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日本のゴルフこのままで大丈夫?

 軽井沢72ゴルフで開催された、世界アマチュアゴルフチーム選手権が9月13日に閉幕した。

 

 女子は、オーストラリアチームが最終日の大逆転で優勝し、エスピリトサントトロフィーを獲得。男子はアメリカチームが、最終日のカナダチームの猛追撃をからくも振り切って通算15回目の優勝。デニー・マッカーシー、ボー・ホスラー、ブライソン・デシャンボーの3選手がアイゼンハワートロフィーを手にした。

 

 日本チームは、女子が8位、男子が29位タイと残念な結果に終わったが、それ以上に残念だったのはギャラリーの少なさだ。本来なら最高潮の盛り上がりを見せるはずの最終日でさえ、人影はまばら。JGA(日本ゴルフ協会)がまともに集客のプロモーションをしていないので一般ギャラリーが少ないのは当然なのだが、ジュニアゴルファーの姿が見えないのは寂しい限りだった。

 

 現場でギャラリーの男性が「本当のトップ選手が来ていないんだよね」などとしたり顔で仲間に話していたが、その認識は少し違う。カナダのコリー・コナーズは今年の全米アマで準優勝している選手だし、アメリカのデニー・マッカーシーもベスト4に入っているのだ。事実上、アマチュア最高峰の試合といえる全米アマの上位選手や、スウェーデンのマーカス・カインハルト(世界アマチュアランキング5位)、カナダゴルフ界期待の星の飛ばし屋テイラー・ヘンドリスなど、近い将来プロゴルフツアーを賑わすであろう選手が大勢来日しているのにもかかわらず、生でそのプレーを見ないのは多大なる機会損失としか言いようがない。

 

 この試合はインターネット中継されたが、インパクトの強さや質は、現場でないとわからないものであり、それは国内ツアーを遥かに凌駕するものだ。ジュニアゴルファーがそれを目の当たりにすれば、もしゴルフを職業にするのなら、このレベルのインパクトに到達しないと到底無理なのだということを悟るだろうし、そう認識することは、その1日ボールを打つよりも遥かに有益ではないだろうか。

 

 突然変異的に出現した石川遼と松山英樹の活躍によって曖昧になっている感があるが、日本と世界のゴルフのレベルには現在、大きな隔たりがある。女子8位、男子29位タイという今回の結果はそれを如実に表しているし、まずそれを自覚することから始めないと、今後浮上することはないだろう。

 

(小林一人/文と写真)