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「星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ」(376) 「アフター2020」――パラスポーツの新章がスタート! 

東京パラリンピックが閉幕し、国内のパラスポーツを取り巻く状況も新たなスタートを切っています。4つのニュースをピックアップしました。

■障がい者スポーツから、パラスポーツへ

日本障がい者スポーツ協会の名称が10月1日から、日本パラスポーツ協会(英語名称Japanese Para Sports Association)に変更されました。変更については6月、同月に行われた理事会で決定され、評議員会でも承認を得たことを発表していました。

名称の変更の理由については、「障がい者スポーツ」という従来の名称はリハビリや福祉のイメージが強く、ここ最近、急速に認知の広がっている「パラスポーツ」に変えることでイメージを転換させることや、より親しみやすさのある「パラスポーツ」を使うことで、障がいのある人のスポーツへの参加意欲を高めることなどを挙げています。

さらに、ボッチャのように、障害の有無にかかわらず楽しまれている競技も増えてきており、健常者も一緒になって競技の理解や普及を進めることが目標とする共生社会実現に向けて望ましいことも理由の一つとなっています。

ただし、「パラスポーツ」は「パラリンピック競技」という意味ではなく、「パラスポーツ」は聴覚障害者対象のデフリンピックや知的障害者対象のスペシャルオリンピックスなども含めた、すべての障害者スポーツを対象とするものであり、普及や強化活動などもパラリンピック競技同様に行っていくとしています。

また、関連の資格制度などは今後、関係者の了解を得たうえで変更していくそうです。

この変更に伴い、同協会の鳥原光憲会長は、「名称を変えても、目指すことは変わりません。日本パラスポーツ協会は、引き続き『パラスポーツの振興を通じた活力ある共生社会の実現』を目指し、3月に発表した『JPSA2030年ビジョン』に基づき諸施策を推進していきます」と話しています。

「JPSA2030年ビジョン」は同協会が2030年までに目指すビジョンで、例えば、障がい者成人の週 1 回以上のスポーツ実施率に関して、スポーツ基本計画(文部科学省)の示した目標(2022 年度に40%程度)の達成に向けて貢献する、障がい者のニーズに応じて、身近な地域のスポーツ現場で指導・支援する公認障がい者スポーツ指導者資格保有者を全国で 5 万人に増やすといった目標が掲げられています。

▼JPSA2030年ビジョン概要
https://www.jsad.or.jp/news/%E3%80%90Final%E3%80%91_JPSA%E3%80%8C2030%E5%B9%B4%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%80%8D%E6%A6%82%E8%A6%81.pdf

■パラスポーツ写真と墨絵のコラボ展

ユニークなイベントが開催中です。パラスポーツ写真と墨絵のコラボ展、「撮る×描く パラスポーツの世界~支配されない表現者たち~」で、大阪芸術大学写真学科卒業生でフォトグラファーの越智貴雄さんと同大デザイン学科卒業生・客員教授で墨絵イラストレーターの茂本ヒデキチさんによる展覧会です。

作品のモデルはパラリンピアンのほか、義足ダンサーの大前光市さんや義足ファッションモデルの海音さんなどで、越智さんが撮影したパラスポーツ22競技をテーマとした写真をもとに、茂本さんが墨絵イラストを描くというジャンルを超えたコラボレーション!

10月24日(日)まで大阪市の大阪芸術大学スカイキャンパス(あべのハルカス24階)で開催されています(入場無料)。

会期: 2021年9月23日(木祝)~10月24日(日)
11:00~19:00(入場は18:30まで) 休館日:毎週月曜日・10月15日(金)
会場: 大阪芸術大学スカイキャンパス(あべのハルカス24階)
入場料:無料

▼撮る×描く パラスポーツの世界~支配されない表現者たち~
https://www.osaka-geidai.ac.jp/whatsnew/torukaku2021

■車いすラグビー、日本選手権予選がスタート

来年2月4日から6日の日程で予定されている、車いすラグビーの第23回日本選手権大会に向けて出場権を争う予選リーグが10月9日から始まりました。東京パラリンピックで銅メダルを獲得した日本代表選手たちもそれぞれの所属チームに分かれ、しのぎを削りあいます。

残念ながら、コロナ感染予防対策などの理由により無観客開催ですが、ライブ配信やアーカイブ配信も行われています。ぜひ、ご声援ください!

<結果>
10月9日: Freedom(高知) 51-54 BLITZ(埼玉)
SILVERBACKS(北海道) 29-65 BLITZ
SILVERBACKS  27-63 Freedom
BLITZ  27-63 Freedom

10月10日: BLITZ  76-14  SILVERBACKS
Freedom 57-36 SILVERBACKS

▼大会アーカイブ配信(日本車いすラグビー連盟公式Youtube)
https://www.youtube.com/channel/UCOe-EdwWb1n51c4-UEzNS_A

<予選リーグ今後の予定>
・10/30(土)~31(日) 埼玉大会
出場チーム: TOKYO SUNS、AXE、Okinawa Hurricanes

・11/6(土)~7(日) 東京大会
出場チーム: RIZE CHIBA、Fukuoka DANDELION、TOHOKU STORMERS

▼日本車いすラグビー連盟公式HP
https://jwrf.jp/

■ゴールボール日本選手権へ、男子6チームが出場権

東京パラリンピックで女子は銅メダル獲得、男子は初出場で5位に入賞という好結果を残したゴールボールですが、来年の1月29日(土)・30日(日)に秩父市文化体育センター(埼玉県)で、国内クラブチーム日本一を決める、マネードクター2021日本ゴールボール選手権大会が開催予定です。男女の代表選手たちもそれぞれ、所属クラブに戻って競い合います。

10月9日から10日には、9チームが参加した男子予選会が守山市民体育館(滋賀県)で行われました。予選ラウンドと決勝トーナメントの結果、各チームの順位が決定。上位6チームが本戦に出場します。

<結果>
1位:Amaryllis/2位:サンダース/3位:雷/4位:チーム附属/5位:NBS/6位:スーパーモンキーズ/7位:順天堂大学/8位:リバル/9位:博多MEN隊

なお、大会は無観客で行われ、試合の模様はオンラインで配信されました。

<アーカイブ動画>
●1日目/第1会場: 試合は30分すぎからスタート
https://youtu.be/UvunY-wq-ho

●2日目/第1会場: 試合は23分すぎからスタート
https://youtu.be/4eG5PflnJzk

●2日目/第2会場: 試合は25分すぎからスタート
https://youtu.be/oU97lzKa6ic

<予選大会今後の予定>
・ 11月27日(土)~28日(日): 女子予選大会
 会場:所沢市民体育館(埼玉県)

▼日本ゴールボール協会公式HP
http://www.jgba.jp/

マネードクター2021日本ゴールボール選手権・予選大会ポスター (提供:日本ゴールボール協会)

(文:星野恭子)