ノーボーダー・スポーツ/記事サムネイル

「星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ」(406) 車いすラグビー日本代表、世界選手権前哨戦「カナダカップ」で初優勝!

うれしいニュースが届きました。車いすラグビーの強豪6カ国が顔をそろえた国際大会、「カナダカップ2022」が6月2日から5日にかけてカナダ・リッチモンドで開催され、東京パラリンピック銅メダルの日本代表が初優勝しました。予選ラウンドを2位で突破し、最終日の決勝戦でカナダ代表と対戦。延長戦にまでもつれた激闘を57-56で制しました。

東京パラから3選手が入れ替わり、初代表2名を含むフレッシュな陣容で臨んだ日本代表ですが、東京パラ後初となる国際大会、そして、今年10月に開催される世界選手権(デンマーク)の前哨戦と位置づけた大会での快挙達成です。悲願の金メダルを目指す2024年パリパラリンピックに向けても絶好のスタートとなりました。

今大会には当初、7カ国が出場予定でしたが、開幕直前にアメリカ代表(東京パラ銀)がチーム内に新型コロナ陽性者が発生して出場を辞退したため、日本のほか、東京パラ金のイギリスに加え、オーストラリア(東京パラ4位)、カナダ(同5位)、フランス(同6位)、デンマーク(同7位)の6カ国が出場。大会は総当たり戦による予選ラウンドを行い、1位と2位となった2チームが決勝戦へ、次の3位と4位になった2チームが3位決定戦に進む方式で行われました。

日本は初日にデンマーク(東京パラ7位)を61-53、2日目にフランス(同6位)を50-39で、イギリス(同1位)を64-50、3日目にオーストラリア(同4位)を58-42と快進撃をつづけます。そして、迎えた予選ラウンド最終戦はともに4戦全勝のカナダ(同5位)と戦い、善戦するも49-53と惜しくも敗戦。しかし、4勝1敗の日本は5戦全勝のカナダについで予選2位となり、決勝に進出しました。

再びカナダと顔を合わせた決勝戦は5日13時(日本時間6日5時)にティップオフ。先発は池透暢主将(クラス3.0)、島川慎一選手(同)、壁谷知茂選手(同2.0)、倉橋香衣選手(同0.5F)の4人で、池主将がティップオフをものにし、島川選手がトライラインを越えて先制します。

一方、カナダもエースのザック・マデル選手(同3.5)を中心に得点を重ね、一進一退の攻防がつづきます。27-27で始まった後半も両者一歩も譲らない好パフォーマンスの応酬で得点を重ねるも、互いに決定的なリードは奪えず。最終ピリオドの残り13秒で日本が52-51でリードしますが、カナダがすばやいパス回しから“ブザービーター”で追いつき、試合は52-52で延長戦に入りました。

3分間の延長戦でも、池主将がティップオフをものにし、日本が先制。その後は両者ともミスなく1点ずつ重ね、残り17.1秒で日本が57-56でリードします。カナダは再び同点にしようと激しく攻めますが、組織的な守備で日本が守り切り、大接戦をものにしました。

なお、「カナダカップ」は2004年から2年ごとに行われている国際大会で、パラリンピックや世界選手権の前哨戦として強豪国が顔をそろえるハイレベルの大会です。2020年大会がコロナ禍で中止されたため、今年は4年ぶりの開催となりました。

日本は2018年大会で銀メダルに輝き、その勢いのまま半年後に開かれた世界選手権(オーストラリア)で初優勝を飾っています。今年の世界選手権では連覇に挑む日本。今大会で手にした経験と自信を糧に、さらなる快挙に期待しましょう。

なお、有観客(有料)で行われた今大会はYoutubeでライブ配信もされました。アーカイブ動画も公開されていますので、日本代表の頂点に向けた戦いぶりもチェックできます。ぜひ!

▼カナダカップ2022決勝戦(日本vsカナダ)
https://www.youtube.com/watch?v=LngGSYNMCKY

<カナダカップ2022日本代表選手> (クラス)
倉橋香衣(0.5F)/長谷川勇基(0.5)/今井友明(1.0)/小川仁士(1.0)/乗松聖矢(1.5)/壁谷知茂(2.0)/菅野元揮(2.0)/白川楓也(3.0)/池透暢(3.0)/池崎大輔(3.0)/島川慎一(3.0)/橋本勝也(3.5)

(文:星野恭子)