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「星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ」(392) 北京冬季パラ開幕までカウントダウン。日本代表選手たちが意気込み!

17日間にわたった北京オリンピックは2月20日に閉幕しましたが、熱戦はまだ終わりません。北京パラリンピックが3月4日から10日間の日程で開催されるからです。6競技78種目に約40カ国から700選手が出場予定です。ぜひ、パラリンピックも応援ください!

間近に迫った北京大会に向けて、日本代表に決まった選手たちがあいついでオンラインで取材に応じ、大会への意気込みを語ってくれています。今号では一部を抜粋し、ご紹介します。

2月14日にはノルディックスキーの代表選手から2名が会見を行いました。生まれつき左の手首から先がない佐藤圭一選手(セールスフォース・ジャパン)は、冬季パラは4大会連続出場となり、夏季パラもトライアスロンで16年リオ大会に出場経験がある「夏冬二刀流」のベテランです。2020年夏にバイク練習中の転倒で重傷を負った左肩の影響で、「体の仕上がりは80%くらい。北京は今までにないチャレンジ」と話しますが、射撃とクロスカントリースキーを組み合わせたバイアスロンに注力し、「メダル獲得を狙いたい」と意気込みます。

北京パラリンピックのノルディックスキー日本代表の佐藤圭一選手

出来島桃子選手(新発田市役所)も北京大会で5大会目となるベテランです。大学時代に病気で右腕にまひが残ったものの、その後にクロスカントリースキーと出会いました。仕事と両立させながら1年ずつ練習を積み重ねた4年ごとにパラリンピックに出場。「それが、5大会つづいただけ」という自然体でキャリアを重ねてきました。北京大会では、「入賞を目指して、ひとつでも上の順位を目指したい」と静かな闘志を燃やしています。

バイアスロンとクロスカントリースキーが行われるノルディックスキーの日本代表にはこの2選手を含む全9選手(男子6、女子3)が決まっています(*)。

15日にはアルペンスキーの立位カテゴリーの選手が、16日には座位カテゴリーの選手が会見に登場しました。

女子立位で活躍が期待される一人は、2大会連続のパラリンピック出場となる本堂杏実選手(コーセー)です。先天性左手指欠損という障害がありますが、ラグビーで鍛えた高い身体能力で、大学2年時にパラスキーに転向すると、すぐに頭角を現します。昨年1月に前十字靭帯断裂の大ケガを負いますが、辛いリハビリを経て競技に復帰。北京大会の代表もつかみ取り、「できる限りのことをやって、悔いのない時間にしたい。思い切り楽しく滑って、高速系の種目でメダルを目指したい」と力強く語っていました。

北京パラリンピックのアルペンスキー日本代表の本堂杏実選手

同座位では、前回平昌大会で金1つを含む5個のメダルを獲得した村岡桃佳選手(トヨタ自動車)に注目です。昨夏には東京パラリンピックに出場し、陸上競技の100m(T54クラス)で6位入賞も果たしています。1月中旬のスキー練習で転倒して負傷した右ひじも順調に回復しているといい、「二刀流挑戦の集大成として、北京では前回以上を目指したい」と、3回目となる冬の大舞台を見据えています。日本代表選手団の主将も務めます。「パラの選手も世界の頂点を目指して日々、真剣に向き合っている。パラリンピックも多くの人に見てもらいたいです」

アルペンスキー日本代表には本堂選手と村岡選手をはじめ、14選手(男子9、女子5)が決まっています(*)。

17日にはスノーボード日本代表の6選手(男子6、女子0)が取材に応じてくれました(*)。6人ともここ数年、強化指定選手として切磋琢磨してきた「仲間」であり、チームとして家族的な連帯感も強い6人です。

チームの中で唯一、2大会連続出場の先輩であり、「キャプテン」としてチームをまとめるのは、小栗大地選手(三進化学工業)です。仕事中の事故で右脚を太ももから切断しており、特製の義足をつけて滑ります。

「最高の舞台にチーム全員で出場できるということで、最高に楽しみ。いいレースをして、最高の結果を出したい」と意気込みを語りました。

北京パラリンピックのスノーボード日本代表の小栗大地選手

また、バイク事故で右腕を失ったという大岩根正隆選手(ベリサーブ)は日本代表では初めての上肢障害クラスの選手になります。チーム随一の「ギアオタク」で、その知識や経験をチームのメンバーにも惜しみなく提供しているそうです。「道具に助けられているところも大きいので、大事にしている。初めてのパラリンピックになるが、やってきたことをしっかり出して、表彰台を狙いたい」と目標を口にしました。

なお、(*)2月21日現在で、日本代表選手は全29名。個性豊かな選手たちばかりです。北京パラリンピックは3月4日に開幕し、13日までの10日間にわたって開催されます。ぜひ、応援ください。

(文:星野恭子/写真提供:日本パラリンピック委員会)