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何があったんや阪神タイガース

 2014年10月18日、CS・FINALSTAGEは、タイガースがジャイアンツに4連勝して日本シリーズ出場決定! 和田監督の勝利インタビューにはジーンときた。

「セ・リーグのチャンピオンチームはあくまでもジャイアンツです。我々はセ・リーグの代表として日本一を目指します」

 

 ジャイアンツ・ファンへの配慮は完璧。胴上げも日本一までとっておくと東京ドームではやらなかった。憎いなあ、紳士の振る舞い!

 

 続いて、「シーズン中は勝負どころで勝てなくて悔しい思いをさせました。今日やっと少しだけお返しできたと思います。タイガースファンの皆さん、温かい熱いご声援ありがとうございました」

 気持ちが入って監督の声がうわずり、涙もにじむ。その言葉を、涙を待ってました和田さん!

 いやあこの4試合はめちゃめちゃ強い阪神やった。

 

 2週間ちょい前の9月30日と、とても同じチームとは思えない。甲子園球場最終戦、横浜に0対1での完封負け。広島との最終戦は残しているものの、この時点で自力2位も消滅してしまう痛恨の敗戦。

 

 最終戦恒例のご挨拶でグランドに整列した選手、首脳陣。ここで和田監督の挨拶は、なし。ウグイス嬢が「本日最終戦でした、一年間ご声援ありがとうございました」的なことを言うて、監督以下帽子を取って頭を下げるだけ。

 

 観客席からは、「和田何かしゃべれ」「逃げるんか」という声が飛んだ。テレビを通しても拍手よりもブーイングが多く、何の話題をしていたのかニヤニヤしていた鳥谷には、「失望した」「笑うな」厳しい声がネット上に溢れた。

 

 選手全体に、勝負なんてどうでもええやん……てな感じが蔓延してるように映った。監督が最終的に挨拶するのは日本シリーズも全て終了した『ファン感謝祭』でするのが通例らしい。が、阪神球団広報に提言したい、やはり辛くてもシーズン最終戦には監督自らがマイクで喋った方がいい。

 

 10月6日広島、本拠地最終戦の敗戦で3位に落ちてしまった野村監督が「申し訳ない」と広島ファンに頭を下げた。しかし「CSで必ず勝って日本シリーズで広島に戻ってきます」と宣言……。結局アカンかったけど。しかし、引退する横山投手に投げさせてやることが出来なかったと詫びた。気持ちがちゃんと伝わる挨拶だった。

 

 ファンは負けて残念な気持ちを共有したい、そして一緒に前を向きたいねん。当たり前やけど選手も監督も、負けて悔しいねんな……と確認したいのよ。

 9月30日何も語らなかった和田監督が東京ドームであんな素晴らしい言葉で話すなんて、この二十日足らずでタイガースに何があったんやろ。

 

 私が和田監督にずっと感じて来たのは、『動かない』ということ。『揺るがない』と言うてもいい。福留をあの打率でもずっと使いつづけてきた。伊藤隼太ら、もっと若い外野手を使った方が……と誰もが言い、結果が出ない中でも使う。

 

 メッセンジャーの後をオ・スンファンが投げてリリーフ失敗することが何度もあった。この組み合わせが打者有利になるなら、メッセの時は違う抑えを……とはならない。かたくなにオ・スンファンをマウンドに送る。

 

 口の悪いファンは「あんな采配やったらワシにも出来るわ」と言い、「使ってもらう選手と球団に密約があるんやで」と罵った。

 

 その、問題の福留が広島とのCS第1戦で決勝のホームランをバックスクリーンに叩き込んだ。0点で8回抑えたメッセンジャーの後を受けてオ・スンファンが三者三振で完封リリーフ。

 

 この第1戦を取った時に思った、和田監督は動かなかったのではなく『待っていた』んやないか。福留は練習の虫やそうな、二軍に落ちた時も平田二軍監督が「若いヤツのええ教科書」と褒め、解説者の世界の盗塁王・福本さんも「あんだけ練習してるんやから、もうすぐ結果出てきますよ」とかばった。この大事な試合の決勝ソロホームランを144試合和田監督は待っていたのだ。この采配は大阪のファンのおっさんには絶対に出来ない。

 

 一年間エースやと信じて使ってきた能見がCS第2戦では7回表2アウト満塁から會澤の内角に渾身の直球を投げ込み、見逃し三振。

 信じていた、待っていた選手達が力を発揮し始めたんやわ。

 

 今の阪神タイガースは強い。日本シリーズの戦い、そしてその後の和田監督の言葉が聴きたい。

 

(桂吉弥)

PHOTO by Chris Gladis (MShades) from Kyoto, Japan (Flickr) [CC-BY-2.0 (http://creativecommons.org/licenses/by/2.0)], via Wikimedia Commons