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「星野恭子のパラスポーツ・ピックアップ」(343) ボッチャ日本代表の村上監督が会見。「強化は順調」

東京パラリンピックで、「全7種目メダル獲得」を掲げるボッチャ日本代表の村上光輝監督が1月21日、オンラインで会見を開き、代表選考の状況やコロナ禍での強化策などについて説明、「強化は順調に進んでいる。選手は皆、大会まで1,2カ月あれば、ピークを合わせられる状態」と手ごたえを語りました。

ボッチャはイタリア語でボールを意味し、日本代表は「一丸」をテーマに強化を図ってきています。昨年2月、新型コロナウイルス感染拡大が報じられると、四肢まひなど重度障がい者を対象とするボッチャはいち早く合宿や大会などの活動を自粛させました。感染による重症化リスクも高いため、「ステイホーム」期間も長期化が予想されたことから、同3月にはコミュニケーションアプリ「LINE」のビデオ通話で、トレーナーが各選手に体調や現状などを聞き取り、4月には選手やコーチ陣をオンラインでつないだライブでのトレーニングもスタート。6月にはリモート合宿も実施するなど、「アイデアと技術を駆使」し、コロナ禍でもできる練習を継続してきたそうです。

また、ビデオ会議システム「Zoom」を利用した戦術・戦略会議や、コーチから出された課題にも挑戦。また、代表ユニフォームを着用して練習することで、物理的には離れ離れでも、メンタル面での「チーム一体感が生まれ、パフォーマンスも上がっている」と村上監督は振り返りました。

各地域での練習に欠かせないのはボッチャコートと空調を備えた練習場所ですが、そうした強化拠点が自治体や企業などとの連携により、徐々に増えていると言い、今春には全国約10カ所に増える見通しだそうです。昨年10月以降には強化合宿(全体、クラス別、地域別)も再開されたものの、残念ながら感染再拡大を受けて12月以降は再び中断されていますが、こうした各地の拠点でコロナ禍で培ったオンラインでの練習方法も活用しながら、さらなる強化を続けていくと、村上監督は意気込みを語りました。
ボッチャ普及活動に向け、昨年8月に発表された、ボッチャ公式キャラクター「ボッチャマン」。ボッチャを愛し、ボッチャを有名にするために生まれた、スーパーボッチャヒーロー。今後、大会やイベントなどで活躍予定 (画像提供:日本ボッチャ協会)

なお、会見に先立ち、日本ボッチャ協会は12日、東京パラリンピック代表の推薦内定選手として新たに、16年リオデジャネイロ大会団体戦(チーム)銀メダリストのBC1(脳性まひ)藤井友里子選手(アイザック)とBC2(同)杉村英孝選手(伊豆介護センター)、BC3(脳性まひ・運動機能障がい)の高橋和樹選手(フォーバル)と田中恵子選手(石川県協会)、BC4(運動機能障がい)の古満渉選手(広島市役所)の5人を発表しました。

日本には個人、団体戦合わせて10人の開催国枠が与えられており、すでに2019年12月に行われた日本選手権の各クラス優勝者である、リオ銀メダリストのBC2広瀬隆喜選手(西尾レントオール)、BC1中村拓海選手(愛徳福祉会)、BC3河本圭亮選手(東郷町施設サービス)、BC4江崎駿選手(法大)の4人が代表推薦選手に内定していました。

同協会によれば、BC4の残り1人については国際大会でのクラス分け再判定が必要ですが、コロナ禍のため、審査の機会や出場資格などについて国際パラリンピック委員会に確認中のため、未公表となっています。

新たに代表の推薦内定選手に決まった杉村選手は、「ようやく東京パラリンピックのスタートラインに立てました。(コロナ禍で)思うようにいかない状況でも今できることを考え、自分自身とじっくり向き合えた時間は、すべてがプラスとなっています。東京パラリンピックでは、支えてもらった人たちへの感謝の気持ちをコートの中で表現し、その一球に全てをかけて、自分の力を最大限発揮したいと思います。そして、自分が頑張ることでボッチャの面白さや凄さを多くの人に伝えていくと共に、未来への希望や元気をスポーツのチカラで与えていきたいです。火ノ玉ジャパン(ボッチャ日本代表の愛称)は、サポートしてくださる方、応援してくださる方と"一丸"となって『全クラスメダル獲得』に向けて、世界に挑んでいきます」と力強くコメントしています。

今後の強化については、代表推薦内定選手10名(未公表1名含む)だけにこだわらず、他の強化指定選手も加えた陣容で臨み、東京パラだけでなく、(24年の)パリ大会も見据え、「勝ち続けるつもりで取り組みたい」と村上監督は話していました。

コロナ禍にもうまく対応し、強化を続ける「火ノ玉ジャパン」。さらなる進化に期待しましょう!

(文:星野恭子)