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「星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ」(388) 「アフター2020」の第一歩、2022年がスタート。パラスポーツ界も始動!

2022年がスタートして、早くも3週間。新型コロナウイルス感染症の影響は依然としてありますが、パラスポーツ大会も可能な範囲で開催されています。北京パラリンピックも開幕まで40日を切り、日本代表への推薦内定選手たちも続々と決定しています。今号では1月22日までのパラスポーツニュースから、いくつかピックアップしてお届けします。

■1月22日
【ブラインドサッカー】 創部6年目のfree bird mejirodai、熱闘制し、初の日本一!

クラブチーム日本一を決める、「第19回アクサブレイブカップ ブラインドサッカー日本選手権」が東京フットボールセンター八王子富士森競技場(東京都八王子市)で開催され、決勝戦でfree bird mejirodaiがbuen cambio yokohamaを4対0で下し、初優勝を果たした。うち2点を挙げた鳥居健人選手が大会MVPを、無失点に抑えたキーパーの泉健也選手がベストキーパー賞を受賞した。

大会MVPを受賞した鳥居健人選手(free bird mejirodai)。「前回(2019年)は2位だったが、負けて得た準優勝で、その悔しさから気合を入れなおして練習してきた成果をしっかり発揮しての優勝。すごくうれしい」 (撮影:星野恭子)

東京パラリンピック日本代表で、この日は前半19分にダメ押しの4点目を挙げた園部優月キャプテンは、「心の底からうれしい。全員でつないで1点ずつ取り、それが優勝につながった」とチーム一丸の勝利だったと振り返った。

Yokohamaの攻撃を無失点に抑えた泉キーパーは、「(今後は)追われる立場にはなるが、チャレンジ精神は常に持ち、完成度をもっと上げていきたい。キーパーとしてはコーチングを極めたいし、チームとして攻撃、守備ともに選手全員で共有し、勝てるチームに成長したい」と、さらなる進化を誓った。

先に行われた3位決定戦では、コルジャ仙台ブラインドサッカークラブがA-pfeile広島BFCを4対2で破り、チーム初の表彰台となる3位に入った。

同大会は史上最多となる21チームがエントリーし、昨年10月に開幕。予選ラウンドを全国4会場で分散開催し、勝ち上がった6チームが準決勝ラウンドに進出。準決勝ラウンドは2会場に分かれて行われ、各会場1位チームが決勝戦、2位チームが3位決定戦に進んでいた。

▼大会特設サイト
http://axa-bravecup.b-soccer.jp/

■18日(火)
【車いすバスケットボール】 天皇杯第48回日本選手権がコロナ禍で開催中止に
天皇杯第48回日本選手権の開催中止を発表日本車いすバスケットボール連盟(JWBF)は1月21日から23日まで武蔵野の森総合スポーツプラザ(東京都調布市)で開催予定だった「天皇杯日本車いすバスケットボール選手権」の中止を発表した。東京パラ銀メダリストたちも多数出場予定で、2年半ぶりの開催に向けて準備が進められていたが、新型コロナ感染症の急拡大を受けて15日に有観客から無観客開催への変更が発表されていた。19日にはJWBFが会見を開き、同副会長で大会実行委員長の矢田成昭氏が決定に至る経緯を、「感染者数の増加が今後も予想でき、全国の複数自治体にまん延防止等重点措置が出される見通しもあり、より一層厳しい判断基準を設置すべきという意見で一致した。選手、スタッフ、運営関係者の安心安全を第一に考えた」と苦渋の決断だったと説明した。

■17日(月)
【ブラインドサッカー】 男子日本代表の新監督に、前」中川英治ヘッドコーチが就任へ
日本ブラインドサッカー協会(JBFA)は15日付けでブラインドサッカー男子日本代表の監督に、前ヘッドコーチ(HC)の中川英治氏(47)が就任したことを発表した。東京パラリンピックで5位入賞を果たした高田敏志前監督が率いた代表チームは東京パラ閉幕後の2021年9月30日付けで解散。中川新監督体制は1月下旬からスタートする予定だ。

中川新監督は北海道出身で、サッカー選手として活躍のかたわら、指導者としても豊富な経験をもち、2015年秋からブラサカ日本代表のHCに就任。試合では相手ゴール裏で選手に音声で情報を与える「ガイド」も務めていた。

中川英治新監督コメント
東京2020パラリンピックが終わり、ブラインドサッカー男子日本代表チームは新たなフェーズへと進んでいきます。選手たちをブラインドサッカーの世界最高峰のコンペティションであるパラリンピックの舞台で再び輝かせるために、これまで積み上げてきたものの継続と進化、そして、最適化を繰り返しながら、我々日本人の強みを最大
限活かし、加速し続けていきます。本年2022年11月には、「アジア選手権2022」がインドで開催されます。アジアの強国の中で、選手たちが躍動し、望む結果をだすことができるよう、さらなる研鑽を積んでいきます。皆様におかれましては、これまで同様、温かいご声援、ご支援を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。

■11日(火)
【スノーボード/アルペンスキー】 北京パラへ、新たに6選手が推薦内定!

日本障害者スキー連盟は、北京パラリンピック選手推薦基本方針などに基づいて決定した、同大会への第4次推薦内定選手とバイパルタイト推薦選手を以下の通り、発表した。
<第4次推薦内定選手>
スノーボード:大岩根 正隆 (SB-UL)、小須田 潤太(SB-LL1)、田渕 伸司(SB-LL2)
アルペンスキー:小池岳太(立位/LW6/8-2)、本堂杏実(立位/LW6/8-2)、神山則子(立位/LW9-1)

<バイパルタイト推薦選手>
スノーボード:市川 貴仁(SB-LL2)
アルペンスキー:原田紀香(座位/LW12-1)

■10日(月・祝)
【水泳】 約300選手が力泳。日本新も5つ誕生
第5回日本知的障害者選手権新春水泳競技大会が千葉県国際総合水泳場で開催され、東京パラリンピック100平泳ぎ金メダルの山口尚秀選手(知的障害クラス)など296名(知的障害287名、身体障害9名)が出場し、日本新記録5個、大会新記録12個が樹立された。

100m平泳ぎの世界記録も持つ山口選手は今後、力を入れたい種目を問われ、「自由形を強化したい。(4x100m自由形)リレーで、国際大会のメダルを獲得できるように」と話した。また、東京パラ代表で、この日、50mバタフライで日本記録を塗り替えた福井香澄選手(同)は世界選手権やアジア選手権がある2022年の目標として、「まずは(世界選手権の)派遣標準記録を切ること。東京パラよりもいい結果を出したい」と意気込みを語った。

第5回日本知的障害者選手権新春水泳競技大会では約300選手が力強い泳ぎで記録を目指した (撮影:星野恭子) 

▼リザルト詳細
https://jsfpid.com/ranking/2021result/5th-results/

■1月8日(土)~9日(日)
【ボッチャ】 各クラスの日本一が決定!
クラス別の日本一決定戦、第23回日本ボッチャ選手権大会が豊田市総合体育館(愛知県)で開催され、9日には各クラスの個人戦決勝が行われた。BC1クラス(脳性まひ)は仁田原裕貴選手(山口県ボッチャ協会)が中村拓海選手に3対2で競り勝ち、初優勝。BC2クラス(脳性まひ)は広瀬隆喜選手(西尾レントオール)が5対1で、東京パラリンピック個人金メダルの杉村英孝選手(伊豆介護センター)を破りって2連覇。BC3クラス(運動機能障害・脳性まひ)は有田正行(電通デジタル)が、決勝で東京パラのペア銀メダルの河本圭亮選手(東郷町施設サービス)を5対2で下して初優勝。BC4クラス(運動機能障害)は内田峻介選手(大体大)が江崎駿選手を6対0で下し、初制覇した。

<1月下旬から2月上旬にかけて、開催中止が発表された主な大会>
・【バドミントン】 第7回DAIHATSU日本障がい者バドミントン選手権大会 (1月28日~30日)
・【ゴールボール】 日本ゴールボール選手権 (1月29日~30日)
・【スノーボード】 第8回全国障がい者スノーボード選手権&サポーターズカップ (2月13日)

(文:星野恭子)