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「星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ」(360) ブラインドサッカー国際大会が2年ぶりに開幕。日本は開幕から2連勝!

「見えない闘いは、ここにもある」をキャッチフレーズにしたブラインドサッカーの国際公式戦、「Santen IBSAブラインドサッカーワールドグランプリin品川」が5月30日、品川区立天王洲公園(東京・品川区)で開幕しました。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、約1年半ぶりの国際大会参戦となった日本代表ですが、初戦でフランス代表と対戦し、1ー0で勝利し、白星発進しました。さらに31日にはタイ代表も1-0で撃破して2連勝。目標とする6月5日の決勝戦進出が大いに期待される状況となっています。

「Santen IBSAブラインドサッカーワールドグランプリin品川」の初戦で決勝弾を決めた川村怜選手の豪快なシュート (©︎JBFA/H.Wanibe)

この大会は2018年に新設された国際公式戦で、昨年はコロナ禍で中止されたため、今年は2年ぶり3回目の開催となりました。出場国は日本(世界ランク12位)、アルゼンチン(1位)、スペイン(3位)、タイ(13位)、フランス(14位)の5カ国で、いずれも東京パラリンピックに出場を決めています(全8カ国中)。大会は5カ国での総当たり戦を行い、上位2チームが決勝に、3位と4位チームが3位決定戦に進む形式です。決勝と3位決定戦は大会最終日6月5日に行われます。

▼大会サイト
https://www.wgp-blindfootball.com/

日本は前回2019年大会での4位が過去最高位となっており、今大会で初制覇して東京パラリンピックへの弾みとしたいところでしたが、いいスタートを切りました。初戦の相手、フランスは2018年大会では6位でしたが、2024年のパリパラリンピック開催も決まり、急速に強化を進めています。2019年欧州選手権では準優勝という強豪でしたが、日本は培ってきた「全員サッカー」で対抗しました。

試合開始1分、田中章仁選手からのいいパスを受けた川村怜選手が得意のドリブルでカットインしながら守備陣を交わし、ゴール前で振りぬいた右足で、ゴール右隅に決勝弾を叩き込みました。その後は、フランスから攻め込まれ、ヒヤッとする場面もありましたが、組織的な守備と佐藤大介ゴールキーパーの好セービングもあり、1点を守り抜きました。

初戦のフランス戦を1-0で勝利し、笑顔を見せるに日本代表選手たち(左から、田中章仁選手、川村怜選手、黒田智成選手、佐藤大介選手(GK)、佐々木ロベルト泉選手 (©︎JBFA/H.Wanibe)

川村選手は、「早い段階で(点を)取れてよかった。シンプルに回していこうと話していたが、いいパスがきて、得意な形でシュートできた」と振り返り、「どんな大会でも初戦は緊張感があるが、勝ち切れたので、次につながる」とさらなる活躍を誓っていました。

また、日本代表の高田敏志監督は、「想定外のことがいろいろ起きるだろうと思って試合に入った。フランスの10番(フレデリック・ヴィルル)の選手をどう抑えるかと思っていたが、思っていた以上にうまかった。決勝にいくのが目標なので、泥臭くても勝ち点3が取れてよかった」と試合を振り返った一方、約1年半ぶりの国際大会で、「外国選手との距離感がフィットしないままだったのが課題。明日以降は改善されるかと思う」と課題も口にしました。

フランスのエース、フレデリック・ヴィルル選手(#10)のドリブルを体をあてて止める佐々木ロベルト泉選手 (©︎JBFA/H.Wanibe)

なお、大会2日目、31日の試合結果は速報ですが、日本代表がタイ代表に1-0で勝利し、2勝目を挙げています。タイはアジアの中でも急成長している国の一つで、昨日の開幕戦で欧州王者のスペインを3-2で撃破して波に乗り、怖い存在でしたが、日本は開始早々30秒で、ベテランエースの黒田智成選手がゴールを決め、守り抜きました。

今後は世界ランキング1位のアルゼンチンや同3位のスペイン戦なども控えます。無観客開催ですが、全試合オンラインでライブ中継されています。毎回、元日本代表の石川直宏さんなどによるプレー解説もあり、「わかりやすい」と評判です。また、ブラインドサッカーは選手のプレーを邪魔しないように、「黙って見守ること」が観戦マナーですが、オンラインの場合は会場観戦と違って思い切り声を出せるのも楽しみ方の一つです。

緊急事態宣言中のためナイトゲームはなく、試合は1日日中の2試合(①10時半、②13時キックオフ)で組まれています。でも、アーカイブも公開されていますので、ぜひ一度、観戦ください!

▼ライブ中継チャンネル (アーカイブもあり)
https://www.youtube.com/playlist?list=PLDpXzKCObxj_O3-bfm3wPLPs20P_beUIo

Santen IBSAブラインドサッカーワールドグランプリin品川」のメインビジュアル (提供:日本ブラインドサッカー協会)

さて、東京パラリンピックの前哨戦ともいえる大会であり、日本代表の活躍も気になるところですが、今大会はさらに、コロナ禍という難しい状況の中で開催に挑戦したパラスポーツの国際大会としても注目されています。「バブル方式」で運営されており、選手や関係者の行動を厳しく制限するなど万全な感染症対策がとられての開催となっていますが、開催決定に至るまで、さらには準備を進める中での葛藤もあったようです。

そこで、主催する日本ブラインドサッカー協会は開催意義なども社会に問いながら開催しようと、丁寧にコミュニケーションを取り、説明責任を果たしていくことにも取り組んでいます。透明性をもった開催の実現に向け、開催にあたっての考え方や経緯、感染症対策や準備内容なども特設ページで公開しています。

▼開催趣意書など
https://note.com/jbfa_b_soccer

開催することの意味や意義を考え抜き、安全・安心な大会運営のために重ねた検討や検証などもつづられています。その中には、「大会中止も視野に入れながらの準備」なども説明されています。今大会がどう準備され、どう運営され、どんな結果を生み出すのか、大会後の検証にも注目したいと思います。今後のスポーツ界にとって、貴重な視点やデータを提供してくれるような気がしています。

<スケジュール>
5/30(日):①タイースペイン(3-2) ②日本ーフランス(1-0)
5/31(月):①フランス―アルゼンチン(0-1) ②タイー日本(1-0)

6/1(火):①アルゼンチン―タイ ②スペインー日本
6/3(木):①スペイン―フランス ②日本ーアルゼンチン
6/4(金):①フランス―タイ ②アルゼンチンースペイン
6/5(土):①3位決定戦 ②決勝戦

(文:星野恭子)