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U22ゴルフ選手権大会のユニークさとは?

 富士屋ホテル仙石ゴルフコースが主催するU22ゴルフ選手権が8月6日、同コースで開催された。

 

 今年で3回目となるこの大会がユニークなのは、小学生、中学生、高校生、大学生が1台のカートに乗ってプレーするという試合方式だ。

 競技は年齢別のカテゴリーで争われるのだが、大学生がカートを運転し、上級生が下級生の面倒を見ながら回るという、ちょっと他では見られない大会なのである。

 

 実は午後のスタートホールでちょっとしたトラブルがあった。

 ティショットを左に曲げた中学生の選手のボールが見つからなかったのだ。ティグラウンドでは最終組の選手がティオフを待っていたのだが、ボール探しは長時間に及んだ。暫定球を打っていかなかったので、どうしても見つけなければと思ったのだろう。かなり粘って探したので、ティグラウンドには一般のゴルフ客も含めて3組が待っているような状態になってしまった。

 

 結局ボールは見つからず、中学生は人でごった返すティグラウンドに戻って来て打ち直したのだが、動揺していたのだろう、今度はチョロを打ってしまったのだ。うなだれる少年。泣きそうな顔で待っている選手たちの前を通り過ぎようとすると、大学生の選手が「頑張れ!」と声をかけた。中学生は口をきゅっと結んで軽く頭を下げると、スロープを駆け下りていく。

 

 この間、待っている選手たちの口からネガティブな言葉が発せられることは一切なかったのである。少年たちはひたすら待ち、戻ってきた選手を思いやり、エールを送った。この大会ならではの良いシーンであった。

 

 夏休み期間中、日本全国でジュニア大会が行われているが、ジュニアゴルファーの親御さんは箱根でこういう試合が行われていることを覚えておくとよいかもしれない。

 決してビッグタイトルではないが、出場した少年少女たちは、他の試合では学べないことを学ぶはずだ。

 

(小林一人/写真と文)