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星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ(51) 9.23~9.28

 国内外のパラリンピック競技の話題を独自にセレクトしたパラスポーツ・ピックアップ・シリーズ。現在、韓国・仁川でアジア大会が開催中ですが、18日からはいよいよパラスポーツの祭典、アジアパラ競技大会が始まります。大会のプロモーションビデオも公開されています。日本選手団は483名(役員含む)、実施23競技中22競技に出場し、アジアの頂点を目指します。こちらもどうぞお楽しみに!また、パラリンピック正式種目採用を目指す障害者ゴルフの、第1回世界選手権が茨城県で開幕しました。義足や車いすの選手による世界レベルのプレイを間近にみるチャンスです!

 

■車いすマラソン

・28日: ベルリン・マラソンの車いす男子で、洞ノ上浩太が1時間32分25秒で優勝。洞ノ上は男子T54クラス(車いす)のマラソンで日本記録(1時間20分52秒)を有している。大会準優勝者はスイスのハインツ・フライで、タイムは1時間36分12秒だった。フライは男子T54の世界記録(1時間20分14秒)保持者。

 

■ブラインド・サッカー

・23日: 「関東リーグ2014」第3節の全盲クラス2試合が広尾中学校(東京・渋谷区)で行われ、埼玉T.Wingsが乃木坂ナイツを1-0で下し、たまハッサーズがbuen cambio yokohamaを3-0で退け、それぞれ勝ち点3を得た。

 

 次節は10月4日、慶応義塾大学日吉キャンパス(横浜市)で全盲クラス2試合が行われる。今節は「KEIOフットサルアドベンチャー2014」の一環として行われる。同イベントは、サッカーを通じて障がい者も健常者も関係なく混ざり合う場をつくり出すことを目的とし、ブラインド・サッカー体験会の他、アンプティ(切断障がい者)サッカーやCP(脳性まひ者)サッカー、フットサルなども併催される。入場・観戦は無料。

 

・27日: 壮行会

 韓国・仁川で10月18日に開幕するアジアパラ競技大会に出場する日本代表選手団の壮行会と壮行試合が都内で開催された。

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【2014アジアパラ競技大会のブラインド・サッカー日本代表選手団。手にするのは、サポーター団体infinity(インフィニティ)より贈呈された特製応援旗】

 

 壮行会では選手を代表して、日本代表キャプテンの落合啓士(MF)が、選手団を牽引する決意を語った。

 「目標はアジア制覇。そして、来年のリオデジャネイロ・パラリンピックのアジア予選を前に、他チームから「日本はアジアの中で脅威」と思われるような戦いをしたい。だから、「全試合無失点でのメダル獲得」にこだわりたい。僕個人としては、今大会はキャプテンという素晴らしい役目をいただいての出場になる。人と話すことが好きなので、ピッチ外では皆を笑顔にしてリラックスさせ、ピッチに入ったら闘争心を全面に出して引っ張る。そんなふうにチームの支えになりたい」

 

 2012年6月から日本代表監督を率いる魚住稿監督も、目標を語った。

 「次のリオへの戦いに向けて、アジアで日本の強さをはっきりと見せつけたい。そのために無失点でメダルを獲得することが目標。特に意識しているのは、ドリブル力、シュート力とも卓越している中国と、体格の大きなイラン。徹底して鍛えてきディフェンスから、一瞬のつきをついてカウンターで勝機を見出したい」

 

 さらに、長年のサポーター、サッカー文化支援団体「infinity(インフィニティ)」から、 日の丸に選手名を書いた特製の応援幕が選手一人ひとりに手渡しされた。同団体を代表して青柳美樹さんが、「魚住ジャパンの一員として誇りと自覚をもってアジア選手権を戦ってほしいと思い、この選手幕をつくりました。韓国・仁川でも、ホームのような雰囲気をつくって応援したいと思う」と選手にエールを送った。

 

 また、この日午後には、味の素スタジアム(東京・調布市)で壮行試合も行われ、日本代表が関東選抜を相手に、FW黒田智成が得点し、1-0で勝利、アジアパラ大会に弾みをつけた。なお、同試合はJリーグFC東京のホームゲーム、柏レイソル戦の前にエキシビションマッチとして行われ、両チームのサポーターからも温かい声援が送られた。

■ボッチャ

・27日: 日本から8選手が参加し、22日から北京で行われていた「2014ボッチャ世界選手権」が閉幕した。日本チームの主な成績は以下の通り。

 

 ●団体戦

  B1/B2チーム: 8位入賞

  B2ペア: 8位入賞

  B3ペア: 8位

 

 ●個人戦

  B1: 9位 木谷隆行

  B2: 9位 杉村英孝/11位 廣瀬隆喜/40位 海沼理佐

  B3: 18位 奈良淳平/39位 加藤啓太

 

 ボッチャは、重度脳性麻痺者、もしくは同程度の四肢重度機能障がい者のために考案されたスポーツで、1984年のニューヨーク大会からパラリンピックの正式競技になっている。ジャックボール(目標球)と呼ばれる白いボールに、赤と青の各6球ずつのボールを投げたり、転がしたり、他のボールに当てたりして、いかに近づけるかを競う。競技は障害の程度によりBC1~4のクラス(⇒註)に分かれて行われるが、男女の区別はない。

 

⇒BC1クラス: 車いす操作不可で四肢や体幹に麻痺がある脳性麻痺者か、下肢で車いす操作可能な脳性麻痺者(競技は足けりで行う)。

BC2: 上肢で車いす操作可能な脳性麻痺者。

BC3: ひとりでは投球不可のため、介助者とランプ(勾配具)を使って競技する者(脳性麻痺以外の障害も含む)。ただし、介助者はコートからは常に背を向けていなければならず、選手の口頭での指示に従いランプや車いすを動かすことしかできない。

BC4: BC1、2と同等の機能障害がある脳性麻痺以外の重度四肢麻痺者(頚髄損傷、筋ジストロフィーなど)。

 

■ゴールボール

・27日~28日: 6チームが参加して、「日本ゴールボール選手権大会男子二次予選大会」が岐阜市立岐阜中央中学校で行われ、Tsukuba-techが優勝した。2位のFIT'S、3位のシャンクスを加えた上位3チームが、日本選手権の出場権を獲得した。

 また最優秀賞にはTsukuba-techの辻村真貴が、敢闘賞にはFIT'Sの工藤力也が選ばれた。

 

■韓国発

・28日: アジアパリンピック委員会(APC)は、18日開幕するアジアパラ競技大会に北朝鮮チームが参加することを公表した。北朝鮮は前回(2010年/中国広州)には参加していない。APCよれば、北朝鮮選手団は33名で、4競技(陸上競技、水泳、アーチェリー、卓球)にエントリーしたという。また、参加を伝える書簡のなかで、北朝鮮チームは、今大会への参加が平和と友好、そしてアジアにおけるパラスポーツのさらなる発展に貢献することを期待すると書かれているという。

 

■障がい者ゴルフ

・28日: 障がい者を対象としたゴルフの初の世界大会、「第1回障害者ゴルフ世界選手権」がワンウェイ・ゴルフクラブ(茨城県土浦市)で開幕し、前夜祭が行われた。29日は交流コンペ、30日は公式練習ラウンドが行われ、競技は10月1日から3日まで行われる。男子は4人1組の団体戦と個人戦、女子は個人戦のみで競う。男子団体戦には10チームがエントリー、日本からは小林茂、小山田雅人、南健司、浅野芳夫の4選手が出場する。

 

(星野恭子/文・写真)