろうとしている。電動車椅子サッカー界はようやくオフシーズンを迎えた。そんな中、残念なニュースが飛び込んできた。2015年1月に日本で開催予定だった第2回アジア太平洋オセアニア選手権が、オーストラリアの不参加により、出場国数を満たせずに中止に追い込まれてしまったのだ。

 

 それによって、再来年開催予定のワールドカップに向けた最後の国際試合の実践の場が、消滅してしまった。そのことは、島国の日本にとっては非常に頭が痛い問題だ。真剣勝負の状況でしか得られない事が数多くあるので、チーム力を向上させる為にも是が非でも開催を実現したかったのではないだろうか。

 

 とは言っても決定した以上、現状を受け止め日本代表を強化していかなければならない。これまでにも触れてきたが、日本の国内ルールでは、電動車椅子の最高速度が最大6キロに制限されている。その一方、国際競技規則では最大速度は10キロ以下に定められている。この4キロのスピードの差が非常に大きく、電動車椅子サッカーの競技性に影響しているのだ。

 

 たとえば、空いているスペースにパスを出しても6キロでは反応すらできず、絶好のパスを出しても、それが単なる無駄なキックになってしまう。そのため、スペースに走り込んでボールを受けて、展開するというサッカーのダイナミックさが損なわれてしまうのだ。

 

 国産の電動車椅子の速度が6キロに制限されているので、このような状況が生まれているのだが、日本選手権に出場している選手のほとんどが、10キロ以上の速度が出る海外製の電動車椅子を使っている現在、そろそろ改革を実行すべき段階に達していると言えるだろう。

 

 10キロで競技を行うグループと、6キロで競技を行う2つのグループが存在しても良い。二極化してでも本気で世界の頂点を目指すなら、それくらいの覚悟を持って行動していくことが必要であると考える。

 

 保守的な日本では突然痛みを伴う決定をすることは、正直なところ現実的ではないのかもしれない。であれば、誰かがその口火を切らなければならない。電動車椅子サッカーの国際化に至るまでの全ての過程を現場で見てきた私にとって、2007年の日本での第1回のワールドカップ開催を経て早くも7年が経過している。

 

 それにも関わらず、未だに国内では6キロの大会が中心となって開催されている。このことに疑問を抱くのは私だけでないのは言うまでもない。

 

 日本代表悲願のワールドカップ優勝を成し遂げるためにも、まずは根本的な競技速度のギャップによる弊害を克服することが、今一番必要なことではないだろうか。その事をこれからもひき続き訴えていくつもりである。

 

(平野誠樹)

PHOTO by Majmule (Own work) [Public domain], via Wikimedia Commons