「星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ」(367) ブラサカ日本代表、サッカー男女代表と初の同一ユニフォームで東京パラへ!
東京オリンピックの開幕に先駆けて、日本サッカー協会(JFA)は6月30日、JリーグやWE.リーグ、日本障がい者サッカー連盟(JIFF)、日本ブラインドサッカー協会(JBFA)とともに、「TEAM FOOTBALL JAPAN 2020」の結成を発表しました。
これは、東京オリンピックに出場するサッカー男子日本代表(U-24日本代表)とサッカー女子代表(なでしこジャパン)、さらに、東京パラリンピックに初出場する5人制サッカー(ブラインドサッカー男子)日本代表を、「サッカーファミリーが一体となって応援し、性別や年齢、障がいの有無などの違いを超えて人々が絆を深め合うスポーツの価値を伝えること」を目指すというプロジェクトです。
同時に、プロジェクトの一環として、同3チームが史上初めて同一デザインのユニフォームを着用して東京2020大会に臨むことも発表されました。ブラインドサッカー日本代表にとってはもちろん、サッカー男女代表がカラーリングなども同一のユニフォームを着用するのは初めてとのこと、本当に画期的なことです。
初の同一ユニフォームで東京オリンピック・パラリンピックに臨む、東京パラリンピックの5人制(ブラインドサッカー男子)日本代表の川村怜主将(中央)と、東京オリンピックのサッカー男子代表の吉田麻也主将(左)と同女子日本代表の熊谷紗希主将(右) (©日本サッカー協会)
日本には現在、ブラインドサッカーをはじめ、聴覚や知的などの異なる7つの障がい者サッカー団体(*)が活動していますが、2016年4月、この7団体の連係を図る目的で、JFA加盟団体としてJIFFが発足。その時点で、それまでバラバラだった7団体のユニフォームは統一されました。それから5年、「オリパラ一体」をうたう東京2020大会に向けて、オリンピックとパラリンピックの代表3チームのユニフォームが統一されたというわけです。「オリパラ一体」の目に見える成果の一つであり、パラスポーツ全体にとっても希望や可能性が広がる取り組みだと思います。
今回の取り組みの参考となったのはイングランドサッカー協会(FA)で、英国内で活動する全カテゴリーの障がい者サッカーの代表チームはイングランド代表と同じユニフォームを着用しているそうです。日本ではまず、ブラインドサッカーからとなりましたが、英国型実現の大きな一歩であり、日本もその方向で少しずつ調整が続いているようです。
ちなみに、今回統一された東京2020大会ユニフォームは、すでに男子代表の親善試合などで披露されています。「迷彩柄」といわれますが、実はデザインのコンセプトは、「日本晴れ(ニッポンバレ)」です。
前面は濃淡のある青色と白色が散りばめられ、背面はスカイブルー一色のデザインになっていて、一人ひとりの選手やサポーターが見あげてきた空がひとつにつながって、雲ひとつない最高の青空「日本晴れ」に向かっていく様子を表現しています。このユニフォームを着て、大舞台に向かう「日本代表チーム」の活躍が日本中に希望を与える日本晴れの空のような存在であって欲しいという願いが込められているのだそうです。
7月11日にはブラインドサッカー日本代表が合宿を公開し、高田敏志監督はパラリンピック初出場のタイミングで初めて、サッカー代表との統一ユニフォームを着用できることについて、「とても喜んでいます。ここに来るまで、いろいろな人たちの苦労や事情がある。選手たちには本当の意味で日本代表としての自覚と感謝の気持ちをもって着用し、プレーしてほしいです」と喜びと責任感のこもった感想を語りました。
また、川村怜主将は、ずっと憧れきたという日本代表と同じユニフォームに腕を通した感想を、「着心地がとてもよかった。早くこれを着てプレーがしたいです」と、初出場となる夢舞台に思いをはせていました。
ブラインドサッカーは視覚障害のあるフィールドプレーヤーが放つシュートを、目の見えるゴールキーパーが全力で止めにくるスポーツ。川村主将は、「視覚障害者と健常者が共存して戦います。見えない中でも、サッカーがこんなにできるんだということを表現して、勇気や希望を届けられる、そんなきっかけとなる大会にしたいと思います」と、改めて大舞台への目標も口にしました。
オリンピックでは7月21日に女子代表が、7月22日に男子代表が、そして、パラリンピックでは8月29日にブラサカ日本代表が初戦を迎えます。同じデザインの代表ユニフォームで躍動する選手たちの姿を見られるのが、今から楽しみです。
(文:星野恭子)