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「星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ」(370) メダルラッシュも期待! 車いすテニス日本代表選手たちが大舞台へ意気ごみ

8月24日に開幕する東京パラリンピックの車いすテニス日本代表の10選手と中沢吉裕監督が8月11日から13日にかけてオンライン取材に応じ、自身の強みや大会に向けた意気込みなどを語りました。

車いすテニスは下肢などに障害のある選手が車いすに乗ってプレーしますが、コートの広さやネットの高さ、使う用具などはオリンピックと全く同じ。ただ一つ異なるのはツ―バウンドまでの返球が認められている点です。ラケットを握りながらの巧みなチェアーワーク(車いす操作)やコントールショット、ラリーの応酬などテクニックも見どころです。

競技クラスは「男子」「女子」、そして男女混合で上肢にも障害のある「クアード」の3つ。それぞれシングルスとダブルスが行われます。日本代表は男子に4選手、女子に4選手、クアードに2選手が出場権を得ており、全員がシングルスとダブルスに出場予定です。

東京パラリンピックでメダル獲得が期待される、車いすテニス日本代表選手たち。左から、男子クラスの国枝慎吾選手、女子クラスの上地結衣選手、クアードクラスの菅野浩二選手 (提供:日本パラリンピック委員会)

男子はまず、シングルス世界ランキング1位で5大会連続となるパラリンピックに臨む、国枝慎吾選手(ユニクロ)に注目です。今大会は日本選手団の主将も務める「顔」であり、過去にダブルスで金1、銅2、シングルスでも金2個のメダルを獲得しています。「東京大会はホームでのパラリンピック。特別な気持ちがある。金メダルを獲るという強い気持ちを持って臨みたい」と決意を語りました。

シングルス3連覇を狙ったリオ大会は肘の故障の影響もあり、ベスト8に終わった悔しさから、肘に負担のないフォームを研究するなど、「コンディションも上がっている」と好調の様子。とはいえ、男子は近年、急速に全体のレベルが上がり、「戦国時代」と言われています。東京パラにはヒューイット(英国)やフェルナンデス(アルゼンチン)など、ここ4年のグランドスラム優勝者たちも顔を揃えます。国枝選手も、「みんなにチャンスがあって、誰が獲ってもおかしくない。自分の出来が試合の結果を左右する。金メダルは目標だが、とにかく一戦一戦、目の前の戦いに集中していくことが大事」と、集大成となる決戦を見据えていました。

また、3大会連続出場で初の表彰台を目指すのは世界ランキング9位の真田卓選手(凸版印刷)です。2019年秋に右肘を痛めましたが、コロナ禍による1年延期で「リハビリに集中できた。今年3月に復帰して、パフォーマンスを上げている最中。状態は良くなっている」と話し、国枝選手と組むダブルスも含め、「3度目のパラで、メダルは絶対に狙っていきたい」と意気込んでいます。

さらに、2018年、海外遠征中の事故によるケガからようやく復帰し、3度目のパラとなる東京大会を「第2のテニス人生」の始まりと位置付ける三木拓也選手(トヨタ自動車)に、「粘り強く相手にプレッシャーをかけること」を持ち味とする初出場の荒井大輔選手(BNPパリバ)も活躍を誓っています。

■女子もクアードも、チャンスあり!

女子はまず、シングルス世界ランキング2位の上地結衣選手がエース。パラリンピックは2012年のロンドン大会から3大会連続出場で、16年リオ大会のシングルス銅メダリストです。東京パラでは、「シングルスの金メダルを一番の目標として戦っていきたい。これまでの成果を思い切り出せる大会にしたい」と意気込んでいます。

最大のライバルと思われるのは、世界ランク1位のディーデ・デフロート選手(オランダ)ですが、「いろいろなショットを組み合わせ、的を絞らせないことがカギ」とプレーの幅を広げることを意識し、強化を図ってきたといいます。コロナ禍による延期が決まった時は、「中止にならなくて良かった、というのが正直な感想。『やって良かった』と思っていただけるように、結果を出したい」と力を込めました。

そんな上地選手とダブルスでペアを組む予定の大谷桃子選手(かんぽ生命)は昨年の全仏オープン女子シングルスで準優勝し、7月のウィンブルドンでは上地選手を破った成長株。パラは初出場ながら世界ランクは5位で、「パラリンピック前にすごくいい1年を過ごせた。シングルス、ダブルスともにメダルを目指して頑張りたい」と目標を話します。「私はトップスピンをかけて相手を動かし、チャンスが来たところを打つのが得意。暑熱の中でのプレーはかなり負担になるので、早めに展開することを心がけたい」と大舞台を見据えました。

この2人に加え、「フォアでもバックでもどちらでも攻撃でき、相手に攻撃させないショットを打てるのが強み」という田中愛美選手(ブリヂストンスポーツアリーナ)と「パワーがあり、フォアハンドやサーブで強いボールをしっかり打てるところが強み」と話す高室冴綺選手(スタートライン)も出場します。ともに初出場で上位進出を狙います。

クアードは2選手が出場します。世界ランキング6位で初出場の菅野浩二選手(リクルート)は、「目標はシングルス、ダブルスともにメダル獲得」と意気込みました。大会延期となった1年間には、サーブとバックハンドを強化してきたといい、7月の英国遠征で、「課題としてやってきたことが成果として出た」と手応えを口にし、東京パラでは「雰囲気も楽しみながら試合に臨みたい。強打で攻めるのが自分の特長。サーブのリターンにも注目してほしい」と語りました。

諸石光照選手(EYジャパン)は3大会連続出場のベテランです。コロナ禍で約1年半以上、実戦出場がないものの、その分、自宅で基礎トレーニングに励み、ショットの精度も上がっているといい、「早く大会に出たい」と意気込みました。

日本代表を率いる中沢監督は、ダブルスのペアについては基本的に各クラスの世界ランキング順に組み合わせる方針を示したほか、大会目標についてはメダルの個数こそ、「選手にプレッシャーをかけない」との理由から明言は避けたものの、「各クラスでメダル獲得を狙っている」と目標を話しました。

車いすテニスは8月27日から競技がスタートし、決勝戦はクアードダブルスが9月1日、同シングルスが2日、男子ダブルスと女子シングルスが3日、男子シングルスと女子ダブルスが4日に行われます。会場は、“テニスの聖地”の有明テニスの森です。ぜひ、応援ください!

【日本代表】
男子(4名):国枝慎吾(ユニクロ)/真田卓(凸版印刷)/三木拓也(トヨタ自動車)/荒井大輔(BNPパリバ)
女子(4名):上地結衣(三井住友銀行)/大谷桃子(かんぽ生命)/田中愛美(ブリヂストンスポーツアリーナ)/高室冴綺(スタートライン)
クアード(2名):菅野浩二(リクルート)/諸石光照(EYジャパン)

(文:星野恭子)