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「星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ」(363) 車いすラグビー、車いすバスケ男女の東京パラ日本代表推薦選手が決定!

東京パラリンピック開幕まで2カ月あまり。団体競技の日本代表争いも佳境となり、人気の2競技で日本代表推薦選手が発表されました。なお、パラリンピックの場合は規定上、各競技団体が「日本代表推薦選手」を決定し、日本パラリンピック委員会(JPC)が審査を行ったのち、最終的にJPCによって正式に「日本代表選手」が発表されることになっています。

■車いすラグビー、女子1名を含む12選手を発表

日本車いすラグビー連盟は6月21日、東京パラリンピック日本代表推薦選手発表会を都内で開き、推薦選手12名を発表しました。

1チーム4人で戦う車いすラグビーでは、選手は障害の最も重い0.5点から最も軽い3.5点まで、0.5点刻みでクラス分けされています。そして、障害の重い選手にも出場機会を与え、より公平に競技できるよう、クラスの数字が選手の「持ち点」となり、1チーム4人の合計持ち点を8.0点以内で編成するという特徴的なルールがあります。さらに、男女混合の競技で、女子1名につき0.5点が加算されるルールがあり、8.5点以内で編成が可能になり、戦略の幅が広がります。

【車いすラグビー日本代表推薦選手】 (カッコ内は背番号)
クラス0.5: F倉橋香衣(3)/長谷川勇基(2)
クラス1.0: 今井友明(9)/若山英史(1)/小川仁士(23)
クラス1.5: 乗松聖矢(22)
クラス2.0: 中町俊耶(24)/羽賀理之(4)
クラス3.0: 池透暢(背番号21)/池崎大輔(7)/島川慎一(13)/橋本勝也(32)

 東京パラリンピックの車いすラグビー日本代表推薦選手に決定した12名(日本車いすラグビー連盟6月21日配信画面より)

5大会連続出場でチーム最多の島川慎一選手など、2016年リオ大会銅メダルを経験している7選手に加え、女子の倉橋香衣選手など初出場は5人。ケビン・オアーHCは、「ベテランから若手まで、層を厚く網羅したことで、とても理想的なライン(4人編成)が組める」と選考方針についてコメント。東京パラでは、「金メダル獲得が目的となるが、先も見据え、来年に控えた世界選手権に向けた強化と、ベテランと若手との融合を強みに実践していきたい」と意気込みを語りました。

現在、世界ランキング3位の日本は東京パラの1次リーグA組に入り、同6位のフランス、同7位のデンマーク、同1位のオーストラリアの順に対戦することが決まっています。大会2連覇中のオーストラリアは最大のライバルとなりますが、オアーHCは、「1試合ごとにフォーカスしたい。初戦の相手がフランスで、タフな試合になると予想。そこに集中したい。その後は1試合ずつ地に足をつけて進めていきたい」と「金メダルプラン」を語り、「車いすラグビーを通して、人間が持つ可能性を見せることができると思う。新型コロナ感染症がなかなか収まらない中だが、どんな状況でも常にベストな状態であり続けること、そういう姿勢を見せることで、『勇気』を伝えたい」と、大会に向けた目標を語りました。

リオ大会につづき2大会連続出場となる池透暢キャプテンは、「自分もチームも過去最高の状態に仕上がっている。個人とチーム全体のパフォーマンスを集結し、世界に勇気を与えるプレーで、最高の結果を勝ち取りたい」と力強く目標を口にしました。

車いすラグビーは8カ国が出場し、B組はアメリカ(2)、イギリス(4)、カナダ(5)、ニュージーランド(10)の4か国。国立代々木競技場(東京・渋谷区)で開会式翌日の8月25日から1次リーグが始まり、決勝戦は30日に行われます。

■車いすバスケは、男女各12名!

日本車いすバスケットボール連盟は6月17日、オンラインで会見を開き、東京パラリンピックの「日本代表推薦選手」として、男子12名、女子12名をそれぞれ発表。各代表ヘッドコーチ(HC)が選考理由や本番に向けた意気込みなどを語りました。

車いすバスケットボールは1チーム5人で戦いますが、選手は障害の最も重い1.0点から最も軽い4.5点まで、0.5点刻みでクラス分けされています。クラスの数字が選手の「持ち点」となり、1チーム5人の合計持ち点を14.0点以内で編成するというルールが特徴で、障害の重い選手にも出場機会が生まれ、より公平に競技ができます。

【車いすバスケットボール男子日本代表推薦選手 12名】 (カッコ内はクラス)
岩井孝義 (1.0)/川原凛 (1.5)/豊島英 (2.0)キャプテン/藤澤潔 (2.0)/鳥海連志 (2.5)/赤石竜我 (2.5)/古澤拓也 (3.0)/香西宏昭 (3.5)/秋田啓 (3.5)/宮島徹也 (4.0)/高柗義伸 (4.0)/藤本怜央 (4.5)

男子日本代表の京谷和幸HCは選考理由について、「チームのコンセプトである、『トランジションバスケの遂行』、『ディフェンスで世界に勝つ』を体現できる選手を基準に、技術的なことだけでなく、チームに勢いを与える選手、チームに安心を与える選手、メンタル面やコート内外の役割を全うできるなど、あらゆる場面を想定し、チーム全体のバランスを一番に考えた」と説明。

東京パラでは、「メダル獲得が目標。今後、連携面での強化を図り、より密に戦略や戦術面を高め、必ずメダルに到達できるよう準備したい」と意気込みました。

キー選手については、高い得点力を誇るベテランの藤本選手を挙げたほか、スピードのある若手、鳥海選手や赤石選手を、「トランジションバスケに欠かせない存在」と話しました。

男子車いすバスケは12カ国が出場し、日本は1次リーグでA組に入り、カナダ、韓国、スペイン、トルコ、コロンビアと対戦します。B組はアメリカ、オーストラリア、イギリス、ドイツ、アルジェリア、イランの6カ国となっています。

【車いすバスケットボール女子日本代表推薦選手 12名】 (カッコ内はクラス)
財満いずみ (1.0)/北間優衣 (1.0)/萩野真世 (1.5)/安尾笑 (2.0)/柳本あまね (2.5)/平井美喜 (2.5)/小田島理恵 (2.5)/清水千浪 (3.0)/ 土田真由美 (4.0)/藤井郁美キャプテン (4.0)/網本麻里キャプテン (4.5)/北田千尋 (4.5)

岩佐義明HCは、「選考にあたり、一つ目はチーム方針である、トランジションバスケに対応できる選手、2つ目は最後まで走り切れる選手、3つ目はチームの勝利に貢献できる選手を考えた」と選考理由を説明。東京パラでは、「メダル獲得が目標。激しいディフェンスからオフェンスにもっていくトランジションバスケをパラリンピックの舞台で発揮したい。どのチームも強豪だが、12名の全員バスケで対抗したい」と意気込みました。

女子車いすバスケは10カ国が出場し、日本はカナダ、オーストラリア、イギリス、ドイツと同じA組に入りました。B組はアメリカ、中国、オランダ、スペイン、アルジェリアの5カ国です。

車いすバスケは開会式翌日の8月25日から1次リーグが有明アリーナ(東京・江東区)と武蔵野の森総合スポーツプラザ(東京・調布市)に分かれてスタートし、決勝戦は大会最終日の9月5日に有明アリーナで行われます。なお、対戦スケジュールは未定で、今後、発表予定です。

(文:星野恭子)